『バトル開始1分前です』


「…っ、恭弥!!」

「いよいよだね。行こう」



ニヤリと嬉しそうで、楽しそうな笑みを浮かべて恭弥は中庭へと足を向ける。

カウントダウンを聞く中で、恭弥の足取りの速さはいつもと変わらない。
…焦っていない恭弥を見ていると緊張していた心もほぐれて、落ち着いてくる。



『バトル開始です。制限時間は10分』


10分…意外と短い時間だ。
みんなも大丈夫だろうか、とツナたちのことを心配していると教室から大きな爆音が聞こえてくる。

…っ、今の音は…一体…!

恭弥、と声をかけようとしたが、恭弥は外に目を向けるとすぐさま窓枠に足をかけて、飛び降りる。
窓の外には私と同じように心配したお兄さんに隼人、武がいた。

…なるほど、恭弥はこの三人と戦いたいのね。

風さんも恭弥の頭に着地し、三人の前に現れる。



「君達は僕が咬み殺すからね」

「ヒバリ!!頭に乗っているのは…!」

「虹の赤ん坊の風と申します。雲雀恭弥には私の代理になって頂きました」

「なんだって!?」

「あなた達が着けているのはリボーンチームのバトラーウォッチですね」

「あぁ、オレ達はリボーンさんの代理だぜ」

「…ってことは、」



恭弥のトンファーに炎が灯り、トンファーの鎖が三人を襲う。

敵同士だね、なんて楽しそうに言う恭弥に苦笑しながら私も中庭に降りる。
美瑠、と名前を呼ばれたけど私は今回の代理戦争に力を貸すことはできない。

…ただ、見ているだけにもしたくないけれど。



「てめー!リボーンさんの代理を断って風の代理になるとは、裏切る気か!!仲間だと思っていたのに!」

「誰が仲間だって?僕は群れるのは嫌いなんだ」

「よく言うぜ。風のチームだって他の代理と群れることになるだろうが」

「それは違うな。彼の代理は僕一人だからね」

「一人だと!?」

「君たちのチームに入らなかった理由はほかにもあるけど、僕は話をしに来たんじゃない」



恭弥の言いたいことがわかったのか、お兄さんが炎を灯す。
話をしに来たんじゃない。…恭弥は戦いに来ているのだから。

隼人はツナが望まないと止めるけど、恭弥は「ゲームだ」と笑い、さらにお兄さんを煽る。

隼人は真剣勝負、恭弥はゲームだと言った。…それは、ルールが存在するということ。
真剣勝負ならば、負けに値するのは意識を失ったり、戦うことができなくなってしまう状態になること。

でも、ゲームならば違う。負けに値するのは、今回時計を壊すこと。
それは大きく違う点であり、そのことを理解していないと代理戦争は勝ち抜けない。
勢いよく突っ込んでいくお兄さんに恭弥は「その様子じゃもう忘れてる」と笑い、お兄さんの拳を躱すと…トンファーでお兄さんの時計を壊した。



「おしまい」

「あ、」

「バカッ!バトラーウォッチを壊されちまったら代理じゃなくなるんだぞ!!」



隼人の言葉にお兄さんはようやくルールを思い出したのか「しまったー!!」と叫ぶ。
不完全燃焼だ、と騒ぐお兄さんに恭弥は冷静に背を向ける。

…どうやらお兄さんとは本気で勝負する気がなかったようだ。

お兄さんの「正々堂々と勝負しない気か!?」という言葉に「君とはね」と一言。



「ちなみに君たちのチームに入らなかったもう一つの理由は、君たちのチームには咬み殺したい相手がたくさんいるからさ」



いい笑顔で言い切った恭弥に小さく笑って風さんを見上げる。
風さんは恭弥の戦闘に対するモチベーションに満足そうな笑みを浮かべていた。



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