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朝目が覚めると私は裸の綱吉に抱き締められていた。
道理でいつもより温かいって思ったわけだ……
そっと見上げればボンゴレのボスとは思えないほど無防備な顔をして寝ているツナの寝顔が目に入る。
本当に穏やかな寝顔だから……少しだけ安心した。
シャワー浴びよう、と起こさないように腕を慎重に外してベッドから抜け出す。
温かいお湯に浸って少しゆっくりしてからシャワー室を出た。
もちろん髪は濡れているから一つに纏め上げて髪留めで留める。
いつもの着物に着替えて外に出れば、
「翠徠っ…」
「綱吉?」
抱きつかれた、思いっきり。
もちろんさっきまで寝ていたはずの綱吉で。
ぎゅうっと強く強く抱き締めて首元に顔を埋める綱吉にどうしたの?とできるだけ優しい声音で話しかける。
だって、どこか不安そうな…縋るような仕草だった、から。
ぽんぽん、とあやすように頭を撫でてあげると少しだけ腕の力が弛んだ。
「いなくなった、のかと…」
「ここ、私の部屋なんだけど?」
「……嫌われたかと、思った」
的確な答えが浮かばず、ただ苦笑して頭を撫でることしかできなかった。
そんなことない、とか、嫌いじゃない、なんてことは言えない。
それじゃあ好きなの?と希望を持たせてしまうから。
綱吉の求めている好き、は私の感じている好きの部類に入る感情の意味合いが違う。
嫌いじゃない。…でも、好きでもない。
“人間”としては好きな部類だけど、“異性”としては何とも感じないから。
一緒にいてもドキドキしないし、今だって…そう。
今の気持ちを一番近い言葉で言い表すなら『親のような心情』なんだ。
決して愛しい、や好き、だという気持ちはない。…絶対に。
「綱吉、とりあえず上のシャツ着てくれない?…少し困るんだけど」
「わっ!あ、ごめん!」
綱吉の格好は黒いスーツのパンツに上半身裸だ。
下を履いていてくれたことは感謝するけど…どうせならシャツも一緒に着てほしかった。
非常に、目のやりどころに困る。
綱吉も今更気付いたのか急に顔を赤くして寝室に入っていった。
なんていうか……今の表情はまさしく“沢田君”だった。
いつもの“綱吉”ならニヒルに笑って「そそるでしょ?」くらいは言いそうなのに。
素に戻ってる、のかな……それだったら、私はそっちの方が好きだけど。
だって黒いツナは全然可愛くないし。
綱吉が着がえている間に私は厨房に電話をして朝ご飯を二人分作ってもらうように頼む。
何で二人分?ってシェフは首を傾げただろうけど何も言わず「わかりました」って言ってくれた。
相変わらずシェフは気の利く人だ。
「翠徠…さっきは、ごめん。取り乱して」
「別に。気にしてないわ。
朝ご飯食べていくでしょ?作らせてるからちょっと待ってて。
あ、シャワー浴びてくる?勝手に使っていいけど」
「じゃ、お言葉に甘えて…」
タオルは三番目の棚だから、と伝えて綱吉はシャワー室に消えていった。
その間にドライヤーを取り出して髪を乾かす。
自然乾燥が基本的に好きだからドライヤー使いたくなかったんだけどね。
熱風が私の頬にかかりつつ、髪を乾かしているとコンコン、とノック音が聞こえた。
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