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―――雲雀side



「(ねぇ…もしかしてないの?)」




丁寧にチョコを移動させる美瑠を見やりながら、仕事をしたいんだけどそっちが気になって仕事にならない。
さっきからそのことばかりで全く頭に入らないんだよね。

チョコ、くれないのかな?
やっぱりイタリアから来たばっかりだから日本の風習を知らないのかも。
でも僕楽しみにしてたんだよ?
お弁当おいしかったからきっとチョコもおいしいって思ってたから。


(それに美瑠が僕のために作ってほしいしね)


でもさっきから美瑠はバレンタインなんて関係ないとばかりに黙々と仕事をこなしてる。

や。委員としてなら文句ないよ?むしろ褒めてあげたいほど。
でもさ。彼氏としては……ほしいんだよね。




「はい。これで最後だよ」

「…ありがとう」



笑顔で渡されるのはチョコじゃなくて、書類。

それを残念に思いつつ、やっぱりほしいという願望は止めることができない。




「(はぁ…これすごくがんばって作ったのに自分で食べなきゃいけないかなぁ……
なんかすごく虚しいよ…;)」

「美瑠」

「あ、はい!何?」




いけない、何か不備があった?と聞かれて、僕はううん、と首を振った。
むしろいつもと変わらず完璧な書類で助かっているんだけれど。

僕はどうしてもバレンタインのことが気になって、思わず「今日は何の日か知ってる?」と聞いてしまった。

そんな美瑠は僕からバレンタインのことを聞かれるとは思ってなかったようで、少し驚いたように僕を見つめる。




「今日は…バレンタインだね」

「…美瑠はチョコ、誰かにあげた?」

「うん、あげたよ」




ピクッ!とその回答に僕の肩が揺れる。

ちょっと待って。僕の前に誰かにあげたの?
それに、チョコをあげたってことはバレンタインの風習を知っていたってことだよね。

いや、それよりも、




「誰に?」

「えっと…ディーノとツナと隼人と武とリボーンに」

「………へぇ」




僕を差し置いて、ね。

(黒い、もやもやしたものが、渦巻く)

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