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「翠徠、少しいいかな?」
帰り際、そう言われて私の足がピタリ、と止まる。
声を掛けられただけでもこんなに嫌悪してしまう私はもう重傷だ。
守護者達が解散していく中、郁織は可愛い笑顔を浮かべて私を呼び止めていた。
その声に足を止めたのは私とリボーンと骸、そして雲雀さん。…興味ありげに見るのは綱吉。
他の守護者は一瞬だけ私達に視線を向けてそのまま出て行ってしまった。
ランボくんは不安そうな視線を私に送ったが何も言わず出て行く。
空気が止まったような感覚に陥る綱吉の執務室で私はゆっくり振り向いた。
「…何?急いでるから手短にお願いできる?」
「えぇ、もちろん。女の子同士、私の部屋で話しましょ?」
“私の部屋で”
それは私と郁織、二人っきりの空間。
リボーンも骸も綱吉も…もちろん彼氏である雲雀さんも入り込めない、場所。
誰にも邪魔させない気か、と軽蔑の意味を込めて鼻で笑う。
でも…一対一で話そうと私に言ったことは褒めてあげてもいい。
相変わらず笑顔のままの郁織に、フッと口の端を皮肉げにあげた。
「いいよ」
「じゃ、こっち」
先に失礼するね、と郁織は残っていた人達に笑ってそういうと先導するように先に出る。
私もその後に何も言わず出て行き……綱吉の執務室のドアをバタン、と閉めた。
コツリ、コツリ、コツリ。
そんな二つのヒール音がボンゴレの広い廊下に響き渡る。
二人して無言で、後ろをついて行っている私からは郁織の表情は見えない。
…でも何となく、見なくてもいいような表情をしているような気がした。
しばらく歩いていくと郁織の足が止まり、一つの部屋に鍵が差し込まれる。
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