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……なんて、タイミングの、悪い。
最悪…私、あんな場面を見る、なん、て……
「翠徠」
「リボ、」
ぐいっと腕をひっぱられて、すぽりと私の体がリボーンの腕の中に収まる。
でも、この体制はさっきのことを思い出させるのには、充分で。
嫌っ、とリボーンから離れようとしたけど、リボーンは離してくれない。
「離してっ…!」
「離さねぇ。絶対に…っ」
「…!リボー、ン…」
ぎゅっと強く、強く、抱き締められて、私は何もできなくなる。
リボーンの声が、切なげに私の鼓膜を震わせて。
…どうして、こんなに、優しいの、なんて、言えなくて。
きゅっと歪められた眉に胸が苦しくなった。
リボーン、と彼の名前を呼ぶとリボーンはただ、私を抱き締めてくれて。
そのままリボーンの部屋に入って、どうしようもなく、泣きたくなった。
これから郁織と雲雀さんがすることは容易に想像できた。
それだけで、現実を叩きつけられた、ようで。
……雲雀さんが私を抱いた、あの時のことを思い出させて。
リボーン、と何度も彼の名前を狡いって、わかっていても、呼んでしまった。
「翠徠…」
「リボーン…っ私、私っ…」
「…わかってる」
「ごめんっ…」
優しい彼を利用して、なんて私は狡くて、酷い奴。
でも……今は、リボーンの優しさに、縋るしか、なくて。
最低、と心の中で自分を罵りながらリボーンの真っ黒な瞳を見つめる。
リボーンはその場にあったお酒を煽って、そのまま私に口付けた。
どろりとしたリボーンの舌と辛口なお酒が入り交じり、深く、深く、口付けられる。
お酒が強かったのか、くらり、と酔いを感じ、そのまま崩れ落ちた。
それでもキスはとまらなくて、床に押し倒されながら舌を絡ませられる。
キスが激しいせいか、それともお酒のせいなのか。
わからなかったけれど、私の意識は次第に遠のいていった。
「……、っ」
私が気絶したのがわかったのか、リボーンはゆっくり唇を離す。
つぅっと銀の糸が繋がって、とぷつり切れたのをぺろり、と舐め取った。
その姿は色っぽく、妖艶だったが、リボーンの目はぐらりと揺れていた。
そしてゆっくり私を抱き締めて、切なげに呟く。
「…オレじゃ、ダメか…?」
こんなに愛してるのに。
そんな悲痛な愛の言葉は、空虚な部屋に消えて。
リボーンは再び唇を合わせると私をベッドに寝かせる。
そしていつものボルサーノを深く被って、リボーンはその部屋から出て行った。
愛していても
(この想いがアイツに届くことは、ない)
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