STAGE.10
「明らかに腕ごと持ってく気だったじゃねーか!」
「そうだ、そうだ!持ってくなら土方のだけにしろ!土方のだけ」
「じゃー土方おとなしくしろィ」
オレの意見に従ったのか、再び刀を構える総悟。
「する訳ねーだろ!だいたい何で呼び捨てなんだよ、クソガキどもが」
暑い中に怒鳴らせんじゃねェ、と青筋を浮かべてキレたご様子。
文句言うなら怒んなきゃいいのに。
「実は今、俺が提案した夏服を売り込み中でしてね」
「ロッカーになれやすぜ」と総悟が取り出したのは、真選組制服を素敵にアレンジしたものだった。
両腕部分を引きちぎってカスタマイズされたソレを、明らかに悪ふざけが生み出した産物だと、土方さんは罵倒する。
まぁ、確かにね。
ソレじゃあ、ロッカーにはなれないぜ。
「甘ェな総悟。真のロッカーってのは鎖が必要だ」
そう言って懐から取り出した手製の鎖かたびらを総悟提案の夏服へと装着する。
ジャラジャラと無駄に大きい音が何とも耳障りだ。
総悟も「おぉ」と感嘆した様子で一緒になって取り付けていると、
「悪ふざけに乗っかってんじゃねェ!しかも何仕込んでんだよ!全然イケてねェだろうが!」
スパコンと副長に頭を叩かれた。
イッテェなオイ。
手製だよ?手製ってすげくない?てか、イケてないってどういう事よ。西田に謝れ。
叩かれた頭を撫でつつ恨みを込めた眼を土方さんに向けていると、その先に近藤局長が近づいてくる姿が目に入った。
「おーい。どうだ?調査の方は」
「「‥‥‥‥」」
総悟提案の夏服を身に纏い、ロッカーと化して。
土方さんも呆れた表情をしているけど、まぁ仕方ないね。
ソレじゃあ、ロッカーにはなれないぜ。
「甘いですよ近藤さん。真のロッカーってのは鎖が必要です」
そう言って、懐から取り出した手製の鎖かたびら(2つ目)を近藤さんが着る夏服へと装着すると、
「やめねェか!」
すかさず副長に頭を叩かれた。
何だよ、つまんねーな。