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「―――咬み殺す」
「ぎゃあああ!」
バキッという骨が数本折れる音と共に巨体が吹っ飛ぶ。
不快な断末魔に眉を寄せながら、付着した血を払うために一振りした。
ぽたぽたと血の跡が地面を汚すけど僕は物足りなさで不機嫌さが増していった。
…苛々する。こんなに咬み殺しても、まだ、苛々する。
理由なんて自分でも嫌って程わかっていた。
―――美瑠にあんな顔をさせてしまったことだ。
僕としたことが一時の感情にまかせて美瑠を傷つけてしまった……
聞き流せばよかった。…あの金髪を恋人、なんて、思わなければよかった。
美瑠の言い草では彼は『兄』のような立場。…決して恋人じゃない。
そう気付いたのは帰って冷静になった頭になってからだった。
……自己嫌悪なんて草食動物のすることだと思っていたけど、僕も今回ばかりは陥ってしまったことに更に嫌気がさす。
馬鹿じゃない?って自分でも嘲笑ってしまう。
けど、そんな簡単に感情を整理できるほど大人じゃなかった。
大人に近い、と思っていたけど…案外自分もまだ子ども、だな。
美瑠に一言ごめん、って、そう言えばきっとこの気持ちも少しは晴れるだろう。完全には、無理だろうけど。
…わかっているけど、どうしても美瑠と会う気がしなくて。
(美瑠の顔を見たらまた、傷つけてしまいそうで、怖くて)
結局は、堂々巡り。
(…自分を咬み殺せたら、どんなに楽、か)
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