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否、動くことができない。
今動けば確実に……リボーンの銃が火を噴くか、沢田綱吉が攻撃してくるに違いなかったから。
この時、初めて、彼、沢田綱吉が動いた。
一歩、また一歩と私との距離をつめてくる。
動け……動け、私の足。早く、逃げないと、いけない、気がする、のに…!
コツン、と最後の音を立てて、ぐいっと沢田綱吉に手首を掴まれる。
その拍子にか私の体は沢田綱吉と密着して、そっと沢田綱吉の唇が私の耳に、触れる。
「一緒にきてもらうよ、翠徠」
「……っ」
まるで、毒を含んだ甘い蜜のようだ、と思った。
低く、甘く、囁かれた言葉とちくり、とした痛みに私は為す術もなく崩れ落ちる。
そんな私に満足そうに笑って、沢田綱吉は私の体を抱き上げた。
その様子にリボーンが不機嫌そうに眉を寄せたのを見て、私の意識は途絶えていった……
追憶、そして現在(イマ)
(やっと捕まえたよ、翠徠…)
(そう呟いた沢田綱吉の言葉も、知らずに)
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