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夕焼け空がとても綺麗に差し込む応接室。

今でも私はあの時のことは忘れない……




15 好きなのは貴方だけ…




日も傾き始めた道路を二人並んで久しぶりに歩く。
大きくなった影が二つ並んでいるのを見て、不思議と懐かしくなった。

イタリアにいた時はもっとたくさんの時間を一緒に過ごしてたのにな……




「……二人で歩くのって久しぶりだよね」

「そう言えばそうだな」




子ども達が騒ぎながら帰っていく声。
寂しげに聞こえ来た鳥の声にイタリアにはない情緒を感じる。

美瑠に会わせた歩調はゆっくりめ。
このゆったりとした時間と、周りの情景がオレ達をしみじみとした雰囲気に包み込んだ。




「どうだ?学校、楽しいか?」

「うん。京子達も、ツナ達もいるからすごく楽しいよ」

「そっか…」




そいつらのことを思い出しているのか楽しそうな笑顔を浮かべる美瑠に、少しだけ安心しながら口元を弛めた。

よかった……この生活を楽しんでいるんだな。
オレは…マフィア学校に通っているとき、あまり楽しくはなかったから。

マフィアにはならない、って公言してたからか学校の雰囲気が肌に合わなかった。


スクアーロも一緒にいたけど…殆どしゃべったことなかったしな。




「リボーンに聞いたんだけど、好きな奴ができたんだってな」

「え…っ!…うん…」




思いもしなかったのか、美瑠は一瞬吃驚したようにこちらに目を向ける。

でも次第に幸せそうに…本当に幸せそうに顔を弛めて、優しく頷いた。


その仕草から心から幸せだと思っていることは明白。


…少しだけ、寂しいな。

ずっと妹のように思ってきていたから、恋とかそういうのに無縁だと思っていた。

でもよく考えたら美瑠のことを大切にしている奴はオレ以外にもイタリアにもたくさんいて。



―――いつかは、結婚したりするんだよな。


美瑠のことは本気で大切にしているから、その寂しさといったら……

リボーンが言うように、オレはまだまだシスコンなんだ。

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