世界の幸せが自分に降ってくるのなら、君に全て捧げたい。
「あーゆーはっぴー?」
「…………」
青空いっぱい、笑顔いっぱい。
いつもより天気がいいから屋上に行き、寝転がって空をぼんやり見上げていれば姫が満面の笑みを浮かべてオレを覗きこんだ。
だから必然的にオレの視界には綺麗すぎる青空とコイツの笑顔しか入らないわけで。
しかも、姫は意味のわからない質問をしながらオレを見つめているわけで。
相変わらず頭弱いな、と愛ある暴言を考えつつ、とりあえず近かった顔をぐいり、と引っ張って軽くキスする。
…と、次に見えた姫の顔が空とは逆の真っ赤で思わず間抜け顔、と笑っていた。
「ローのばか!笑うな!」
「くくっ…説得力がねぇよ」
「うううううるさい!」
「つーかさっきの頭悪りぃ質問はなんだ」
「頭悪くないし!…だって、ロー気持ち良さそうにしてたから」
幸せかな、って思って。
そう小さく呟いた姫にオレも小さく笑うと姫の頭をくしゃりと撫でる。
コイツのこういうところが無性に愛しく感じる。
いつだってオレのことを考えて、オレの幸せを願っている。
オレの女として、親友として、…一番近くにいるものとして。
その気持ちがどれだけ温かくて…幸せか、コイツは知らない。
くしゃりと撫でる手はそのまま姫の額をぴしり、と打つ。所謂、デコピン。
痛っ!!と大げさな声をあげてオレを睨む姫に意地の悪い笑みを浮かべる。
「幸せだ。…お前がいるから」
ぽかん、と再び間抜けな顔をする姫に隙あり、とばかりにキスをする。
…照れ屋なコイツが騒ぎ出すまで、あと3秒。
世界の幸せが自分に降ってくるのなら、君に全てを捧げたい。
そんな愛。
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