STAGE.1
「名無しさんちゃんは女中として、名無しくんは隊士として今日から働くことになった。まぁ仲良くしてやってくれ」
ニカッと笑って満足気に言うと、『よろしくお願いします』と名無しさんは本日何度目かの挨拶をする。
女中として働く名無しさんはいいとして、絶対名無しくんとはソリが合わないと思う。
何故なら会って数分ですでに殺意を覚えてる。そんな事を考えながら土方が声を発そうとした時、
「「えぇぇぇぇぇ!!」」
と、
今まで部屋を覗き見ていた隊士たちが、声を揃えて客間に乱入してきた。
あれ、人数増えてるくね?
「初めまして!俺、山崎。よろしくね!」
「え、名無しさんちゃんって言うの?可愛いねェ」
「歳は?いくつ?」
嬉々として数名の隊士たちが名無しさんに詰め寄りながら、質問を重ねる。
女中として働いてくれているおば様方には失礼だが、若い女の子が来るなんて初めてだ。
まさしくムサイ男どもの巣に潤いを与える存在。
やっべ、テンション上がって来た。
『あ、あの‥‥』
突然の出来事に目を丸くして焦った表情を浮かべながら返答に困っていると、横の方から「ガチャッ」と何か機械的な音が聞こえた。
えっ?
と思っていると、
ドフゥ!!
本日二度目の発射。
『‥‥‥‥』
目の前で風が切れたと同時に、
名無しさんの前にあった黒い集団は、みごとに吹っ飛ばされました。
すぐ隣に刀を鞘に納める名無しくんの姿が目に入った。沖田が放ったバズーカの爆風の被害を与えないために、刀を振り下ろすことで風の壁を作ったとでも言うのだろうか。
そして、
「「名無しさんに、
姉上に、
気やすく近付いてんじゃねーよ」」
殺気だった2人が吐き捨てた。
とりあえず、波乱の予感。
そんな思いを巡らせながら、真選組副長 土方十四郎は大きなため息をついて、頭を抱えた。
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「おい名無しくん。副長暗殺したら、お前は晴れて一番隊隊長でィ」
「マジでか」