STAGE.16
『あのー、ところで先ほどの男性がてる彦君のお父さんなんですか?』
「「‥‥‥‥は?」」
穴の中に埋まっていた二人を掘り起こし、着物についた土を払いながら私が質問すると、何故か目を丸くして驚いた様子の銀さんとカツーラさん。
『でも、さっきてる彦君が母ちゃんって呼んでいたので。お母さんは西郷さんだと思うんですけど‥‥、』
言うと、ますます二人の表情が信じられないものを見るかのように見開かれていく。
そんなに変なこと言ったかな?
首をかしげると、銀さんがポツリと呟く。
「おめーマジでか‥‥?」
『え、マジって何がですか?』
逆に質問を返すと、銀さんの口が大きく開いて、まさしく開いた口が塞がらないというように、ハァ‥と溜息をつかれた。
そして両肩に手を置かれて、真っ直ぐに見据えられる。
「さっきの白褌一丁の男と、店にいたあの化け物は同一人物だ」
『同一人物‥‥?』
「名無しさん、おめー“オカマ”って知ってるか?」
『オカマ‥‥??』
どうしよう、分からないことだらけだ。
「いや、質問を変えよう。俺たちの性別を言ってみろ」
『性別‥‥?女性じゃないんですか?』
昨日までは男性だと思っていましたけど、と付け足すと銀さんはガックリと肩を落とした。
何だか話の方向がずれている気がするけど、銀さんにとってはとても重要らしく、
「俺は男だッ!!」
叫んで、着物の前を広げた。
『‥‥‥‥‥‥』
目の前には女性の豊満な胸、ではなく男性の厚い胸板。
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥』
――――バシィ!
屋敷の庭に響き渡る鈍い音。
私は訳が分からないまま銀さんの頬を叩いて、その場を駆けだしていた。
「‥‥何で叩かれたの、俺」
「どー見てもそれじゃ変質者だろう」
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その後、弟に説明を受け、生まれて初めてオカマという存在を知りました。