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一瞬だけ息を飲んで、―――パンッと一人を仕留める。
次に二匹目、三匹目、そう息をつく暇もなく引き金を引き、殺していった。
後一人…最後の男はさすがに異変に気づき、狼狽えたように走り回る。
ちっ、と舌打ちして物陰から身を出して狙いを定めた。
獄寺隼人も同時に飛び出して、撃とうとした、けど。
「「……!」」
「neve neraと嵐の守護者か…」
誰、この男……資料にはなかったはず……
突然出てきた隙のない男に二人して眉を顰める。
ターゲットの一人は安心したように「来てくれたか!」と笑った。
つまりこいつは雇われ用心棒か……
出で立ちは私達と変わらない黒いスーツで獲物は刀のようだった。
キラリ、と鈍い刀の光に私の刀がカタリ、と興奮したように動く。
あぁこの子が久しぶりに“血”を欲している。
落ち着きなさい、とばかりに相棒を撫でて目の前の敵に殺気を送りながら…背中に、手を回す。
カチャリ、という刀が抜かれる音と共にすらりとした長剣を抜いた。
…獄寺隼人がすごく驚いているけど、説明する気はさらさらない。
この子を…翡翠を抜くことなんて殆どない、けど、今回は特別。
だって目の前の男…久しぶりに本気を出せそうな程、強い男なんだから。
(この男は知らないけど、強さはわかる。雰囲気が…何人も殺したものだから)
「長剣…銃ではないのか」
「まだまだ勉強不足ね。まぁ…いいわ」
楽しみましょう?
そうニッと口の角を上げて疾駆し―――男の首めがけて翡翠を振るう。
しかし男はそれを最低限の動きで避け、私の刀を受け止めた。
…やっぱり、この人強い。
力比べになると私が不利になるのですぐに刀を引いて、右、左、左、右、と打ちこむ。
私の動きが速すぎるのか男は防ぐの精一杯のよう。…なんだ、ちょっと拍子抜け。
これじゃ3分も持たないわね……
小さく落胆の溜息をついて、くるり、と手首をひねって男の脇腹を一気に切り裂く。
「ぐっ…!」
「遅いわ」
更にもう一発男の心臓をついて…翡翠を引き抜けば血の噴水が出来上がった。
バタリ、と倒れた男を一瞥して翡翠についた血をひゅっと吹き飛ばす。
真っ赤に真っ赤に染まった翡翠……
そんな翡翠は嬉しそうに銀色の光を放つ。
帰って手入れしないとね、と呟いて唯一残ったターゲットを見据えた。
(男の顔が、歪む、歪む―――憎しみに、恐怖に)
「貴方は銃でイかせてあげる」
翡翠を片手にパンッと銃弾を一発男の額に埋め込んだ。
―――任務終了の、合図。
どさり、と男の体が倒れて息をしている者の一人、獄寺隼人が近づいてくる。
私は小さなキスを黒い薔薇に落として、ヒットマンか用心棒だったであろう強かった彼の上に薔薇を落とした。
これは……彼への敬意。私から、同志への餞。
安らかに眠って、名前も知らないヒットマン。
彼女の実力、圧倒的
(その強さに、彼は畏怖さえ覚えた)
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