2018/09/01

しるばーそうっ

銀魂の映画みたら書いちゃうよね



例えば、私が他の二人と同じような道筋を辿ったとしたら、この空虚な気持ちになることもなかったのだろう。何もないような、何かあるような、たくさんを切り捨てて、ただそばにいて。それでいいのかとは思うけども、もう引き換えすことも叶わないのである。だから地盤を固めるしかなくて、鬼になるしかなくて、滴る他人の血を振り払うように刀をしまう。
「ナマエ先輩、無事ッスか!?」
そう問いかけた彼女が息をのんだのがわかる。あぁ、ごめんね、怖がらせたね、と苦笑いしながら「私は無事だよ」と笑った。恐らく彼女はしばらく私に近づいてはくれないだろう。
ため息をついたところで晋助くんがやってくる。
「さっさと帰るぞ、ナマエ」
「やだな、そんな犬みたいに」
それだけ告げて、その隣にならんだ。




びょう、と三味線の音がして意識が緩やかに覚醒する。普通の三味線、晋助さんの音とは少し違うその音を聞くに恐らくは万斉さんの三味線の音だろう。着流しを着て長い着物羽織って廊下を進み、襖を開ければやはりそこにいた万斉さんだ。びょう、と音を鳴らした彼に一応は声をかけるかと口を開いた。
「晋助さんならいませんよ。街に出かけてます」
「ナマエをおいて一人でとは珍しい」
「偶には一人になりたい時もあるんでしょう」
「それはどちらが?」
「さて、どちらか」
そう少し考える。まぁ、晋助くんかな、と言う結論を出して彼を見た。
「ま、私は留守を預かっているだけですし」
「ふむ、ならば拙者は良いタイミングで来たというわけか」
びょう、とおとがする。意味を図りかねた私は首を傾げて座っている彼を見下ろした。


びょう、とおとがする。それを奏でているのは私ではあるけれど。確かナマエも弾けたでござるな、とか言って渡された三味線である。
「真選組の二人、桂小太郎といる一人に、坂本辰馬の所にいる一人、白夜叉といる一人」
そう酒を飲む彼に、びょう、と音を奏でる。
「紹介してあげませんよ」
確かに可愛いし綺麗どころばかりですけどね、と笑う。彼はちらりとこちらを見た。
「そう言うことでは」
「みんな昔馴染みなんですよ。同郷ともいいますか」
「同郷?」
「同じ場所からやってきたのは確かですよ。月といいますか、天狗の里といいますか。あぁ、天人というわけではないですよ。私は地球人です」
びょう、と音を立てる。
「あの二人人はともかく、真選組のトコの二人と万屋の一人は知りませんね、私が鬼兵隊にいるなんて」
「しかし、情報をもらうわけではござらん。何を考えている?ナマエ」
あぁ、なるほど、彼はそれを尋ねに来たのだろう。そうですね、と言っていつものように緩やかに笑った。
「特に何も。あの子達が幸せであれ、と言うぐらいでしょうか」

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こんな話原作にはない!と叫んだ真選組の二人と万屋の一人に私はやれやれと息を吐く。原作という未来の道筋を知っている三人にしては痛手だろうな、とは思った。でも、それだけだ。それにしても奇怪な組み合わせである、と周りを見る。攘夷が勢ぞろいして、なおかつ真選組がいると来た。愉快な構図だなぁ、とぼやけば近くにいた万斉さんが「お主はまた緩いことを」といい、またちゃんが怒る。その様子にやっと何も知らない三人が私を見た。
「え?ナマエって」
「あぁー、やっぱり気づいてなかったかぁ」
ヘラリ、と笑っていれば辰馬の近くにいた友人ーー駱駝が息を吐く。
「そんなことだろうと思った。一番生臭いやつがのほほん生きてるわけないもの」
「え?臭い?」
そう着物の裾をすん、と嗅ごうとすれば万斉さんが嗅いだ。
「いつも通り、梅の香りでござる」
「なぁにやってんですか!」
素早く私と万斉さんを引き離したまたちゃんにまぁまぁと宥める。
「第一、ナマエ先輩が生臭いわけがないっす!」
ぷん!と怒った彼女にやれやれと駱駝は息を吐いた。
「そういう意味じゃないんだけどね」
「あははは」
「で、ナマエはどう思う?これ」
「天狗の里からの襲来じゃない?」
そう首を傾げておく。なんだそりゃあ巫山戯てんのか、物書き、と告げた真選組の副長に肩をすくめる。
「ナマエ、なんかわかるのか」
「えぇ、先程の襲撃の中に天狗の里の顔見知りがちらほらと」
私の言葉に鬼兵隊、もしくは三人以外が息を飲んだ。まさか、と呟いた誰か。それじゃあ話ははやいなぁ、といった真選組は流石に喧嘩っ早いというか。
「待った、お巡り」
「誰が犬のお巡りさんだ」
「ナマエちゃんの顔見知りってこと?」
「まぁ、私の顔見知りの方が多いけど、みんなの顔見知りの女の子もいたよ。チラッとね」
駱駝の視線にやれやれと肩をすくめる。
「嫌なんだよね、ただでさえ怖がらせちゃうのに。三人と晋助くんあたり以外引いちゃうし、今まで築き上げたあの緩くてなんかいい人物書きナマエさん像が全部なくなっちゃうじゃないか」
「その発言の時点でアウトだし、攘夷戦争知ってる輩はそうじゃないわよ」
「そうだねぇ、だから別人って思われて楽なんだけど」
そうわしゃわしゃとまたちゃんの髪を撫でる。ナマエ先輩!?と驚いた彼女に、君の大好きな優しいナマエさんがしばらくいなくなるからね、とだけ告げた。
「さて、と。じゃあさっさと出て行って元の日常に戻りますかね。その前に、何か弁明はあるかな?」
そう笑って誰もいない空間に問いかける。上から現れた三人衆が頭を垂れる。
「申し訳ありません、まさか貴方もここにいるとは思わず」
だろうね、と頷く。
「動いてるということは新しい人ができたのかな?」
「口だけの奴です。貴方を殺したというので皆仕方なく」
「あぁだから君たちは従ってるのか。まぁ、そのまま死んだことにしてくれていいのだけども、それはちょっと心苦しいなぁ」
「ナマエの知り合いか」
そう茶々をいれた晋助くんに、「まぁ、親族というか、部下、みたいな?」と首をかしげる。
「それって顔見知りじゃないよね!?もっと親密だよね?!」
「そう?」
「というか、ナマエ、向こうで何してたの!?キャラ崩壊まったなしだよ!?」
「……実は百合ちゃんの家の御庭番だったから」
そう百合ちゃんを指差して首をかしげる。満面の笑みで頷いた百合ちゃんは可愛い。とても可愛い。
「それどうせ表でしょ、裏で何やってたの」
「えぇー、言わなきゃダメなの」
「白々しい笑い方すんな」
ポコっと殴った駱駝にいててと頭をこする。やだようやだよう、いいたくないやい、と子供のように拗ねてみる。ため息つかれたけど。三人の方に顔を見せる。
「とりあえずサァ、首謀者引きずり出してくれない?できるよね?」
「御意に」
そう返事して消えた三人衆に、はいこれで解決、といつものようにいえば突っ込まれたけど。
「やめてくれよ〜オネェサンみんなを危ない目に合わせたくないんだよ〜。元御庭番でいいじゃんか〜」
「よくない!!!」
「ナマエちゃん、ナマエちゃん」
「何、百合ちゃん」
「今晋助くんと約束してる?」
「んー?そういうわけではないよ」
「え、なに、じゃあ自発的に付いてるの?アンタが?槍降らない?」
そう言った駱駝に失礼すぎない?と苦笑いをする。
「あのぉ、ごさんかた、僕らには話が見えないんですけど!」
そう手を挙げた新八くんに、百合ちゃんがにこりと笑う。
「じゃあ見えるようにしよっか」
「え?」
「仕方ないなぁ。嫌われたらどうしよ。まぁそんときはそんときか。いいよ、使命三つ」
「大盤振る舞いだね。一つ、この事件の黒幕の確保。一つ、この事件収束まで全員を死なさない。一つ、貴方も死なない」
「では期限はこの事件が終わるまで。報酬」
「貴方が望むもの。もう私はこうして貴方を無理しいることはないし、もう貴方は私の御庭番じゃなくていい。貴方は貴方が信じる人と一緒にいればいい」
「また君はそう困ったものを報酬にする」
なんというか、この子はいい子すぎて心配になる。まぁ、いいか、と目を伏せる。



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ぎんたま 

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