2018/07/30
没ネタ集Hりあのカルデア
その人はなんというか、カルデア職員の中でしっかりしていた人であると彼女は記憶している。あのオルガマリーもその人には心を許していたのを覚えているし、なによりも他のチームの人もその人には懐いていたように思う。養子という形で魔術師の一族に迎え入れられたその人はその親族に追いやられるような形でカルデアにやってきた、とはその人の言葉だった。どんな魔術かという問いにその人が楽器を操ってみせたのをマシュは覚えている。彼、もしくは彼女はできた人だと思う。英霊達もそういう程には。
そんなこんな英霊達とも打ち解け、時にはマシュや二人のリツカの兄姉もしくは保護者となるその人物の性別は不明だ。ハニーブラウンの髪はショートぐらいに切りそろえられており、ゆったりとしたブラウンのローブをきたその人はパッと見は青年のようにも見える。しかしながらその慈しむような表情であるとか、ふとした仕草は女性のようにも見えるがため、性別がどちらかわかっていない。いや、ロマ二は知っているのだろうが面白がって教える気はないのだ。
例えば、その人の笑みに顔を真っ赤にする少女の姿をした英霊だとか。例えば、その人のふとした姿に固まる男性の姿をした英霊だとか。
「エミヤって、リアさんのこと好きなの?」
そうはっきりと聞いたグダ子と呼ばれる少女に男性はピシリと固まってみせた。本人は何となくなんだろう。咳払いをしてみせた彼は何をいってるんだ、と口を開く。
「だって、エミヤ見るからにリアに優しいし、リアの作ったものなら食べるじゃん」
「それはリアの行為を無駄にしないようにだ」
そうぶっきらぼうに答えた彼に三人は顔を見合わせる。そういうことにしておきますか、とマシュがまとめて仕舞えば二人は頷きーー彼は顔を覆った。
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実際君って魔法が使えるだろう?
そう尋ねた人物に彼は苦笑いをした。使えるが言わぬが仏というもので、判明したが最後厄介なことになるとは養父の言葉だった。決して使ってはいけない、フォースくらいならいいけどね。そういってみせた養父はこんな事態になっても生きていそうな気はする。
「何のことですか?」
とぼけて見せれば、別にいいのだけど、と告げたその人。マーリンと呼ばれる大魔法使い若しくは大魔術師は口を開く。
「君は導く側だろう?」
「そう、ですね、そうありたいとは」
だから、前線に出てはいけない。それはリアもわかっている。導く人間が前に出た時、それは導く為の人間を止める為か守る為かーー死というものに直結する場合が大きい。
「みんなが幸せな世界を見届けたいものです」
「ならば死なないことだよ」
さらりとそう告げて話はここまでだと言わんばかりに歩き出す彼を見送り彼女は息を吐く。死ぬ未来でも見えたのだろうか。
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リアと呼ばれるその人は温厚であるには間違いがなかった。あまり怒らないし、怒るというよりは叱る、もしくは注意を促すという風だからである。三人に対しても注意を促すし、職員に対しても似たようなものである。リア曰く本人が怒る前に周りが怒る。しかしながら今日は抑止力となりそうなエミヤだったりがいない。だからーー。
「あぁ、腹がたつ、久しぶりに腹が立った」
そう本人が怒っているのは珍しいことだった。どうしたんだ、と尋ねたロードエルメロイに、彼女は「聞いてくれますか、ロード」と怒り口調で告げる。
「フェルグス卿がーー」
そういったリアに、話題の本人がやってくるのが見える。ああ、こんなところにだなんていった彼に彼女は絶対零度の視線を向けた。その瞬間、周りは理由は理解した。というか、いつかはこうなるとは思っていた。
「それ以上近づいてくれるな、フェルグス卿」
「まぁ、そんなこと言わずに」
「それ以上近づくかもう一度私に触れてみろ、貴公の腕を切断してやる。なに、貴公は英霊だ、腕の一本や二本」
「リ、リア、落ち着いて」
「同級にしていたようにすればいいだろう」
「残念ながら英霊には聞かないようです、ロード」
「なら腕の一本や二本は仕方あるまい」
「叔父貴、リアはどっちだった?」
「恐らく女だ」
物騒な会話に近づくのをやめたフェルグスにリアはポケットから手を出した。女、と集まった視線に彼女は息を吐きーー首をかしげる。
「どうしたんだ?」
「リアさんって、どっちなんですか?」
「……みてわからないか?」
わからないから聞いてるんです、とはマシュは言わない。ロードエルメロイが「髪を切ったからだろう」と告げた。
「あとは口調とその服の問題だろうな」
「髪は不可抗力です。ちょっと色々あって切ったので。口調は生まれつき、服は……楽なので」
「ロードはしってるの?」
「教え子だからな。ちなみに女性だ」
スラリと告げられた言葉に、二種類の反応が返される。リアはパチパチと目を瞬いて苦笑いをした。
「しまった、夢を壊してしまったか」
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「そういや、リアってレイシフトしたり召喚したりはできないの?」
その問いかけに、あぁ、彼女はね、とロマ二が告げる。
「そのテストを受けてないんだよね」
「え?」
「彼女、彼女の養父の推薦でカルデアに来たんだけど、所長の補佐としてきてたから。といっても、所長の友人だからっていう名目だし、彼女の主な仕事は記録とかそっちなんだけど。だからその問いへの答えはわからないだ。あるかもしれないし、ないかもしれない」
その返答に三人は顔を見合わせる。ならば、可能性としてはゼロではない、と。
「あぁ、それでこんなところに連れてこられたわけだ」
リアはそう言ってあたりを見回した。何かの縁で他の世界の人物が現れる可能性もあると踏めば、あまりしたくないのがリアの考えだ。何故ならライトセーバーも、キーブレードも使えるのだし、マシュはともかく二人はそういう知識を持っているようにも思う。
マスター適性はあると思うのですが、と告げたマシュに逃げ場を無くされたなとも思うわけで。魔力もあるようだしな、とはすっかり二人の兄貴分であるクーフーリンのことばである。どうせなら召喚獣が来て欲しいと思う。とりあえず二人の言う通りに呼符と呼ばれる紙を入れる。その瞬間、反応したそれ、リアは概念礼装であることを祈っていたがカードの背面はアーチャーのカードである。くるりとまわったカード、その絵は黒いコートをきた男が描かれていてーーリアが反応した。
「ちなみに聞くが、取り消しは?」
「え?えぇ?」
「なんだ、心当たりがあるのか?」
そのカードは光とともに人の形を作り上げる。リアはそっとローブの袖に手を隠した。
「なんだぁ?ここは」
しかし、聞こえてきた声に呆気にとられてローブから手を出したのだが。
「……アクセル?」
「その声は……マスターか?」
そうフードを下ろした人物はアクセル基同じ名を持つ人物で間違いはなさそうである。物珍しそうに周りを見渡した彼に固まった二人。これはどうにかせねばならない、とリアは二人を見る。マシュとクーフーリンはリアを見た。
「お知り合い、ですか?」
「あー、私の弟子、なんだ」
「ってことは、未来の英霊か?」
「いや、ううん、説明が面倒だからもうそれでーー」
「アクセルじゃん!!」
叫ぶように告げた通称グタオにリアは頭を抱えた。アクセルは二人を見て首をかしげる。
「どっかで会ったか?」
「うぎゃああ!ヒロシ!ヒロシボイス!」
ジタバタする通称グダ子にリアはため息をつく。説明が欲しいアクセルはリアを見た。
「アクセル、どうやってここに?」
「いや、回廊を歩いてたら見たことない魔法陣?みたいのができてそこに入ったら……げ」
「なぁにが、げ、だ」
ツカツカと歩み寄ったリアにアクセルは身を引く。
「またそんなことをして。現れた先に私がいたから良かったものの、危険な場所ならどうするんだ?」
「悪い、悪い、悪かったって。でも、アンタがいつになっても帰ってこないのが悪いんだろ」
そう告げたアクセルに今度はリアがピシリと固まる。というか、未来の英霊だと思っている二人も、ゲームのキャラクターだと理解した二人も固まった。
「帰ってくるって言ったのに、帰ってこないアンタを探してたんだ。多少は目を瞑ってもらいたいね、マスター」
「……そう言われたら許すしかないじゃないか」
はぁ、とため息をついてリアはグシャグシャとアクセルの頭を撫でた。色々説明するからおいで、と手招いたリアはアクセルを連れて部屋を後にする。それを見送った四人、のちリツカ二人は「まさか」と顔を見合わせた。
「アクセルのマスターは行方不明」
「アクセルのマスターは女の人」
「「リアって、あのキーブレードマスターでは」」
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混乱したような二人が、食堂に現れたリアとアクセルに突撃してきた。ちなみにその時の会話は「なんで弓兵なんだ?」「あー、聞いた定義でいうと俺がチャクラム投げるからだろ?」「ガバガバだな。ルクソードが現れるかと思った」「……ルクソードと知り合いかよ、あぁそういやアイツなんかに執着してたな。俺としては2番のイメージがでかい」という会話である。
「リア、率直に聞くけど、リアって、リアって」
「鍵の剣、見せてください!!!」
そう頭を下げたぐだおにリアは頭を抱えた。やはりか。ちなみに鍵の剣を知るのは二人と同じく知識がある養父、養父に説明を受けたロードエルメロイ、今は亡きオルガマリーの三人だけだ。食堂にいた英霊達が首をかしげる。
「リア、ライトセーバーでもいいよ!」
ああ、これはまた。ちなみにこれもまた知る人は以下略。
「あのな、この世界でそれをおいそれと見せたら最後、私はホルマリン漬けだと聞いた。先生に」
「バレたものは仕方ないと思うが。諦めた方がいい。その二人はお前の養父と似たような人間だ」
そうバッサリと切り捨てたエルメロイにリアはなんとも言えない顔をした。みせて!みせて!とたかる様子は幼い子供のようである。
「アクセルのチャクラムじゃダメか?」
「アクセルはこれからレイシフトとかするかもなんだし!みたいけど!」
「……また今度な」
苦笑いして頭を撫でたリアに二人は顔を見合わせた。
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アクセルと呼ばれ青年はリアの背後についていくことが多い。まぁ、右も左も分からなければ、外にも出れないのだから訳もないだろう。英霊達だ、と言っても彼にはピンと来ることはない。その世界を書き上げた人物だと告げても理解は難しいだろう。
「んー、よくわからないんだが、とりあえずアイツらはどっかの国の王様だったり英雄だったりするってワケか」
ざっくりとした結論だろう。その問いに、まぁそういうことにはなるけど……とロマ二が答える。英雄達はというと、自分達とは違うことは理解しているらしかった。
「でもなんでクーフーリンとかジャンヌ言う奴は三人いるだ?」
「ああっと、それはね」
「アクセルでいうリア時代XIII機関時代今だな」
「あぁ、そういうことか」
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「アクセルの師匠はリア?イェン・シッドじゃなかったっけ?」
「リアがちょっと離れるからその間だけ、って言われた。まぁ、実際は帰って来なかったからあの爺さんがマスターみたいなもんだろうが」
問いかけに答えたアクセルに、二人は首をかしげる。待ってたの?と問えば、一応はな、と素っ気ない答えを返される。
「死ぬような奴でも、闇に染まるような奴でもないとは思ってたけど」
「でも心配した?」
「そりゃあな。あの人が敵に回ったら勝てる気がしねぇよ」
そう炎と共にチャクラムを消してみせたアクセルは肩をすくめる。シュミレーション終了と告げられて彼は闇に手をいれてーー消えた。
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「ああ、戦闘で使うのは久しぶりだからな、期待するなよ」
そう叫んだリアは中に手を伸ばす。飛んできた幾千の矢は不自然に宙で止まった。リアがそれを回すような素振りをすると、それは敵の方へ向き、手首を払うだけでそれは敵に刺さった。ひゅう、と口笛を鳴らしたアクセルはチャクラムを両手にそのまま突っ込む。舞い上がった炎、投げられたチャクラムは炎を纏って残っていた敵を仕留めた。
「さっすがマスター、やるーーってうわ!」
いきなり吸い寄せられる、というよりは無理やり宙に浮く感覚。緊急回避という手段でリアがよく使う手段だ。ちらりとリアを見れば険しい顔であるし、敵がいた方を見ればまだ息があったのか、敵がアクセルがいた場所を襲っているのが見えた。宙からもう一度チャクラムを投げればそれは絶命する。今度こそ息を吐いて見せたリアに、体が緩やかに降下する。それをモニターしていたカルデアは首をかしげる。なにこれ、どういうこと、と漏らしたのは誰だったか。
帰ってきた二人は質問責めにあっているに近い。二人というより、リアは、であるが。ロードエルメロイとマーリンが時折リアの代わりに答えるが。「楽器を操っていたのはアレの応用だ」だなんて言葉にどうやって、と言われるがリアは困る。
「それよりも、どうやって敵が生きてるとかわかったんだ?」
「マスターはそういうのに敏感だからな」
静観を決めていたアクセルがそう告げる。首を傾げた周りに、リアは苦笑いをした。
「感覚の問題だろう」
「動く気配がした?」
「いいや、命が失われてない感覚がした」
困ったように告げられた言葉。その言葉の意味を掴みかねて周りは首をかしげる。
「難しい話だが、何だろうか……本当に感覚の問題だ。予言的なものではないよ」
ううん??
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