置いてあった箱に嫌な予感がよぎった



「姫と、逢いたい」


10年間ずっと心の中だけで叫び続けていた言葉。
それを口に出したことは一度もなかった。
…けど、もう決心はついている。
姫に忘れられていようと…嫌われていようと。

僕は、姫に逢いたい。

これは心からの、本心だった。
草壁…いや哲にそうはっきりと伝えれば嬉しそうに緩やかな笑みを浮かべた……




〜メーデー、メーデー〜




ざわざわと騒がしい校門の隣にある大きな桜の木に寄りかかり、その様子をぼうっと見つめる。
でも視線はいつも無意識に彼女――しばらく会っていない、姫――を探していた。
去年のようにこうやってチョコを没収していたら…また反抗して、僕と会ってくれるような気がしたから。

…僕はあの日以来、姫に会ってない。
(だから会いたい、なんて馬鹿げてるだろうか)

ずっとずっと反抗の声を探したけど、なくて。
一限目のチャイムも鳴り響き、校門を閉める。

…姫は、来てない。

遅刻?それとも休み?
バレンタイン、あげたい人間がいるって言ってたのに……

心の何処かで落胆してる自分がいて、僕は草壁に後は押しつけると応接室に帰る。
鍵を開けようとしたけど鍵は開いていて…思わず気配を消した。

誰かが無断で僕の部屋に入った…?
だけど鍵をこじ開けた跡はない。
ここの鍵は僕と姫しか……


「……!」


気配を消すのも忘れて勢いよくドアを開け放ち、乱暴に部屋の中に入る。…けど、姫の姿はなくて。

その代わりに僕の机の上に何か箱が乗っていた。
ゆっくりと机に近づき、その箱を見つめる。
茶色の包みに緑と金のリボンで飾られた、一目でわかるセンスのいい箱……
そしてその箱に添えられている、白いメッセージカード。
僕はそっとそのカードを持ち上げて二つ折りされたカードを開いた。



置いてあった箱に嫌な予感がよぎった

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