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僕の言葉は絶対だからね、みんなしっかりと並んで待っていた。

この分だとサボっている奴は少ないだろう。…いないとはいえない。

怯える校長から「どうぞ…」と言われ、朝礼台の上に立つ。

うん、草食動物達を見下ろすのは気分がいいね。




『1−Aの彼方美瑠。前に出てきて』




ざわり、と1年が騒いで美瑠の背中が誰かに押される。
…一部美瑠を心配そうに見ている奴もいるけど…失礼だな。

僕が美瑠に危害を加えたりするはずないのに。後で咬み殺す。

美瑠はとても不思議そうな顔をして前に出てきたからそっと手を差し出す。

エスコートみたいなものさ。女性には不可欠でしょ?

美瑠もちゃんとわかってくれたのか少し笑って僕の手に手を重ねた。

そして階段を上らせて朝礼台の上に立つと、片手で美瑠を抱き寄せる。




『……!(雲雀さん何してんのー!?)』

「今から聞くこと頭に叩き込んでね。
美瑠は僕の彼女だから手を出した奴は咬み殺す。わかった?」




キャーッという女子の悲鳴のような声に、嘘だろ!?という男達の叫び声。
中には美瑠のことが好きだった奴らもいて、肩を落としたり羨望の眼差しを送る奴もいた。

美瑠は予想外だったのか「恭弥!?」と顔を真っ赤にして目を丸くしながら僕を見上げる。

ワォ、本当に真っ赤だ。それに、吃驚しすぎ。

照れているのか、恥ずかしいのか、…或いは両方なのか、美瑠は俯いて動揺してる。


美瑠、と優しく名前を呼べば美瑠は恐る恐る顔をあげた。

まだ動揺しているのか彷徨う視線を捉えるために小さく笑いかける。




「かわいい」

「……っ」




今まで口に出さなかった言葉を吐き出せば、美瑠は勢いよく再び俯いて、ありえないよ、ととても小さな声で否定した。

ねぇ、わかってるかな……その仕草が『可愛い』って言ってるんだよ?

それ以上可愛いしぐさして、どうするの?

なんて、心の中で愛しさに笑うと頭を撫でて更に抱き締める。



―――その様子を、厳しい顔で見ていた人間がいたことも、知らず。

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