2018/07/02
運命が燃える音を聞け
・レジスタンスだけどノットマスター
・現代→mgs→銃士なう
・ビッグボスに育てられた蛇設定引きずり
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「ナマエ!帰ってきたのか!」
そうかけてきたキョードーに「ただいま」と告げる。ゾロゾロと私の後ろに続いていた四人に解散、といえば彼らは宿舎へ向かった。久しぶりの拠点は賑わっているように感じる。
「人が増えたのか?」
「あぁ、銃士達がきたからな」
「銃士?ファンタジックなアレか?」
「それだ」
そう頷いた彼に頬をかく。とりあえず報告を済ませるかと思っていたが、ナマエも疲れているなら先に休めばいいと言われて仕舞えば仕方がない。とりあえずシャワーを浴びに向かうとする。
私は、人造的なモノだった。人と言えるかはわからない。人の命は天が与えしものであるが、私の命を与えたのは人間だった。米ソ冷戦期の英雄。その遺伝子が組み込まれた私の兄弟は八人いたらしいが、最終的には私を含めて二人になったらしい。その中でも唯一の女が私であり、唯一父親に育てられたのが私だった。最初はどう接すれば良いのかわからなかった父は持てる全てを私に教え、自分の部隊に組み込むこともなくフランスにある外人部隊に私を預けたのである。
ーー私は歳をとらない。
外見は二十代のままだ。それは他の兄弟が人より早く歳を重ねるのに対し、私はある一定の年齢から歳をとらなくなった。寿命は普通の人より短いらしいが。最後に会った父親は、記憶より老けていて歳を重ねていない私を抱きしめた。懺悔なんかも聴きながら、私は目を瞑る。そうして私は『父親』に殺されたはずだったのだ。
目覚めることがない私が目覚めたのは何年前の話だったか。国籍も何もなく、そして間違いなく過去に見えるこの世界で唯一国籍を得る方法が昔と同じ部隊に属すことだった。誰もが私に昔どこにいたからを聞いた。記憶をなくして傭兵団に拾われたと言えば、信じられた。そうして『フランス人』となった時、知らない確変が起きたのである。
私がレジスタンスにいるのは元はフランスという今はもう圧倒的な武力を持ち世界を支配する世界帝の勢力の一部となった国の苦肉の策だった。フランスは外人部隊というそれに世界帝に抗うことだけを命じて降伏したのだ。世界帝についた兵士達ももちろん多くない。逃げた兵士だって多くはない。どうするかと考えていた私についてきた兵士も数人いた。彼らと気ままに傭兵でもするか、と思っていたらレジスタンスの危機を救いーー彼らに協力することになって居間に至る。愛国心もクソもないナマエさんがまさか一番の愛国者に登り詰めるなんてね、と告げた部下に変な顔をした私は悪くない。
シャワーを浴びて更衣室に向かう。その際、はた、と誰かと鉢合わせた。その男が見たことがないのを見ると、恐らくは銃士と呼ばれるファンタジックな存在なんだろう。固まった彼にそのまま服を着替える。恥じらいなんぞとうに捨てたし、抑え込める自信がある。
「すまない!」
そう叫んで部屋を出た彼に、私はさっさと服を着替え、汚れた迷彩服を手に取る。濡れた髪を乾かすのがひどく面倒だから首元にタオルを巻いたまま外に出たら頭を抱えた彼が壁にもたれていた。
「空きましたよ、どうぞ」
そういえば彼は真っ赤な顔で目をそらし、小さく「ああ」と頷いた。
洗濯物は後で洗うとし、そのまま食堂へ向かう。入った瞬間、一瞬の沈黙が走り、そしてガタガタと立ち上がる音がするのを尻目に食堂の女性に「いつも通り」と言えば彼女達は目を瞬いて笑った。
「元気そうで安心したよ、怪我はないかい?」
「まぁ、毎度のことながらかすり傷程度だな」
「アンタのかすり傷はかすり傷じゃないからね!でもまぁ良かったよ!」
そう私の肩をポンポンと叩いた女性に部下が「おばちゃん、そこ、ナマエさん負傷した場所!!」と叫んだ。
「そしてかすり傷じゃないですからね!ナマエさん!傷跡残りますよ!」
「べっつに誰かに嫁入りするわけでもあるまいし。優秀なメディックが処置したんだから大丈夫だろ」
そう言いながら大盛りのご飯を運ぶ。その瞬間、私の周りにやってきたのは同じ部隊だったり拾ったりした人達である。ナマエさん、ナマエさん、という彼らの話を聞きつつ返事をする。そのまま食べ終わり食器を片付けに行く。
「今日はキョードーに報告して私はさっさと寝るからお前らも寝ろ」
そうしっしと追い払う。ええー!と叫んだ周りのうち一人が手を挙げた。
「ナマエさんがお淑やかに言ってくれたら寝ます!!」
「……おやすみなさい、今日は疲れたでしょう?夢見るお子様はさっさと寝ろ」
そう言って食堂を後にした。
ooo
「昨日は、その、すまない。女性の兵士がマスターの他にもう一人いるとは」
から始まり、周りがやけに女性扱いしてくるなと思ったら噂の銃士達らしい。女性が戦場に立つなんて!と言う彼らに、部下が口を開くーー前に彼の口を塞ぐ。
「そうか、なら一人の軍人としてみてくれ」
出されたコーヒーを受け取って口につけて頬杖をついた。
「女が前線に出て戦ってはいけない理由なんかないだろう。生憎ではあるが、私は人生の半分以上を戦場で暮らしているんだ」
そう言ってコーヒーに口をつける。目の前にいた銃士が口角を上げた。
「軍人といったな。どこの国のだ?」
「フランスだな。ただフランス人というわけでもない。貴殿らは知らないだろうが、フランスには外国人が作る部隊があった。そこに所属している」
「いる?」
「一応上の命令では最後まで足掻けだったからなぁ。レジスタンスにいる時点でまだ所属になるとは思う」
「そういえばナマエって部隊の中でもどれぐらいの地位だったんだ?」
キョードーの言葉に、軍人に地位もないだろう、と苦々しく返す。はっはっはっと笑いながら私と歳が近いだろう部下が私の肩を掴んだ。
「ナマエは少佐だ」
「少佐」
「昇格の話をことごとく嫌がる少佐で有名だった」
「……昇格したら実戦参加は遠いからな。指揮をするのは苦手なんだ。あと、今はその立場は関係ないだろう?私はただのレジスタンスの一人だ」
そう言って肩に置かれた手を捻りあげる。痛い痛いと言った彼の手を離した。すると別の部下がニコニコと笑った。
「ナマエさんといえば、あれですよ!あれ!戦う者の、歌が聞こえるか」
そう口ずさみ始めた彼に周りも口ずさみ始める。民衆の歌、と呼ばれたそれだ。こうなると熱は覚めまい。ため息をついて葉巻に火をつける。大合唱になりつつそれに、銃士達がキョトンとしているが。ワンコーラスで満足した彼らはグラスとグラスをかちあわせてわらう。
「この歌がなんなんだ?」
「危機的な状態だった俺たちを助ける時にナマエ達が歌いながら助けてくれてな」
「何故歌を?」
「注意をそらすためだ。あそこは音が反響しやすかったからな。あとはレジスタンス側に味方だと教えるためもある」
葉巻を吹かしてそう告げる。
「相変わらず興味がないな」
「過去はあまり好きじゃない。それは栄光であってもだ。ただ未来だけを考えたらいい。過去の栄光に縋り出せば、大体のものごとは悪い方に転じる。今は今だ」
「なら、怒らなくてもいいのか?」
「賑やかなのも嫌いじゃないから好きにさせてる。個人の嗜好は押し付けるものじゃない」
そう言いつつ、ぼんやりと彼らを眺めた。
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現代銃にもありや意味弱点はある。分解できるところとか。いや、古銃も分解できるが現代銃のほうが早く分解できるだろう。あと、ドライゼ銃以降とその前で戦い方も変えたほうがいいとは思う。まぁ、マスターと呼ばれる彼女を中心としているような彼らに教えることでもないかもしれないが。
「タバティエール達は死なないのか」
そう尋ねればタバコに火をつけたタバティエールは「恐らくはね」と告げた。
「意識を失うと銃になって、またいつか人の形に戻る」
「それを聞くと人じゃないんだなと思うよ」
葉巻の煙を燻らせてそう告げる。彼は苦笑いをしたが。
「ナマエはシャスポーをどう評価する?」
「銃として何十年も生きたのに若い感性だなとは思う。シャスポーの利点はその扱いやすさがある。ドライゼより優れた飛距離、威力。だから、私の部隊でも比較的若いのが持ってるだろう?」
「アァ、あれなんでかと思ったらそういう理由か」
「優れた武器はそういう点が利点だと思う。現代銃なんか子供でも扱えるんだ」
「おいおい、子供が銃を持つだって?」
「持つさ。いや、持たされるが正しい。現代銃の扱いやすさは持たせる人を選ばせないからな。戦争は変わるものだよ。ドライゼ銃の登場で、銃士が歩兵が変わったように」
葉巻を携帯灰皿に押し付ける。
「現代銃に俺たちは勝てない?」
「勝つさ」
「……こりゃまた言い切ったな」
「見下す奴はあとで痛い目を見るからな」
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なんか怖がられてるな?と思ったら一部を投げ飛ばしたからですね。接近戦においては銃より他が強いよ、ということで投げ飛ばしたというか押さえ込んだんだけども、それが悪かったらしい。なので通りざまにアドバイスだけしておく。キョードーが笑っていた。
「そういえばナマエ、現代銃の銃士には会ったか?」
「会いすぎて戦場でお喋りするレベルだな。というか、私が好んで使ってた銃没収されて現代銃が持ってて笑う」
「?」
「私の銃がファンタジックな力で具現化されているらしい」
「なんでわかった?」
「グリップの底に名前だったりマーク刻んでる。前に銃をバラした時に見えたし、体に私のマークだか名前だかが刻まれてるらしいぞ。実質私の部下だと思わないか?」
「どうして手放したんだ?」
「あまり好きではない上官が取ったんだ。じゃなきゃ今頃全部手元だ」
そう肩をすくめる。可哀想なのはスナイパーの奴らだろうか。まぁ、今はケンタッキーライフルやシャスポーなんかを狙撃用に当てているがそれでも距離は現代銃に叶わない。スコープもないので現代銃に戻った時に精度が上がる可能性も下がる可能性もあるが、仕方がない。あるもので戦うしかないのが現状である。車両がすくなく、また、空中から攻撃に出る手段もない。まぁ、向こうも空中から攻撃に出てこないのだけど。
「そういえばこの前、珍しく負傷者が出てたな」
「スナイパーだ。まぁ、撃たれたんじゃなく撤収の時にふざけてて馬から落ちた。打撲で済んだんでよかったよ」
「馬?馬で戦ったのか!?」
「まぁな。だから狙撃のペアが1組浮いてる」
「ドライゼが君の部隊に入りたがってるようだぞ」
「昨日、本人から聞いた。今色々と叩きこんでる。覚えが早くて助かる。あぁ、いたいた、ケンタッキーライフル」
見かけた姿に呼びかける。ビクリと肩を揺らした彼はズルズルと後ろに下がる。
「な、なんスか?」
「この前の作戦で、私の部隊員が一人負傷してな」
そうジリジリと近づく。
「俺には無理っスよ!アンタの部隊!」
「残念だが、私の部隊はドライゼで人員が埋まった」
「……じゃあ、なんすか?」
「怪我をしたのが私の部隊の優秀な狙撃のペアなんだ」
「狙撃……」
「まぁはっきり言うと彼らに狙撃の訓練を受けてみないかと言う話なんだが、君が嫌ならシャスポーに……」
「やります!やらせてくださいッス!」
手を挙げた彼にそうかと笑って頭を撫でる。キョトンとした彼にじゃあ昼食の後に向かわせるよ、と告げて別れる。
「ってなわけだから、しばらく借りるぞ」
「いや、助かる……君には助けられてばかりだな」
「仲間だからな」
キョードーの頭をくしゃくしゃと撫でる。老兵みたいだな、と苦笑いした彼に、ある意味的を得てると思う、と告げた。
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メディック、と聞くと父親の知り合いであったらしい博士が浮かぶ。彼女は私を作り上げた人らしく、たまにデータを取られていた気がする。その度に父親はひどく眉間にシワを寄せていた。まぁ、そんな彼女とも私が秘密裏にフランスに移ったことで会わなくなってしまったが。あの頃、たまに訪ねてくるのは二人の金髪の男女だった。いや、一人はプラチナか。まぁ、そんなことはどうでもいい。彼女は私に愛しい娘、と言葉を投げかけ、彼は私に大切な人と言葉を投げかけた。最後まで会えていたのはどちらだったか。私の思い出は愛おしそうに目を細めた父親で終わっている。どうしてそんなことを言っているかといえば、目の前にいる女性ーーメディックスの愚痴を聞きつつ、拾った拳銃の手入れをしているからだ。飾りのついたその拳銃は観賞用に近く、実用性ではない。それは世界帝側も理解しているんだろう。だから、廃棄された。
「聴いてる?ナマエさん」
「聴いてる。たしかに私も君が有事の際に身を守るすべがあった方がいいとは思う。だが、君は極力戦うべきではない」
そう言ってそういえばひとつだけ没収されていない銃があった、と思い出す。女は身嗜みに気を配るものよ、と言って渡されたものだ。パーティーにいかないわたしには縁がない銃である。
「少し検討しておこう」
「ナマエさんだけだよ、そう言ってくれるのは……どこかに行くの?」
「試し打ちだ。金属薬莢の球も手に入れたことだしな」
そう肩をすくめて衛生室を後にした。
訓練場は賑わっている。なんだと思って入れば狙撃班ふたりが面白おかしくケンタッキーライフルをからかいながらやっているようだ。仲よくて何より。その周りにいたレジスタンスの一人が私を見た。
「あれ?ナマエさん、どうしたんですか?」
「手に入れたからな、試し撃ちだ」
そう言って拳銃を見せる。彼はキョトンとした表情でそれを見た。
「SAA?」
「SAAだが装飾が施されているのを見ると実戦向きじゃないし、使った形跡がないから観賞用だろう」
なんだなんだと割れた彼らに弾を込め的を狙う。一発撃てば心臓にあたった。誰かがひゅう、と口笛をふいた。そのまま拳銃を下ろして見つめる。そして、構えを変えた。腰元近くに構え、左手を添える。そのまま高速射撃して銃をクルリと回してホルダーになおす仕草をした。
「ああ、くそ、やっぱり高速射撃は向かない。ひどい命中率だ」
そう苦々しく呟いて銃をおろす。部下が的と私を見比べた。
「ナマエさん西部からきたガンマンですか?」
「まさか。リボルバー式は苦手なんだ」
「あれで苦手って……」
「昔世話になった人に教わった。彼はもっと早かったし命中率がとても高かった。そうそうずれないんだよなぁ、位置が。どうやってたんだ」
やれやれと言いつつ銃を見る。とりあえず空になった銃はハンドガンケースにしまっておいた。未だ拭われない視線にもう一度首をかしげる。カールといったか少年が口を開いた。
「それは古銃か?」
「微妙なラインだな。何処からが古銃というか、そのラインによる。古いといえば古い。あメトロポリタン美術館ができた年に作られたからーーシャスポーと同い年あたりか。なら古銃だな。メディックちゃんに渡せばいいんだろうか」
そう首を傾げれば彼は「そうだな」と頷いた。
「しかし、君は本当に銃の扱いに長けてるな」
「子供の頃から仕込まれたからな」
「子供……?」
「昔の話だよ」
少しだけ昔を思い描く。もう『家族』と呼ぶべき人物たちに会うことはないだろうが、彼らと自分をつないでいたものは愛だとかそういうものではないとは思う。
「君たちのマスターに渡しておいてくれ。君たちみたいな存在が現れないのであればキョードーに渡せばいい」
「驚いた、使わないのか?」
「いっただろう?リボルバーは苦手なんだ。あと、キョードーの癖はリボルバー向きだ」
そう言って彼に銃を渡す。手を離す瞬間、誰かの声が聞こえた気がした。
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