STAGE.11
「ア・ナ・タ」
「ん〜‥?」
「起・き・てvV」
朝。
「ぎゃああああああ!!」
屯所内に、ある人物の叫び声が響き渡った。
「な、な、何しやがんだ!?てめェ!!」
「何って、起こしてやったんですよ」
「起こしてやったじゃねェよ!つか寝起きにてめェの顔なんざ見せられたら、誰でも驚くわ!」
「あぁ、格好良すぎてですか?」
「‥‥そういう意味じゃねぇよ」
本日、真選組副長 土方十四郎の寝起きは最悪だった。
その要因は部下である名無しくん。
目の前数センチほどに顔を近付けてきて、気持ちの悪い猫なで声で「起きて」なんて言ってきやがった。
思わず布団から飛び起きた土方は、悪ふざけとしか思えないその行動に恨みがましい表情を向ける。
「何なんだよ朝っぱらから。ふざけんのも大概にしねェと、叩っ斬るぞクソガキ」
「ふざけてないですよ副長。ちゃんと用事があって来ました」
「あぁ?」
そう言った名無しくんは、一枚の紙を土方の目の前に差し出す。
「有休の申請書です」