STAGE.1

STAGE.21

「新八ィ、木刀持ってきたろうなぁ!」

「え?あ…ハイ!」


誰よりも早く、先頭に走り出た銀髪の男は、受け取った木刀を手に、目標の大砲【マムシZ】目掛け、大きく飛び跳ねた。


「悪りーが、俺ァやっぱり…自由(こっち)の方が向いてるらしいッ!」

―――バキィィン!


空中から振り下ろされた木刀は、砲口を見事に破壊し、大砲の巨大な熱量の暴走により、大きな爆発を引き起こした。

辺りは光で白く染まる。

これで、工場長の野望は完全に潰えることとなり、黒い砂煙の中から現れた銀時は。


「けーるぞー」


と、神楽と新八に告げ、万事屋の三人は夕日に向かって帰路についていた。

その後ろ姿は何とも微笑ましく、名無しさんや名無しくんも自然と笑みがこぼれ、マムシ工場によるテロ事件も銀時の記憶喪失事件も無事に収束したことに安堵した。

が、真選組を取り巻く環境だけは、不穏な空気を残しており。


「局長ォォォ!」


皆が近藤を囲んで、涙ながらに嘆いている。
どうやら先ほどの衝撃で記憶を失ったらしく、バカのくせにややこしいだの、世界一のバカだのと散々な言われようだった。

ただ、目の前で万事屋の絆を見せ付けられた彼ら。

だからきっと、と名無しさんが口を開く。


『銀さんに神楽ちゃんや新八くんが居るように、近藤さんには真選組の皆が付いていますから、きっと大丈夫ですよ』

「そうですね、姉上の言うとおりです」


きっと、近藤の記憶も木の枝が咲き乱れるように、自然と戻る日がやってくる。

そう願いながら、真選組は真選組の帰る場所へと歩み出すのだった。


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『え?一ヶ月も近藤さんの記憶が戻らない?マジでか』
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