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―――side 恭弥




朝の見回りも終わって、僕は少し早歩きで放送室へと向かう。
この時間はいつも放送部が朝の放送をするから、それを狙うために。

昨日は美瑠と気持ちが通じ合って……兎に角、幸せな気持ちになれた。

こんな風に思うなんて、僕もただの男だったってことなのかな。
それを詰まらない、なんて思う自分はいなくて、寧ろいいんじゃない?って思う自分がいることに笑ってしまう。

美瑠の笑顔を思い出して弛みそうになる口元を引き締めて、放送室のドアを開ける。

僕の予想通り、放送部が朝の放送を始めていた。




「おはようございます。
今日の天気は晴れ。気持ちの良い、朝の……ぐはっ!」




ご託はどうでもよかったから、殴って気絶させる。

だって、邪魔だし。




「ねぇ、これ、このまましゃべっていいの?」




スイッチ入ってたよね?

と、殴り飛ばした男子生徒に話しかける。
けど男子生徒はいい度胸をしていて、無視していた。




「返事くらいしてよね」

『(それ気絶してる―――!)』




と、全校生徒がツッコミをいれたことも知らず。

僕はまぁいいや、後で咬み殺そう、と自己完結してマイクのスイッチが入っていることだけを確認するとマイクに手を掛けた。




「これから緊急抜き打ち容儀検査するから全校生徒外に出て。出なかった奴は全員咬み殺す」




低く言い放てば一斉に学校中から席を立つガタガタとした音がたち始める。

うん、ちゃんと言うこと聞いてるじゃない。

きっとこの放送を草壁も聞いているだろう。
なら彼のことだ。見回りは彼が行ってくれるだろう。

僕が本当に用があるのは……生徒達の容儀じゃないし。

マイクのスイッチを切って僕は学ランを翻し、グラウンドへ出る。

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