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あろうことかリボーンは、この大勢いるパーティー会場で私の前に片膝をついて紳士的に手を差し出した。

その姿にみんなが気づかないはずなく。

一気にざわり、と騒ぎ始める周囲にちっ、と舌打ちしたくなった。

何考えてるのよ、リボーン。この意味わかっているの?
そう心の中で呟けばもちろんだぞ、と頭に響くリボーンの心の声。

リボーンが片膝をつく。…それは忠誠の意を示しているのと同等ということ。
つまり……本気だと、本気で…私を愛しているのだと。そう言っているのと一緒なのだ。

ここまでされて「嫌」といえるほど私はすごい人間じゃない。
ひしひしと伝わってくる女性の嫉妬の…否殺気の視線に小さく息をついた。




「…エスコート、お願いできるかしら」

「喜んで。お姫様」




リボーンは満足そうに微笑んで、重ねた手を引いてホールに入る。
曲の途中だろうが人が一杯だろうが私達には関係ない。
それなりに嗜んでいる私とリボーンはすぐに曲に合わせて踊り出す。

…シックなドレスだからあんまりダンスが似合わない……チークならまだ、似合うんだけど。

だからといってチークのような密着するダンスはお断り。…今も充分密着してるけど。
でもチークダンスっていったらどうしても私には恋人同士の甘いダンス、というイメージがあるから。

私達は恋人同士でもなんでもないし。

途中綱吉の、リボーンに向かう殺気が感じられたけど足を止めず。
寧ろリボーンなんて勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。…勝ち負けなんてないはずなのに。




「…翠徠」

「何?…言っておくけどさっきのこと、許してないからね」

「仕方ねぇだろ?あの場であぁしないとお前は踊ってくれねぇから」

「……もっと、他のやり方があるでしょう」




わざと足踏んでやろうかしら、とまで考えてターン。
ふわり、と受け止められてリボーンはニッと口の端を格好良くあげた。


“好きな女と踊りたかったんだ。”


そう甘い声で囁かれて無意識のうちに顔が赤くなる。…調子狂う、な、本当。
その笑顔と声は反則だと思う。

何も言わず、ただ黙々とダンスをこなしていればチャン、という楽器の揃った音が終わりを告げる。
わぁっと会場内が盛大な拍手に包まれ、私達や周りのカップルがお辞儀をしてホールから出て行った。

……まだ踊り足りないっていうカップルもいて、残っていたけど。

私はこれ以上踊りたくなかったからホールから出るとリボーンもしょうがなさそうに隣を歩く。
リボーンとしてはもっと踊りたい、という心境なんだろう。私が知ったことじゃないけど。

熱くなった体を冷やそう、と外に近づけば、




「お嬢さん、先ほどのダンスはとても素晴らしかったです」

「……ありがとう」




誰だ、この青年。


そう心の中で呟きながら愛想笑いを浮かべる。

如何にもお坊ちゃん、という風貌の男は金髪を靡かせて私の前に立ちはばかった。
しかも隣にはしっかりパートナーであるリボーンもいるのに、だ。

命知らず…否世間知らずだ、とまたまた心の中で溜息をついた。
こういう人間がいるから身の程知らずが現れるんだ、と。

リボーンはあからさまに不機嫌顔になり、男に対する殺気がだだ漏れしていた。

……痛いほどのそれに全く気づかないこの男もこの男だけど。



面倒なことになった。
(そう、彼女は呟く)

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