いつもより早く目が覚めたから



「ペンギン!」

「…早いな、姫」

「私も早く起きれてびっくりした」




いつも大爆睡だもんな、とからかうように言われて姫はそんなことないもーん、と口を尖らせた。
まだ辺りは薄ら暗いからまだ日は昇っていない。
いつもなら姫はまだ夢の中の住人で、寝ている間は全く何があっても起きない。恐らく火事になっても、だ。
ローは逆に目の下の隈が表すように寝ないことが多く、寝起きの機嫌は最悪で誰かに起こされようなら容赦なくバラバラ。
唯一、姫だけは無意識に認識しているのかバラバラにならないらしい。




「…いつか聞いてみたいと思ってたんだが」

「ん?うん、何?」

「ローのことは好きなのか?」

「は………はぁぁぁぁ!?ちょ、ペンギンさん何聞いちゃってるの!?」

「…やっぱりか」

「やっぱりってなんだー!」




何を納得した!と姫はガクガクとペンギンの肩を揺する。
そんな姫の手をやんわりと外させて落ち着け、とペンギンは小さく笑いながら宥めた。
それでも姫は興奮が収まらないようで何で納得するの、と言い募る。




「何で、って…お前、顔真っ赤」

「……っ!?」

「図星だからだろ」




くすり、とわかりやすい、素直な幼なじみの反応に堪えきれない笑みが零れる。
姫は真っ赤な顔のまま固まったが、恥ずかしそうに俯いてどうせ好きだもん、と精一杯の強がり。
そんな姫にペンギンは何も言わずくしゃりと姫の頭を撫でた。




「ペンギン…?」

「……そろそろあの人も起きる頃だろ。迎えに行ってやれ」




じゃないとまた引きこもるから、と言うペンギンに姫は小さな違和感を感じたがその事には触れず、行ってくる!と元気に立ち上がった。
行ってこい、と見送るペンギンに姫は笑って手を振るとローの家に走っていく。
…その背にペンギンは自身の帽子を目深く被ると小さく息を吐き出した。



「オレもお前が好きなんだけどな」



いつもより早く目が覚めたから
(だから聞いた。オレの気持ちにケリもつけたくて、)

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