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―――side 隼人
ニコニコと朝っぱらから幸せそうな笑みを浮かべる美瑠に正直、驚いた。
昨日はあんなに死んだような落ち込みようだったのに……この心境の変化はなんだ?
昨日のことなんか全部忘れたみてーに笑ってやがる。
……けっ、心配して損した。
って心配ってなんだよ、心配してたのかオレ!?
…まぁ、そうだよな。美瑠はオレにとって幼馴染みだ。
小さい頃から…オレがまだあの城にいた頃からの友だち。
………なんか、友だちって言葉に引っかかりを感じるが………
兎に角大切な奴ってことには変わりねぇ。
「おはよう、隼人!」
「…おう」
「今日もいい天気だよねー」
空が綺麗だよ、と教室の狭い窓から空を見上げる美瑠の横顔を見つめる。
…お前の方が綺麗だっての。
っ、違うっ!いや、綺麗だって思ったのは事実だがそういう意味じゃない!
…って何オレ一人で混乱してるんだよ…!
別に誰も聞いてないんだから…じゃなくて、オレのキャラじゃねぇー!
……くそ、どうも美瑠の隣っていうのはオレのペースが乱れる。
「隼人」
「何だよ」
「実はね…私、恭弥と付き合うことになったんだよ」
「……っ、はぁっ!?」
「ちょっと隼人!声が大きい!」
慌てたように美瑠が空からオレに目を向けてしぃっと人差し指を立てる。
教室にいたやつらが「何だ?」というような不思議な視線…あるいは好奇の目を向けてきたから、見るな、というように睨みつければすぐに逸らしていった。
キョロキョロと周りを見渡して、美瑠ははぁっと安堵の溜息をつくと悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
「内緒だからね?」
「……そうかよ」
あーそうかよ、そういうことかよ。
あの気に入らねぇ雲雀の野郎と付き合うことになったのか。
まぁあの雲雀が美瑠を好きだっていうのは明らかだったから驚かねぇが…美瑠が雲雀の野郎を好きになるのは、意外だ。
美瑠は…跳ね馬のディーノみたいな女に優しくて兄みたいな奴が好みだと思っていた。
……まるで正反対の奴好きになったな……
あーまじで気に入らねぇ。…後で雲雀の野郎果たす。
(…恐らく、美瑠の笑顔に負けてできねぇけど)
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