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「一人でしてるの?」
「う、うん…」
「…手伝う」
「えっ…!あ、…!」
バックをおろして代わりに重いトンボを一つ引きずって壁に立てかけていたトンボを取ってきてくれた。
そしてオレがしていない所を黙々とトンボがけし始めてくれる。
いいよ、やらなくても。もう終わろうとしてたところだし。
そう言いたかったけど、真剣に平らにする空さんの横顔を見ていたら、言えなくて。
オレも戻しかけていたトンボを取り出して途中のところを平らにする。
「…あの、空、さん」
「何?」
「ありがとう…手伝ってくれて」
「…大変そうだったから」
ガリ、ガリ、ガリ。
そんな地面が平らになる音と共に空さんの綺麗な声が響く。
なんでかわからないけど、空さんの声を聞いていると心が落ち着いた。…安心、ともいえる気がする。
日がもう山に沈んで辺りが暗くなった頃、やっとグラウンドが整備された。
初めてやり遂げられたから、少しだけ嬉しくて。
…いや、空さんが、誰かが初めて手伝ってくれたから、嬉しくて、思わず顔が弛んだ。
道具まで片づけが終わると空さんは何も言わずにバッグを持って帰ろうとしていた。
あ…っ、お、お礼、言わないと…!
「空さん!」
「…何?」
ちゃんと、足をとめて、振り向いてくれる。
オレを無視なんてしない。
本当だったら疲れてて話しかけるのも嫌だったはずなのに。
彼女は…わかりにくいけど、優しい人だ。
ぐっとお腹に力をいれて思いっきり大声で感謝を表す。
(顔には優しい、優しい笑みを浮かべて)
「本当にありがとう…!」
心からの、感謝を。
いつも以上に大きなオレの声がグラウンドに反響する。
彼女にすこしでも…この気持ちが伝わるように。
暗くて彼女の表情は見えなかったけど、今の空さんの顔はきっと、穏やかな顔をしているような気がした。
「…沢田君、やればできるんだから、一歩踏み出してみれば?」
「え…?」
「ま、そのきっかけはすぐにくるような気がするけど」
じゃ、また明日。
そう空さんは背中を向けて変わらない歩調で帰っていった。
送ればよかった、なんてオレが後悔していたのも知らないで。
―――彼女はリボーンがくることをあの時直感的に感じ取っていたのかもしれない、と気付いたのはこの数年後。
あの時の言葉があったからこそ、今のオレがある……
君はもう忘れてるかな…
(この時からだったんだ、オレが翠徠を好きになったのは)
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