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「どんな奴なんだ?」
「…ちょっと短気かな。群れてる人たちがいるとすぐに咬み殺すとか言うし」
クスリ、と笑いながら言うけど……ど、どんな奴だよ、それ。
美瑠のことだから優しい奴を好きになると思っていたんだが……
オレのイメージではバイオレンスな奴にしか思えねぇ…!
「でも…それ以上に優しくて、強い人だよ。格好いいし、ね…」
ふふっ、と、とても照れたようにはにかんだ美瑠に、なんだ、とオレの肩の力は抜けていった。
酷ぇ奴かと思えば……しっかり、美瑠を大切にしてるんじゃねぇか。
こんな美瑠の笑顔、初めて見たぜ。
限りなく優しくて、相手を本気で好きだと言っている…温かい、笑顔。
無邪気とは違う、恋をした女独特の幸せな笑みに、オレも小さく笑った。
そして思いっきり美瑠の頭をぐしゃぐしゃに撫でてやる。
「わっ!ディ、ディーノ!?」
「幸せそうな顔しやがって!」
「だって…っ、あー!髪がぐしゃぐしゃになるー!」
「ははっ!」
撫でる手を止めれば、美瑠はぐしゃぐしゃ…と言いながら手櫛を通す。
しっかり、オレを恨めしそうに見つめながら。
悪かったって、と悪びれもなくそう言えばもう、と拗ねてしまった。
止めた足を再び動かし始めた美瑠の横に並べば、そこまで怒っていないのがわかる。
そんな美瑠にコイツも大概優しすぎるんだよな、と苦笑する。
「美瑠…そいつと幸せになれよ」
「……天秤じゃなかったら、ね」
「…っ!美瑠、やっぱりお前…!」
知っていたのか…?天秤のことを……
そう口に出さなくても言いたいことがわかったのか、美瑠は苦笑を漏らした。
知ってるよ、と。
そうしっかりと答えて、哀しそうな笑顔のまま夕焼け空を見上げた。
「それでも…そいつと一緒にいるのか?」
知っているなら、理解もしているはずだ。
それなのに……そいつと一緒にいることを選んだのか?
そんな意味を込めれば、美瑠はまた苦笑を漏らす。
ふわり、と秋風が吹き抜けて、美瑠の綺麗な黒髪を靡かせていく。
微かに見えた美瑠の目には、哀愁。
「…好きだって自覚したときには、もう遅かったの……
諦められたらどんなによかったかって、思ったけどね」
「最後にはお前が一番傷つくぞ。それでもか?」
「うん。それに…今、とっても幸せだから」
「そっか……」
ニコリ、と微笑んだ美瑠からまだ哀しそうな雰囲気はぬぐえないけど。
幸せだと言った時の美瑠の目はまっすぐとしていた。
…そうだよな…美瑠は、昔からこういう奴だ。
どこまでも真っ直ぐで…信念の強い、凛とした女の子。
ここまで強い意志があるなら……きっと全てを跳ね返せる時がくる。
――――運命さえも、な。
「あ、着いた!ありがとう、ディーノ」
「いや……頑張れよ!」
「うん!」
また会おうな、といつものように挨拶に美瑠の頬にキスする。
イタリアでは当たり前だから美瑠も特に照れもせずに受け入れた。
バイバイ、と手を振られてじゃーな!と笑って手を振り返す。
そして少し軽い足取りでツナの家へと向かった。
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