2018/06/30
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飛び散ったのは私の赤ではない。真っ白なドレスはところどころ赤色に染まった。銃を構えたその人達をただただ眺めることしか私はできなくて私は彼らを見た。
銃声が告げたスタートは、どこかの王族の子供として始まった。最初は世界帝など存在しない世界で生きていた。平和だと思っていた。しかし、きな臭くなる世界情勢、現れた絶対的な武力を持つ世界帝。全てを覆した彼に私の国は楯突いたがーー攻め込まれ今に至る。しかもちょうど結婚式の日であり、私の16の誕生日の日だった。反世界帝の国同士の政略結婚である。ちなみにとなりに倒れているのは夫となるはずだった人ではなく、私を盾にしようとした養父だった。夫となるはずだった人物?先に逃げて言ったから殺されたと思う。以前向けられている銃口。なきも叫びもせずにただ彼らを見つめる。ガスマスクの下の表情は、わからないけれど。カツンカツンと革靴の音がする。彼らの後ろにいた群衆が割れ、彼らは後ろを振り向いた。奥から現れたのは世界帝だった。どこか見覚えがある。
「こんばんは、皇女様。本日はお日柄もよく」
その声に既視感の理由がわかる。彼は最初の世界の父親に似ていた。銀色の髪に冷たい射抜くような青い瞳。彼は私のそばにやってくると、そっと壊れ物を触るように私に触れた。そして、口角を上げる。なんだと思っていたら、彼はマントを翻した。
「連れて帰る。丁重に扱え。二言はなしだ」
そう告げた彼に彼らは一瞬戸惑ったようだった。しかし、すぐに了承する。群衆の奥へ行ってしまった彼にファルさんがため息をついた。エフ姐がこちらを見てやってくる。きるちゅがニコニコと笑った。
「ふふふ、今日はたくさん素敵な思い出ができたねー?旦那さんになる予定だった人も、家族も、みーんな死んじゃって。どうどう?一人になった気持ちは!」
ケラケラ、ケラケラと笑った彼に、思い入れはないと答えたらどうなるのだろうか、と考えてみる。あぁ、でも誕生日があまり良くない日になってしまったのは大変遺憾である。覗き込んだきるちゅに口を開く。
「……誕生日が」
「誕生日?」
「私の誕生日がブラッティな日になってしまったので、遺憾の意を表します」
その言葉に周りは動きを止めた。ゴーストさんが「まさか、それだけなん?」と首を傾げたので頷く。きるちゅが不機嫌そうな顔をした。
「ちょっと、結婚式は!」
「政略結婚なので特別感も何もないです。今日初対面ですし」
「父親は?」
「この人は叔父にあたりますので。実の父親この人に殺されてますしね」
「あら、あたしたち貴女の復讐に手を貸したってことね」
「そうですね」
ベルガーが爆笑しているのを傍目に、アインスさんが口を開く。
「何故命乞いしなかった?あの方が助けてくれるとわかっていたからか?」
「いえ、まさか」
そう緩やかに首を左右に振って、笑う。
「貴方達になら殺されてもいいかなって思っただけですよ」
私の発言に89さんが変な女、と呟いた。
そうして回り始めた世界は変わらない。私はまた彼らと仲良くなるし、ーー私はまた彼の銃弾で命を落とすのだ。赤く飛び散ったのは私の血だけでなく持っていた薔薇の花もである。目を見開いたその人は古銃だったのだろう。親しくなり過ぎてしまったらしい。今度は彼の真っ白なシャツが赤く染まる。そっと目を伏せれば、もう一度銃声がなった。
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最初の世界以来、ずっと一緒だった目の色が金に近い色になった今世。髪の色は父親回数がおおい気がする世界帝(なお養子も含む)に似たらしい。まぁ、今回の世界帝はマルッと姿が違うし、私は家なき子なのだけども。さて、世界はまた世界帝云々となっているのにも関わらず、私の手元にあるのはpsg1である。恐らく銃の没収が始まっていないのだろう。psg1はまだ10をやっと超えたぐらいの私の背丈より大きい銃だ。そして、子供にはかなり重い銃だ。どうして私の手の中にそんな銃があるのかといえば、世界帝云々ではなく、ただの紛争地帯に生まれてしまったからに過ぎない。いわゆる子供兵というやつだ。今日も今日とて戦場に駆り出され、大人では入れないような場所に身を隠し狙撃をする。一番の前線にだって駆り出される時もある。神さまに祈ってもそこから助けられるわけではない。同い年は何人も何人も死んでいき、その度に同じぐらいの歳の子供が戦力として補充される。友人というか気にかけてくれていた人は遠に死に、私のそばにあるpsg1だけが唯一の大切なものになった。
「アインス、今日はね」
そう告げて目を伏せる。誰かが気が狂ったと言った。銃に喋りかけるなんて、と。それでも、私は彼に喋りかけるのをやめない。そう小さく彼を抱えて震える。
「……またたくさんひどいことをされるみたい」
ザリザリと聞こえてくる足音。戦場はまだマシだった。それよりも酷いのは、深夜にやってくる男の人による行為だ。ザリザリ、ザリザリ。そんな相手など引き金を引けばいいのだとは頭の片隅ではわかっている。でもそれができないのは私の友人であった人がそれをして殺されたからだ。足音が止まる。月夜の光が陰で途絶える。やってきた男の人達は粗々しく私を掴むとその場に押し倒した。ああ、嫌なことが始まる。全てをシャットダウンしたくて目を伏せる。しかし嫌でも音を拾う耳、感覚。荒い息、下品な言葉。叩かれた頬に走った痛みに目を開けば、赤い光が一人の頭にさした。そして、小さな音と共にその人は死ぬ。頭から血を吹き出して。他の二人は目を見開いて逃げるようにそこからいなくなる。敵襲だと騒ぐ声が聞こえる。敵のおかげで回避できたそれにアインスを引き寄せてレーザーポインターを遮れる壁とベッドの間に座る。アインスを抱きしめるようにして、扉を見た。疲弊していた。とても、とても。銃声、悲鳴、何かが焼ける音、爆発する音。様々な音に目を伏せる。バタバタとなる足音。しばらくして、響いた足音は革靴だろうか。
「この部屋だ、一人撃ち殺し損ねた」
聞こえた声に目をゆるりと開く。アインスさんの声である。しかし、私の手元にアインスがあるのを見ると私の持っていたモノが人になったわけではないらしい。逃げた可能性は?というファルの声にそちらを見る。
「いや、ない。ご丁寧に壁とベッドの隙間に入って撃てなかった」
「ではまだいると」
そんな会話にもう一度目を伏せる。もう疲れたから、眠ってしまいたかった。銃声がする。恐らくは扉が穴だらけだろう。開いた扉の音。近づく足音が目の前で止まる。
「子供ですね」
「ここはガキが多い場所だな」
「そこまで切羽詰まっていたんでしょう」
「死んでるか?」
「いえ、眠っているだけかと」
「こんな物音がする中寝るとはなかなか図太いやつだな」
不意に、アインスがとられる感覚がして目を開く。彼らはガスマスクをしているからよく見えない。奪われそうになったアインスを取り返すようにしがみつく。ファルさんが銃口を向けたけど知らない。
「こらこら、おとなしくしましょう?死にたくなければ、ね?」
「っかえして!私のアインス、かえして!」
私の発言に彼らは動きを止める。アインスから離された手。それから奪い取るようにアインスをまた抱きしめて彼らを睨む。沈黙である。が、すぐにそれは破られた。最初に吹き出したのはファルさんで、息を吐いたのはアインスさんだ。
「アインスはソレの名前か」
その言葉に頷く。
「奇遇だな、俺もアインスって言うんだ。お前の銃なのか」
「まさか、この子の身長よりも銃身の方が高いんですよ」
「……私の銃。狙撃班にいたから、アインスは、連れてこられた私に与えられた銃。私の仲間……私の、家族……だから、私を殺すならアインスで殺して」
その言葉に今度はアインスさんが笑った。ファルさんがやれやれとしたように息を吐く。捕虜にしましょうか、といった彼は銃身を下げる。アインスさんは私を引っ張り起こす。
「ソレは自分で持ってこいよ」
そうコートを翻していった彼に私はアインスを抱え上げた。
……ちゃんと私が付いてきてるか確認する彼らはある意味紳士的だと思う。
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乗り込んだヘリに揺られ、アインスを抱えて目を伏せたはず、なのだけれども。目が覚めたらふかふかのソファの上でアインスを抱えたまま寝ていた。どういうことだ、と思いながら周りを見る。調度品が整えられた場所である。しばらくして、ドアが開く。シャワー室だろうそこから現れたのは先程のアインスさんだ。ガスマスクを外した彼は私を見おろした。……半裸なのは仕方がない。
「あぁ、起きたのか。悪いな、腹減ってねぇか」
その言葉に首を左右に振る。食事は普段からあまりとらない為今必要じゃない。
「お前、名前は?」
「ナマエです……助けてくれてありがとうございます」
「助けた?今から殺すかもしれないのなか?」
「……あの時、貴方があの人を撃ってくれなかったら酷いことされてたから。殺されるより、戦場に立つよりそっちの方が怖いから」
そう言ってアインスを抱えたままもう一度目を瞑る。襲ってきた眠気に身を任せた。
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うーん??
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