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恭弥は自分のお仕事があるのかずっと書類と睨めっこしていた。
今私が見ているのは各委員会の活動報告書。
毎月書かないといけないんだ……大変だなぁ……あ、でも風紀委員のはない。
というか普通このお仕事は生徒会がするんじゃ…?…権力、かな、うん。
こんなことを考えているけどしっかり手はキーを打っていて、少しずつだけど書類はどんどん片づいていく。
そういえば書類っていつも恭弥一人が整理しているのかな…?
草壁さん、がしているところ見たことないし…どうなんだろう。
もし恭弥一人がこなしていたならすごいよね。
だってこんなにたくさんある書類を全部一人で終わらせるなんて。
パチン、と最後のエンターキーを押して次の書類、と手を伸ばそうとする。
…けど、そこに置いてあった書類はもうなかった。
私が集中している間に全部終わっちゃった、のかな。
思ったより早く終わったから恭弥にコーヒーを淹れよう、と考えて席を立つ。
頭を働かせたら甘い物がほしくなるけど……やっぱりお菓子なんてないよね。
コーヒーと一緒に出せたらよかったんだけど……こんど買い置きしておこう。
あ、そんなこと勝手にしたら怒るかな?
「恭弥、お疲れ様」
「…!ありがとう」
恭弥も書類に集中してたのか私がコーヒーを淹れていたのに気付かなかったらしい。
びっくりしながら顔をあげて、少しだけ笑ってくれた。
ここに置いてあるコーヒーからお茶まですべて質がいいから香りも高い。
それにすごく美味しいから私の分も淹れた。
一段落したのか恭弥はひとまず万年筆を置いて真っ黒なコーヒーを飲み始める。
砂糖とミルク入れなかったんだけど……どうやら正解みたい。
恭弥はブラック派なんだ。私も実はブラック派。
時々エスプレッソとかちょっと濃いコーヒーには砂糖を入れるけど。
「書類、これで終わり?」
「うん。…もう終わったの?」
「集中してたらあっという間に。資料室に運ぼうか?」
「じゃあ頼むよ」
はい、と返事をして飲みかけのコーヒーをテーブルに置いてから資料室へ書類を運ぶ。
資料室もすごい量の資料が溜まってる……
これ整理するの大変…ていうか時間かかりそうだよね。
専用のファイルにそれぞれとじて、応接室に帰る。
帰った頃には恭弥のお仕事も終わっていたみたいで。
…あ、コーヒーのカップ、片付けてくれてる……自分で片付けないといけないのに。
カップ片付けてくれてありがとう、と言うと淹れてくれたお礼、と笑ってくれた。
恭弥って並盛では怖がられているのに本当は優しいよね……
(トクリ、と心臓が一つ、高鳴った)
「美瑠のおかげでもう終わったよ。すごいね」
「イタリアで少ししてたから……いつも恭弥一人でこなしてたの?」
「いや草壁に押し付…頼んでた。
けど、今度からは美瑠にも手伝ってもらいたいな」
「(押し付けてたの?;)うん、もちろん。お手伝いします」
「よろしくね。…そろそろ帰ろうか。遅くなっちゃったし、送るよ」
「えっ、いいよ!近くだから」
「僕が送りたいんだけど」
ダメ?と意地悪な笑みを浮かべて聞いてくる恭弥。
(あぁ、どうしよう、心臓が、バクバク、いってる)
恭弥は私が断れないこと、わかってて聞いてるんだ。
狡い、と思っていてもそれは言葉にできず。
いつもより早い心臓を抑えながら「お願いします」と笑って答えた。
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