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恭弥の怪我を晴れの炎で治した後、約束通り並盛病院に連れて行ってくれる。

そこでディーノに会ってしまって、恭弥の戦闘意欲に火が付いたのか突然追いかけっこが始まってしまう。
せっかく恭弥とディーノの戦いを止めたのに…と思いつつもこれ以上止める理由が思いつかなくて、そのまま見送ることになった。

お見舞いが終わったら恭弥を追いかけようと決めて、病院の中に入っていく。
予め聞いていたスカルの病室まで行くと、アルコバレーノのみんなが揃っていた。



「美瑠…」

「スカル…っこんな…」

「幸い、死人は出てねぇ。スカルも一命をとりとめてる。大丈夫だ」

「…そ、っか……」



ふ、と息をついて、せめてとスカルの額に手を当てて月の力を流し込む。

月の力はその人の死ぬ気の炎を増幅する力。…今のスカルには命の源である死ぬ気の炎を増やしたほうがいいだろう。

しばらく流し続けていると、リボーンにそっと手を外される。
リボーン?と首を傾げると「力の使い過ぎだぞ」と窘められた。

大丈夫、と言っても風さんに「力の使い過ぎで顔色も悪いです」と心配そうに言われてしまった。
…みんなに心配かけるわけにはいかないな、とごめん、と言って力をおさめた。



「みんな…これから、どうするの…?このまま代理戦争を続けるの?」

「…とりあえず様子を見るつもりだ」

「そろそろお前が代理戦争に参加した目的を聞かせろ!」

「そうだ、リボーン!!」



まだリボーンの目的に気付いていないコロネロとマーモンがリボーンを問い詰める。
そんな二人に「鈍いな。ユニと風、美瑠にはもうバレてるみてーだぞ」と笑って、病室から出ていく。

私も一緒にツナたちのところに行こうとリボーンと一緒に病室を出た。
…きっとみんなは驚いているだろう。リボーンが…この代理戦争を通してツナを成長させたいと思っていることに。

リボーンはいつだって自分の目的をぶれることはない。

全部……自分の教え子であるツナを強くしたい、成長させたいという願いをかなえるために動いている。



「美瑠、少し寄ってもいいか?」

「え?うん、どこに…?」

「…クロームの病室だ」

「え…!?」



クロームの病室?一体どういうこと?どうして髑髏が病院に…!

手先が冷たくなっていく感覚が襲っていると、リボーンはある病室に入っていく。
私も恐る恐るドアを開けると…そこには呼吸器をつけた、髑髏が寝ていた。



「髑髏っ…!!」

「美瑠、ダメだ。力は使うな」

「でもっ…!こんなに痩せてっ…」

「…ダメ、です…美瑠様…」

「…!髑髏…っごめんね…気付いてあげられなくて…」



ぎゅっと髑髏の手を握り、髑髏のそばへ寄る。
髑髏は少しだけ私の方へ視線を向けると、「私は大丈夫です…」とかすかに微笑んだ。

…無理をさせてしまっている……私が力をつかえば、さらに無理をするだろう。…それじゃあ、意味がない。

クローム、とリボーンが彼女の名前を呼ぶと、髑髏はリボーンへ視線を向けた。



「理由は、わかってんのか?」

「…はい。だから…私を、チームに入れてください…」

「髑髏、こんな体で…」

「お願い…」

「――わかった」

「リボーン!」

「ありがとう…」

「だが、今のお前はいれられねぇ」

「…っ」

「クローム髑髏、お前は六道骸の何処にいたいんだ?」

「…!」



どうして、と問いたかった。どうして、髑髏を入れることを許可したのだと。

…でも、髑髏の覚悟も…リボーンの覚悟も強かった。
…覚悟を決めた人を止めることはできない。私も、同じだから。

リボーンは持っていたバトラーウォッチを髑髏に渡して、行こうと病室を出る。

また来るね、と伝えてリボーンと一緒に病室を出たけど、リボーンの表情は固い。
…たぶん、髑髏を本当にチームに入れてよかったのか、…髑髏が乗り越えられるのか、不安なのだろう。

しばらく二人とも考え込むように黙り込んでいたが、私も相談しようと心に決める。


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