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――こうして代理戦争1日目を迎えた。
よく晴れた空にのどかにも鳥の囀りがどこからか聞こえてくる。
こんなに穏やかな一日の始まりでいいのだろうか、と少々拍子抜けするほど。
それでも今日から代理戦争が始まるのだから、やはり心配でツナの家へと向かう。
家のチャイムを鳴らすと庭にいたバジルが「美瑠殿!」と笑顔で迎えてくれる。
家光さんも「おはよう、入れよ!」と笑顔で勧めてくれて、言葉に甘えることにする。
奈々さんが美瑠ちゃんも食べていきなさい、と朝食を作ってくれたけど食べてきたので、とコーヒーだけいただく。
おいしいです、とじんわりいただいているとツナが「お、おはよ」と顔を出す。
おはよう、と笑い返すと「美瑠ちゃん来てたんだね」と戸惑いながら椅子に座った。
すまん奈々おかわり、はいあなた、とハートがつきそうな甘い雰囲気で話す二人にほっこりしているとツナが浮かない顔をしていることに気が付く。
当然家光さんも気付いたようで「どうしたんだ?ツナ」と首を傾げる。
「やってない宿題でもあんのか?」
「腹でも壊したか?」
「恋の悩みか?」
「緊張してるの?」
ツナは言葉に詰まったかと思うと「何でもないよ!!」と立ち上がる。
しかもちょっと早く出る、と言って朝食もゆっくり食べずに家を出ようとする。
…どうやら家光さんを避けているらしい。もちろん、代理戦争の緊張もあるのだろうけど。
複雑な心境なんだろうな、なんてツナの心境を察しながら私も「ごちそうさまでした」と奈々さんにお礼を言って立ち上がる。
玄関のところでツナを待っているとツナがバッグを持ってきた。
靴を履いて二人で玄関をあけるとバジルには「いってらっしゃい!」と言われ、リボーンにはツナの気持ちをすべてお見通しなのか「ツナ君しっかりー!!」なんて笑顔で言われる。
「なっ、あいつ!…虹の代理戦争が今日始まるってわかっててやってんな…」
「ツナ君しっかりー!」
「なっ美瑠ちゃんまで!!…もう…つーか何でオレがボスウォッチ着けてんの!?」
「あはは、それはツナがボスだからだよ」
「おはようございます!いよいよっスね、十代目!美瑠!」
「あっ、おはよ、獄寺君!」
「おはよう!隼人」
どうやら日付が変わってからずっと警備していたらしい。
顔色を悪くしながら話す隼人に小さく笑っていると武とお兄さんも合流する。
話しているとやはりみんな今日から代理戦争が始まるとは思えなくて気が抜けるようだった。
…そういう私も平和だからこの月専用の時計を付けていることに小さな違和感を感じている。
学校について、ツナのことも気になったけど周りには隼人も武もいるから大丈夫だろうと判断し、いつも通り応接室に向かう。
そしていつも通り恭弥の仕事をお手伝いして、いつも通り見回りをする。
…いつも通り過ぎる。あまりにも平和だ。…何だか拍子抜けしちゃうな。
放課後になり、恭弥はトントンとプリントを揃えると決済の方へ置いて立ち上がる。
「今日はこれで終わりだね」
「うん、…結局何にもなかったね?」
「…これからなんじゃない?」
見回りして帰ろう、と恭弥に言われて私もバッグを持つと応接室に鍵をかける。
そしていざ見回りへ、と歩き出した途端―――不吉な機械音のような音が鳴り響く。
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