今日も空が青いから



今日もまた読書に耽ろうとしたローを外へ無理矢理連れ出して(これは姫だからこそできることで、もしシャチならバラバラにされている)姫はペンギンやベポ、シャチ達と遊ぶことにした。
…と、言っても遊ぶというより戦いの組み手に近いのだが。

今日も強くなるためにベポと組み手をして、姫は休憩のために散歩に出かける。
…ロー達が心配だ、と言ってついてこようとしたのを必死に止めてから。




「青空綺麗ー」




いい天気だなー、とひたすら空を見上げながら歩いていれば突然ガツンッと頭に衝撃が走る。
…空ばかりみていたから木に激突したのだ。
痛い!とおでこを押さえながら痛みに耐えているとぽとり、と横に何か落ちる。




「…ん?あ、果物か。美味しそう…!」




これ食べながらロー達のとこ戻ろう、と姫はその果物を持ち上げて元来た道を戻る。
何気なくぱくり、とその果物を口に入れてしゃり、っと噛めば、

即座に吐き出した。




「まっずぅぅぅ!え、何この見た目綺麗で中身残念な果物!うへぇぇぇ…」




やっぱり拾い食いなんかするもんじゃない、と呟き、食べかけた果物をぽいっと捨てた。
後味も最悪だが自業自得なので我慢する。

少し歩けばロー達が見えてきたから「ただいまー!」と叫んで走り…もこもこな白熊、ベポに抱きついた。




「「「(ベポの奴、羨ましい…!)」」」

「おかえり、姫!散歩はもういいの?」

「うん!また組み手よろしくね、ベポ」

「じゃ、始めよう!」

「アイアイ!」




戦っているローとペンギンから少し離れている場所で姫とベポは組み手を始める。
姫は女の子だが中々強く、ベポと互角に渡り合っていた。
右、左、と攻撃を攻防していたが…足元に木の根があることに気づかず、それに足をとられてバランスを崩す。

咄嗟にベポが手を伸ばしたが、間に合わず姫は痛みを覚悟し、ぎゅっと固く目を瞑った。




「………っ、…あ、れ…?」

「なっ…」

「姫…?」




確かに地面に叩きつけられたはずだ。
なのに痛みはなく、何故か周りが濡れていて…ロー達は驚きで目を見張っていた。
姫は困惑気味にローを見上げると、ローはがしり、と姫の肩を掴む。




「お前っ…変な不味い果物食べなかったか!?」

「不味い、果物…?………あ、さっき、」

「嘘だろ…それ、多分悪魔の実だ…!」

「えっ!?あ、あの、ローも食べた、あれのこと!?シャチ!」

「姫も能力者になったってこと!?」

「…恐らく、そうだろ」

「ペンギン…どうしよう…」

「どうもできない…」




姫、お前も能力者になったんだ。

そんなペンギンの言葉にローはギリッと悔しげに奥歯を噛み締める。
能力者になればもう二度と泳げなくなる。…海に嫌われるから。



「なんで食べたんだよ!?」

「だ、だって、」



今日も空が青いから
(理由になってねぇぇぇ!)

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