STAGE.1

STAGE.27

「よーしよし、金時。お前は親父みたいな人間になっちゃダメだよ」

「万時。こっち向いて、万時」

「銀楽。お母さんだヨ、銀楽」

『銀次郎。頬っぺた可愛いね、銀次郎』

「坂田。アホノ坂田」

歩行器に座る赤ん坊を囲んで、各々が考えた名前で呼びながら私達五人は可愛いらしい姿に釘付けだった。

いつの間にか天井からはメリーゴーランドが吊るされ、積木やぬいぐるみといったオモチャも揃い準備万端といったところ。

「だーーーッ!!」

どういう訳か、赤ん坊を抱えた銀さんが店の扉を蹴破り何処かへ走り去って行ってしまった。

『銀さん、何を…!』

「あの野郎!まさか、また捨てに行くつもりじゃ!?」

「させるか!」

慌てて店を飛び出し、ふざけた天然パーマの悪行を阻止しようと私達三人が駆け出そうとしたとき。

「あのう…すいません、ちょっとお尋ねしたい事が…」

ふいに後ろから掛けられた声に足は止まり、皆が振り向くとそこには初老の男性が立っていた。


◇◆◇


「捨て子、ですかィ?」

「あぁ、まそーいうことで後はお前らおまわりさんに頼むわ。シクヨロ」

「オイオイ、冗談はよしてくだせェ、旦那ァ」

「どっからどう見ても、アンタの子でしょーが」

川沿いの駄菓子屋前。

店先のベンチにて、堂々と仕事をサボっていた沖田と名無しくんは銀時が連れてきた赤ん坊に呆れた声を上げる。

「しかし、どこでこさえたガキか知りやせんが、旦那もスミにおけねーな」

「沖田くーん、旦那はこっちだ。ワザとやってるだろ、お前ワザとだろ」

膝の上に乗せた赤ん坊を指で突く沖田に、銀時は青筋を浮かべながら怒りの言葉を向けた。

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