2018/07/30

没ネタ集A兼任司書かるであ ぱたーん2

・兼任司書は転生なのかなんなのかカルデアにいる
・立花と同じ立場だけど召喚してない

==

「まぁ、ナマエはなんというか、存在自体が不安定な時があるからね」
そう平然と言い放ったダヴィンチちゃんに、俺は首をかしげる。ナマエというのは元々は俺と同じ立場の人だ。ほとんど同時にたどり着いた彼女。ただほんの少し違うのはあの特異点と呼ばれる場所に彼女が飛ばされたか否かということだろう。彼女はドクターと行動を共にしたが故にあの場所に飛ばされることはなく、所長曰く「変わらないじゃない!」というぐらいなので恐らく同じような立ち位置なのだろう。多分同い年だし。先程の言葉は彼女もマスターになった方がいいのではないか?という俺の問いかけに対しての答えであるし、彼女は彼女で貴方に背をわせるつもりはないけど最悪なケースを避けるために遠慮したい、と言われてしまった。そもそも最悪なケースってなんだ?と強化するためにそこに居たサーバントーーマシュとアーチャーとダヴィンチちゃんと話していたのだけど。「最悪なケースは恐らく君との対立を避けるということだとは思うが」とまっさきに答えたのはアーチャー、その次にダヴィンチちゃんがそう告げたというわけである。
「対立?不安定?」
「まぁ、君と彼女ならばならないとは思うがね。暇つぶしにそういったことを唆すサーバントも今後はいるだろう」
「うぇ、それは嫌だ」
「私も嫌です」
俺の言葉を肯定するように首を左右に振ったマシュに「だろうな」と彼はいう。
「不安定っていうのは?」
「なんだろう……わかるかい?アーチャー」
「……あぁ、なんとなくな」
「あの子、人だけど厳密には人じゃないっていうか、でもサーバントでもデミサーバントでもないからやっぱり人って感ーー」
ダヴィンチちゃんの言葉に覆いかぶさるように誰かがつまづいてこける音がする。そのあとに聞こえた「ドクター、足元危ないですよ」「ねぇ、ナマエちゃんいうの遅くない?」という会話からしてその二人なんだろう。いや、めちゃくちゃ笑う声がしたからメフィストも一緒だろうか。扉を少し開けてみれば本をぶちまけたドクターとそれを拾うナマエちゃん、それを手伝うまでもなく静観している数冊本を持ったメフィストもいる。俺たちの視線に気づいた彼女は「あぁ、立花くん、マシュここにいたんですか」と告げた。その様子は普通の人なんだけど。
「ねぇ、ナマエって人間じゃないの?」
うっかりである。ついうっかりでそう告げてしまった。慌てて口を覆った俺にマシュが先輩!と怒ってダヴィンチちゃんが爆笑、アーチャーが頭を抱えた。メフィストが面白いという風にニヤニヤ笑い、ドクターは目を瞬く。彼女は困ったように笑った。
「一応は人間ですよ。カルデアのゲートでも霊長類って言われましたし」
「それは本当ですかぁ?」
ニヤニヤと笑ったメフィストに、彼女は「そう判別されたからそうじゃない?」と告げる。
「そういえば君は日本人だったね」
「魔術師も何もない普通の家庭のね」
「でも海外の血が入ってるんじゃないかい?目の色が青いし。日本人にはあまりいない色だろう?」
「父親の目が青いので恐らくはそれかと。ちなみに父親は生粋の日本生まれです。はい、メフィストさんこれ持って」
そう言ったナマエはメフィストの持った本に本を積み重ねた。
「……それなら俺が手伝おう。それはマスターに従ってはいるが悪魔だ。何を求められるかわからんぞ」
「ああだから血が欲しいって」
「よし、メフィストとアーチャー交代」
「というかナマエもなに承諾してんの」
「指先にちょっと切り傷ぐらいならよくない?」
「そうですよ、指先をちょっと切るくらいです」
「良くない」
アーチャーの即答である。仕方ないですねぇとニヤニヤしたメフィストは入れ替わるように中に入った。
「まぁ何かあればいってくだされば?『ちょっと切り傷』いただきましたし?」
「もうあげたの!?」

==

アーチャーさん曰く、体液は魔力供給うんぬん。なるほどだから血を欲しがられたわけだと思う。
「だが、ここはそんな必要はない場所だ。今後は無闇矢鱈にやるな」
「なんだ、悪魔だからとかそういう理由かと思ったんですけど、そういうわけじゃないんですね」
ふむふむと納得する。刀剣や文豪たちと同じようなそれかと思えば違うらしい。ということは、アーチャーさんも場合によっては血を飲むのだろうか。……吸血鬼みたいだな。
「指は大丈夫なのか」
「ええ、まぁ、紙で手を切ったぐらいのものなので。絆創膏貼って終わりです……ドクター、もう何冊か持ちましょうか?」
そう後ろを振り返る。バテているドクターにアーチャーさんはため息をついて近づく。なるほど彼は面倒見がいい人だ。

==

「アンデルセン……アーチャーかな?」
「アーチャー?俺がアーチャーだと?正気か、この女」
おっと思ったより口悪いなこの人。小さいから賢治さんと同じ感じかと思えば。目を瞬いた私にエミヤさん(どうやらそういうお名前らしい)が口を開く。
「キャスターだ、ナマエ。そもそも何故そういう曲解になる?」
「童話作家だし、銃使うかなって思いまして」
我ながら頓珍漢な答えだろうな、と思う。この世界とあの世界はイコールではない。恐らくこの世界があの世界をはじめとしたあれらの世界、もしくはそのどれかと同じ道筋を辿るとすればそれは特異点でしかなく正されて消滅されるモノでしかないのだろう。あれらとはまた違う世界、割り切っているつもりだけども、どうしてもーー。
「童話作家に銃に関する逸話とかありましたっけ?」
首を傾げたマシュに、ないね、と苦笑いする。ただの私の勘違い、といえば立花もマシュも首を傾げたのだけども。

あぁ、また人じゃない何かがいるな、と時々目を追ってしまうがだいたいそこに居合わせたクーフーリンさんにより「あんまり見るなよ」と言われて目隠しされたり、メフィストさんに「おやまぁまたみえてるのですか!」と言われたりする。出来るだけ見ないようにしたり払ったりはしているのだけども、どうも立花に付いていると見てしまうのが癖である。それは恨みなのか助けを求めているのか。こちらに気づいたそれがヒタリヒタリとやってくる。また覆われた視界に、誰かが何かを弾く音が聞こえた。
「嬢ちゃん」
「ありがとうございます。でも、今回は不可抗力といいますか」
そう抗議を上げれば、立花とマシュが「何やってんの」とやってくるのが聞こえる。ペイっと剥がしたのは恐らくはエミヤさんだろう。
「キャスター」
「へいへい」
「君も君だ、ナマエ。そうホイホイ接触を許すんじゃない」
「過保護だねぇ」
「何も知らない初っ端にメフィストさんに血をちょっとあげたことがありまして。そこからこうやってお世話してくれます」
私の言葉にキャスターさんが爆笑した。なんだ?と思いながら彼を見上げる。立花もマシュもキョトン顔だけども。

==

「ナマエは俺のサポートをしてくれたり、本の管理してくれてるんだ」
とは立花が私の紹介するときの文言である。マスター適性があるのに?と尋ねる人にはあれこれ説明して納得してもらう必要があるけれど。まぁ、そんな話は置いておいて。目の前にいるのはかのマリーアントワネットである。不謹慎だが色々な人物に会えるのは少し楽しい。
「ナマエは恋したことがあるの?」
立花の話から私に飛び火である。絶品なプリンを突いていれば不意にやってきたその言葉に動揺した私は悪くない。
「それくらいならありますよ」
でも、それは今じゃない。『昔』の話だ。
「あら、どんな人?」
「年上の方でした」
そう答えれば意外そうな顔でマシュに見られる。何気ない顔でそこにいるアンデルセンさんが口を開いた。
「でした、ということは、過去形だな」
「そうですね。もう会えることはないでしょうから、過去形です」
「あら、どうしてまた会えないの?」
そう尋ねた彼女に、「いなくなってしまったので」と苦笑いする。
「置いていかれてしまったの?」
「ある意味では」
「ーー死別か」
ある意味そうなんだろう。彼は役目を終えて消えてしまったのだから。だから、アンデルセンさんの言葉に、そうですね、と返答をする。そっと昔を思い出すように目を伏せる。
「おもしろい話も特にないのですが、彼は私に綺麗な呪いをかけていきましたね」
そう告げた私に彼らは首をかしげる。アンデルセンさんが口を開く。
「呪いだと?魔術師だったのか?」
「いいえ、彼は作家であり詩人でした。その意味が同じ作家の貴方にはわかるでしょう?」
「ーーお前に作品を残して逝ったか。お前の思いの丈を文字にして。だが、それで呪いだとははなはだ馬鹿馬鹿しい」
「ーー季節は巡り行き、桜は咲く。春を彩るように、君を彩るように。命もまた巡り、生をもたらす。全ての生が平等であるかのように。私が生を受けしとき、歯車は再びまわる。君と巡り会うがために」
それは美しい呪いだろう。私は待たなくてはいけない。彼が再び生まれてくるのを。巡り会うのを。
「貴方達が紡ぐ言葉は美しい。特に魂が込められたそれには力がある。人々を魅了するほど。その反面、言葉は凶器になりうる。剣より強くなることもある。そしてそれは呪いとなる時もあるーーまぁ、これは友達の持論なんですけどね。まぁ、気にしなければいい話なんですけど」
あっはっはーと笑っておく。立花がキョトンとしたままこちらを見た。
「ナマエって同い年だよね」
「はい」
「ちなみに相手は何才の?というか何年前?」
「結局何才年上だったのか。たまにロリコンって仲間内で揶揄われていたので察してください。初恋ですよ、多分。私の恋は彼に掻っ攫われたままかえってきません」

==



 Comment(0)
兼任司書関連 

次の日 top 前の日