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―――似ている、というレベルじゃない。
もはやこの人は私の知っている『彼』と同一人物だ。
ニコリ、と昔では考えられない強い者の見せる笑みを浮かべながら、元同級生の彼、沢田綱吉は私に近づいてきた。
「久しぶり、だね。逢いたかったよ……翠徠」
「……私の思い違いではなければ、貴方は沢田綱吉?」
「そうだよ。変わりすぎてびっくりした?」
「そうだね。昔はそんな笑みを浮かべたりしなかった」
率直な感想を述べれば、一瞬だけ沢田綱吉の笑みが消える。
しかし、すぐに何事もなかったようにニッと口の端をあげた。
…あぁ、この笑みは隣にいる最強ヒットマンと同じ笑みだ。
(彼が家庭教師だったという噂は本当だったらしい)
ひとまず窓からひらり、と降りて床に足をつけると真っ直ぐ沢田綱吉と視線を交える。
何もかも見透かしたような目……超直感とかいうのもあるんだっけ?
兎に角今の彼は私にとって少し相手が悪いみたいだ。
「それをいうなら翠徠もだよ。
そんなに美人だなんて、知らなかったな」
「お褒めの言葉どうもありがとう」
嫌味にしか聞こえませんけど、という言葉ももちろん付け足す。
中学の時……私は確かにこんな姿ではなかった。
もちろん整形なんてしていないが、中学の時はわざと地味に見せていた。
そうすれば私の正体がバレることはない。
……私は、イタリアンマフィアでも有名な殺し屋の家系。
幼い頃日本に来て、修行をしながら平和に暮らしていた。
物心ついたときから私は銃と刀を握らされて自分の身を守る術と人の命を奪う術、両方を心得ていたし、中学に入ってからは任務も雑務も両方こなしていた。
厳しい、マフィア以上に厳しい、家庭。
そこに生まれたことに全く後悔していない、といえば嘘になる。
子どもというのは自分が特殊だと平凡に憧れる時期があるから。
でも今は後悔していないし、寧ろこの仕事だけが生き甲斐だ。
仕事に生きる女万歳、といったところだろう。…これを言ったら父に怒られそうだが。
話がそれたが、私は中学の時長い髪を一つに纏め、ダサイ眼鏡をかけ、スカートも規定より長めにはいている、というごく真面目な女子生徒だったのだ。
わざと、だけど。
そして目の前にいる沢田綱吉――中学の時は『沢田君』と呼んでいた彼も私の正体を知らなかったはず。
そう……誰も、知らないはずだった。
「『沢田君』があのドン・ボンゴレだなんて……予想外」
「そうかな?ま、今更だけど立ち話も何だし……屋敷に来て貰うよ」
「お断り。私はこう見えて忙しいの」
「知ってる。人気のヒットマン、だもんね?」
なんだ、何だろう、この違和感。
さっきから頭の中に響く、小さな警報は、どうしてだろうか。
私のヒットマンとしての勘が『危険だ』と告げている。何故だろう?
そんなの簡単だ。目の前の彼が『危険』だからに決まっている。
わかってはいるが私の体は思うように動かない。
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