「ええっと、本城美雨です…。社会人3年目の会社勤めしてます。A短大卒の23歳です」
「え、23?」
「…大体想像はつきますが、それはどういう意味ですかね?」
「あ、いや。てっきり同い歳か下かと」
「来年で24になります、よろしくどうぞ!!」
「いきなり雑になりましたね」
自分でも童顔なのは自覚しているしこれまでの人生でこのコンプレックスを抉られるパターンは何回も経験しているが、面と向かって言われると少なからず落ち込む。
しかし私を傷つけた当の本人は意外そうな顔を悪びれも隠そうともせず歯に衣着せぬ物言いをする。そんな彼にこれからの共同生活について一抹の不安を感じたが、少なくともしばらくは一緒に生活をするのだ。ここは裏表のない素直な人なのだと考えるようにしようと思う。
「影山飛雄。B大学の2年で、今年で20歳になります。バレーやってます」
「そうなんだ、身長高いもんね」
「昔からバレー中心の生活でそんなに家には居ないと思うんで。あんまり気にしないで下さい」
簡単な自己紹介の後はとりあえず共同生活でのルールを決めた。共有部は綺麗に使い、露出の高い格好はNG、ノックは必ずする事など。光熱費など金銭的なことは私の方が稼ぎがあるので割り勘でいいものかと思い悩んでいたが、影山くんの方から「お互いの生活費なのでちゃんと割りましょう」と先手を打たれた。金銭的に楽になるのは喜ばしいが、年上としてはなんとなく複雑な気分になった。
「あとなんか決めときたい事あります?」
「う〜ん・・・。なんかいざ決めましょうってなると意外とないもんだね」
「そっすね。俺はバレーの生活に支障がなければいいんで、後は特にないっす」
「わたしも水回りが清潔であればいいかな」
「じゃあ、後は追々出てきたら決めるってことで。なにかあったら遠慮なく言って下さい」
「あ、あたしも、何かあったら言ってね」
「うす」
なんだか影山くんがスルスルと話を進めてくれるので思った以上に物事の進みが早いように思う。向かいに座る年下の男の子に対して失礼ながらその外見から色々と不安と不信を抱いていたので、この落ち着きには正直、拍子抜けしてしまった。彼は人との共同生活に慣れているのだろうか、それとただ文字通りバレー以外には興味がないだけなのか。
「なんか影山くんって落ち着いてるよね」
「そうすか?」
「ドッキングの時もなんだかすごく冷静だったし。共同生活に慣れてるの?」
「まぁ、共同生活って合宿みたいなモンなんで」
「合宿って…」
思っていた返答と少しベクトルの向きが違うような気がしたが、この奇抜すぎる共同生活においては意識が低いより部活の合宿くらい高い意識でいてもらえるに超したことは無いので余計なことは言わないでおこう。とりあえず影山くんは悪い人では無さそうだし、現時点で私の大きな心配は早くも杞憂に終わりそうな予感がしていた。
「とりあえず、わたしが引っ越すまでよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
そう言うとやっぱり疲れていたのか影山くんはくぁっと欠伸をした。「すんません」と謝る彼が少し恥ずかしそうで、なんだかかわいく見えたのは内緒にしておこう。
20140826
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