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エスプレッソの良い香りが私の鼻孔を擽る。
誰か淹れてくれたのかな、と寝ぼけながらゆっくり目をあけて、数回の瞬き。

……あれ、ここ、私の部屋じゃない。
私の部屋にしてはシンプルすぎる部屋に首を傾げているとかすかに人の気配がしてエスプレッソの香りが一層強くなる。




「起きたか?」

「…リボー、ン…?」

「なんだ、寝ぼけてんのか」

「なんで、ここに……」




カッターシャツに黒いパンツ、という珍しいラフな姿に、思わず素で首を傾げてしまった。
その様子に息を飲んだリボーンに更なる疑問を湧かせつつ、昨日のことを思い出す。

昨日は……いつも通りリボーンと任務して、それで、沢田綱吉と再会、して、それ、で……?




「……っ」




そうだ、やっと思い出した。
―――雲雀恭弥さんに、再会したんだ。

それで泣きそうな私をリボーンがかばいながらこの部屋に連れてきてくれて……
泣いてたらいつの間にか疲れちゃって、寝ちゃったんだ。

なんたる失態……
やっと記憶が戻ってくると同時に頭も一緒に覚醒して羞恥心がこみあげてくる。
リボーンにはいつも私の弱い部分ばっかり見られている気がする。




「…リボーン」

「……なんだ?」

「ありがとう…」




私の残っているかすかなプライドからの反抗で小さな声になってしまったけれど。
リボーンにはちゃんと届いていたみたいで、リボーンらしくないくらい私の頭を乱暴に撫でた。

いや、これ本当に痛いんですけど。
髪の毛もぐしゃぐしゃになるし。

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