STAGE.27
「腐ってる」
「腐ってるね」
天気のいい昼下がり。
神楽ちゃんと遊ぶ約束をしていたため万事屋を訪れたところ、スナックお登勢に皆が集合しており私も流れでお邪魔させてもらっている。
何度か万事屋に出入りしているうちにお登勢さんやキャサリンさんとも面識はあるのだけど。
今、話の中心となっている銀さんの腕の中にいる赤ん坊。驚愕以外の何物でもない。
『銀さんに赤ちゃんがいたなんて驚きましたー』
「名無しさんちゃあん?今の話、聞いてた?俺の子じゃねーって言ってんだろ」
銀さんの腕から赤ん坊を神楽ちゃんが抱き上げ、一緒になってあやしてしたところ苦々しい表情で否定された。
しかし、この子の特徴は銀さんソックリではないだろうか。可愛らしい赤ちゃんの柔らかい頬をツンツンと指でつつきながら考える。
「どうせ、その辺のヤンママがパチンコ行きたくて預けただけだろ。迷惑な話だぜ」
「天パは責任逃れしようとしてましゅよ〜、諦めの悪いパパでしゅね〜。ね、銀楽」
「やめてくんない。その落語家みたいな名前、やめてくんない!」
『こんなに可愛いのに言い逃れしようなんて酷いパパでちゅね〜。ね、銀次郎』
「やめてくんない。そのミ〇ミの帝王的な名前、やめてくんない!」
私達二人のネーミングが不満らしく、カウンター席に座る銀さんから抗議の声が上がる。
そうこうしている間に赤ん坊がしかめっ面でくずりだしてしまい、オムツを変えて欲しいのかミルクが欲しいのかと私達の間でしばらく論争し。
結果、お登勢さんが手際よくミルクを飲ませることで赤ん坊は落ち着いたけど、その姿が可愛いの何のって。
銀さんに子どもがいたことは驚きだけど、その場にいた皆は愛らしい赤ん坊の姿にホンワリと癒されたことは間違いなかった。