2018/07/03
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確かな違和感を感じたのは、夜中だった。焼け付くような痛みを感じて目をさます。そのまま洗面所に向かい水で冷やそうとした時にそれに気づいた。痣である。どす黒く、青い。鬱血したような色というのか。蔓を伸ばしたそれはひどく広がり、腕の一帯まである。まるで刺青だ。焼けるような痛みは広がり、さらには頭痛に襲われる。それに耐えていれば後ろからかかった声にはっとした。
「ナマエさん?」
そこにいたのはドライゼである。朦朧とする意識の中、彼を見れば彼は慌てて駆け寄った。
「ナマエさん、どうかしたのか」
返答をしようと口を開く。しかし、それはかなわない。ぷつりと途切れた意識。かすれた視界には目を見開いた彼の顔があった。
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目がさめると衛生室だった。ゆっくりと目を開いて手を持ち上げる。やはりそこにあった痣に息を吐いた。
「あ、ナマエさん、起きた?」
そうやってきたメディックは、昨日ドライゼさんがね、と言って言葉を止めた。
「ナマエさん、それ、」
「あぁ、昨日激痛がしてーー」
「それは知ってる!違うの!」
彼女はガタガタと机から鏡を取り出す。それを私に見せた彼女にそこに触れた。
「目にも入るものなのか?」
「わかんない、私は手の甲だけだから……」
腕から伸びた痣は顔の横を通り、瞳の中に薔薇の花の模様ができていた。……なんでもありだなこの痣は。話を聞いてからやってきたキョードーは私を見る。
「ナマエ、それは、」
「夜中に激痛で起きてな、洗面台に駆け込んだ後の記憶がない。多分、ドライゼがここに運んだ」
「夜中?何かを拾った、とかはない?」
「全く」
そう左右に首を振る。キョードーが私の手を取ってマジマジと見つめる。
「メディックの色とは違うな」
「うん、この色、どちらかといえば」
なにかを告げようとした彼女達に、現代銃側の色だな、といえば彼女らは静かに頷いた。
「でも、どういうこと?」
「考えうるのは向こうの『マスター』がなんらかの形で力が失われ、ナマエに力が譲渡された、という事だろう」
「メディック、眼帯らあるか?キョードー私な部屋からタートルネックのアンダーを持ってきてくれないか」
「逆だろう……」
「メディックは私の部屋の位置知らないだろう」
渡された医療用の眼帯をつける。キョードーはメディックを連れて外に出た。片目。父親も片目だったのを思い出す。
カタリ、と音を立てたのはあのSAAだ。手に取れということだろうが、手に取る必要はない。しばらくしてキョードーとメディック、途中で合流したんだろうドライゼが服を持ってくる。それを受け取ってそのまま着替えようとすれば、メディックが慌てて二人を追い出した。
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片目で生活したことがあるか否かと言われたらあるし、片目で銃も戦闘もこなしたことはある。しばらく部下を転がしたり射撃をすれば取り戻した勘ではあるが、やはり死角は大きいのでなんとかしたいところである。まぁ、そんな改善策など講じる前に、危機的状況になった見方を助けるために戦場に行くことになったのだが。
どうしてそんなに危機的な状況になったのかと思えば、現代銃士と呼んでいた彼らが勢ぞろいしていたからだ。しかし、おかしなことに、彼らもまた傷だらけで消耗していた。落ちたガスマスクからは困惑が見える。誰かがどうして、と呟いた。その先にいた人物は誰だろうか。とりあえず味方を援助しようかとキョードーと頷こうとした。ブラウンが口を開く。
「なんで味方を撃ってるんだ!そいつらはお前らの仲間だろ!」
そう叫んだ彼にキョードーと動きを止めた。奥にいた人物は口を開く。愉快そうに、楽しそうに。
「型落ちに成り果てたものはいらないからなぁ」
「型落ち……?」
「我々は新しき力を手にしたのだ。だから、コイツらは型落ち、古銃に成り下がったというわけだよ」
小さな子供の姿をした、確かきるちゅと言った彼を蹴りつけた彼は口を開く。
「コイツらのマスターも死んだ今、コイツらは時期に人の姿を保てなくなる」
彼の言葉に痣が私に現れた意味を理解する。キョードーと目線を合わせ、物音をたてないように移動した。そうして崩れた壁のそばに隠れる。そこに持たれるように座っていたスナイパーに声を掛ける。
「確か、アインスといったな」
「!アンタは」
「前を向け。必要以上に喋るな。勘付かれないようにしろ。指で地面を叩け。イエスなら一度、ノーなら2度だ」
そういえば彼は地面を位置指で叩く。
「君たちのマスターは死んだのか」
一度。
「彼は君たちのマスターよりも上司にあたったのか」
少し迷って、2度。
「彼らは新しい武器を開発、もしくは得た?」
1度。
「アレは倒していいんだな?」
そういえば少し迷って、一度。銃を貸す、と告げた彼はその銃を側に倒した。彼らはこちらを見たが、俯いて動かなくなった彼を見ていいように解釈したらしい。
「アインスは壊れたか」
笑みを浮かべた彼が、さて、次は誰が消えるか、と言う前にそれを掴み地面に寝転がる形をとる。そのままろくに照準も合わせずに撃てば相手の腕にあたったようだった。叫んだ彼は子供のようなきるちゅから離れる。唖然とした世界帝の兵士達に、近くに落ちていた89式を掴み戦力の無力化をする。まじかで構えたその人の銃を掴み、CQCを使ってこれまた無力化した。が、仕切っていた人物の銃に気づくのが遅れた。放たれた銃弾が頬にかすり、つけていた眼帯がはらりと落ちたが気にしない。そのままハンドガンを解体して落とし、投げる。部下に武装解除を命じようとすれば、投げた人物は私を見た。
「その模様、新しいマスターが現れたとでもいうのか!」
そう叫んだ彼に「さぁな」と告げる。
「情報は吐いてもらうぞ」
彼を掴もうとした瞬間、遠くから聞こえた音に叫ぶ。
「全員伏せろ!!」
そう言ってきるちゅと呼ばれた彼とそばにいた青年ーー確かミカエルと呼ばれた人物ーー瓦礫の後ろに伏せ用とすれば誰かが私をひっ掴んだ。爆発音、煙。チラリとそちらを見ればドライゼだったらしい。煙が晴れるとそこにはあの男はいない。いや、いたんだろうが恐らくは爆発で死んだ。
「ナマエさん、これは」
「恐らくは対戦車用の小型ミサイルか何かだ」
ザリザリと聞こえる足音に眉間にシワを寄せる。クリア、クリアという声からして現代的な部隊だろうか。
「ーー」
誰かの声が聞こえる。煙が晴れていくのを見る。
「ジェーン、ここにいるんだろう?」
その声にピクリと反応したのは仕方がない。もう一度、ジェーン、と呼んだその人に銃を構えてそちらを向く。ナマエさん、とこちらを見たドライゼは気にしない。
「ああ、やっぱりここにいたのか、ジェーン。探したよ」
英語でそう笑った人物は見覚えがあった。父親によく似ているが、違う彼は兄弟か。いや、違うとオセロットさんは告げていた。彼は確か。
「どうして貴方が?アメリカ大統領、ジョージ・シアーズ。ここは貴方のような存在が来る場所じゃない」
そう言えばレジスタンスがどよめいた。ドライゼがこちらを見たが気にしていられない。
「改まった言い方だな。他にもあるだろう、ジェーン。君がフランスでは『狐(ルナール)』と呼ばれ、アメリカでは『蛇(スネーク)』と呼ばれるように」
「あいにくだがそう名乗ったことはない。物資補給というわけではなさそうだが、何の用だ、ソリダス」
「懐かしいな、最初は逆だったというのに私の方が老いている」
本当に懐かしそうにこちらを見た彼は父親に似ている。そもそも、どうして彼がここにいるのかが問題である。彼は死んだはずだ。確か、ビッグシェルと呼ばれた施設で起こったテロの首謀者だったか、そんな形で。
「何故生きている?という顔だな。では、何故君は生きている?聞いた話では、君はあの男に殺された」
「ーー目が覚めたら紛争地帯だった」
「あぁ、そうだろうな。そして君はフランスの外人部隊の制度を使いーーフランス人となった。だが君はアメリカのものだ、私と同じく、昔と変わらず」
そう告げた彼は口を開く。演説のように。
「歴史は繰り返す。君も私も作られたわけだ、アメリカの手によって。君は自らの意思でそこに行ったと思っているようだが、事実は違う。君はアメリカからフランスに貸し出されていたということだ。今日がその返却日だ」
そっと手を伸ばした彼に眉間にシワを寄せる。
「ゼロが待っている。祖国に帰るぞ、ジェーン。その痣も世界帝のものだ」
緩やかに彼は笑う。いけないとわかっている。でも、それは父親に酷似していて。振り切れ、と、手に力を込める。だから、そちらに気を取られすぎたのだと思う。ドライゼが呻き、そちらをみればドライゼが倒れているのが見える。見えたその影に抵抗しようとするが銃を落とされた。そのまま引き寄せられる感覚がして目を見開く。ソリダスが舌打ちをした。
「ジェーン、俺だ、落ち着いてくれ」
その声はソリダスと同じ声だ。部が悪くなった、行くぞ、と告げたソリダスは引いたのだろう。あやすように背を叩かれる。撤収した彼らに、彼はそっと息を吐いて私を少し離した。こちらを安心させるためか、屈んだ彼は笑う。人懐っこい笑みで。
「ジェーン、もう大丈夫だ。緊張を解け」
「だ、っど、」
==やっぱり没!!!
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