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何でも綱吉の挨拶はまだ終わっていなかったようで。
とても不機嫌そうに「逃亡するなんていい度胸だね」と眉間に皺を寄せる雲雀さんに「そんなに怒らないでくださいよ、雲雀さん」と綱吉はへらり、と笑った。
雲雀さんはその笑顔にまた不快感を示したが「こいつは連れて行くよ」と綱吉を引きずり…否連れて行った。
巨大ファミリーのボスというものも色々と大変らしい。
私は一応巨大ファミリーのボス…まぁ殺し屋専門、というファミリーだから目立たない。
何より誰かと同盟とかも組んでいない。…ボンゴレには協力するだけ。
実際ボンゴレ専属、というのは私個人であってファミリーは関係ない。
リボーンは作ってもらったのかゴールドシャンパンではなく私の知らないお酒を持ってきた。
一方はピンク色のカクテル。一方は…如何にもアルコール度数の高そうなお酒。
もちろんカクテルは私にだったらしく、ほら、と手渡された。
「これなら飲めるだろ?」
「…さぁ。どれくらい弱いのか、私わからないし」
「ま、大してアルコール入ってねぇから心配すんな」
酔ったらオレが介抱してやるよ、とニヒルな笑みを浮かべるリボーンに絶対死んでも酔わない、と冷たくあしらって一口だけカクテルに口をつける。
ほろ甘さと心地いいくらいのお酒が舌の上で転がって思わず美味しい、と呟いてしまった。
当たり前だろ、と小さく笑うリボーンにカクテルの名前を聞いて、たわいない会話をしていれば、突然会場内に広がっていた音楽がダンス用の音楽へと早変わりする。
いち早く察知する恋人達、または男性達は美しく着飾った女性達にダンスを申し込んでいた。
快く引き受ける女性、ごめんなさい、と苦笑を浮かべる女性。
みんな様々な反応を示し、落胆する男やホールに出るカップルもいる。
どちらにしろ、私には無関係。誘ってくるような男なんて一人もいない。
なんて言ったって地味だし、そこまで綺麗じゃない。
万が一誘われたって承諾する気も毛頭なかった。
こくり、と一口またカクテルを煽ればリボーンが空になった(…早い…)グラスをその辺にいたボーイに預ける。
そしてそのまま私に視線を向けて、…嫌な予感。
「オレらも踊るぞ、翠徠」
「嫌」
「…仕方ねぇな」
あら、珍しい。あのリボーンがあっさりとひいてくれた。
…なんてそんなはずなく。
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