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「美瑠さん、少しよろしいでしょうか?」
「はい」
医院長さんに呼ばれて病室から出ると神妙な顔をされる。
もしかして何か悪い病気に、と不安がよぎり、医院長さんの顔を見つめた。
医院長さんはその顔のまま口をゆっくり開き……
「風邪です」
「……え?」
「雲雀くんは風邪にかかってらっしゃいます。二三日すれば全快なさるでしょう」
「あ…はい。わかりました……」
では失礼します。という声を呆然と聞いて、その場に立ちつくす。
あんなに高い熱があったのに……普通の、風邪?
いや、風邪をバカにしているわけじゃないんだけど……
「…風邪って…」
なんだか、普通。
普通すぎて…可笑しい。
あの最強の名をほしいままにしている恭弥もこうやって人間らしいところがあるんだよね。
…何にしても、二三日で回復できるってわかってよかった。
ホッとしてから少し軽くなった心のまま恭弥の病室に入る。
恭弥は変わらず点滴を受けながらぐっすり眠っていて、先程よりも顔色がよくなっていた。
「恭弥…早く元気になれるといいね」
近くにあった椅子に座って、そっと起こさないように気を付けながら手を握り締めると、意識はないはずなのに、恭弥は私の手を握りかえしてくれた。
無意識、なのかな……そうだったら、すごく嬉しいな。
起きるまでずっと側にいるね……
恭弥の大きな手を包み込んで、そう呟くと私は恭弥の目が覚めるのを待ち続けた。
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