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煌びやかなあの会場にきっと黒のシックのドレスはとても地味に見えるだろう。
でも私はそれでいいと思った。…目立つのは、あまり好きじゃないから。

自分で髪を結い上げて今日は一人で適当にネックレスをつけていると内線が入った。
なんでもタキシード姿のリボーンが着いたとか。
すぐに行くわ、と部下に伝えていつもより高めのヒールを履いて太股の付け根にベルトを巻いて銃を仕込む。

このドレスじゃ翡翠も持っていけない。

少しだけいつもより軽い背中に寂しさを覚えつつ、翡翠を撫でてから部屋を出る。
スリットが入っているから歩きやすいわね、と応接室に向かった。

一応リボーンはお客だから応接室に通しておいたけど……大人しくしてるかしら。

カチャリ、という音を立てて大きな扉が開くと応接室の中でエスプレッソを飲んでいるリボーンの姿が目に入った。

しかもタキシードに何故かオールバック。……悔しいほど似合うけど。




「リボーン、お待たせ」

「お、…髑髏が選んだにしては随分と大人しめだな」

「ちょっと、どういう意味よそれ」

「露出高めの派手なドレスを期待してた」

「殺すわよ」

「お前は露出があった方が似合うって褒めてんだぞ」




褒め言葉じゃないわ、と不服そうに睨めばクッと小さな笑みを浮かべられた。
これ以上はお姫様の機嫌を損ねたくねぇな、と囁いてそっと手を差し出す。
そういえばエスコートしたいって言ってたわね、と思い出しながらその手に手を重ねた。
それからは流石、としか言えないくらい完璧なエスコートを見せたリボーン。

細かいところまで気づいてくれるし、さりげなく優しい。

これだからたくさん女性が落ちてしまうのか、と罪なくらい優しいリボーンに溜息をつく。

その溜息さえ、見逃してくれなくて。



「疲れたか?」

「…まだ、大丈夫よ。会場にも着いてないでしょ?」

「無理すんなよ」

「わかってる……ねぇ、リボーン、」

「…?どうした?」

「……あんまり女性に優しくするものじゃないわ」




勘違いしてしまうのでしょう、と。


何故か口についてでてしまった言葉に自身で眉を顰めてしまった。
何を言ってるの、私。別にリボーンが誰かに優しくして新しい愛人ができたって関係ないというのに。
これじゃあまるで私が独占欲のある愛人みた…最悪、考えたくもない。

冷静にならないと、と目を瞑ってリボーンから目を逸らすと、


「何でもないわ、忘れて」



と独り言のように呟いた。

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