2018/10/11
さくらたいせん月組めいん
・トリップ夢主は加山さんと仲良くなりたい
[加山→←←←夢主←宍戸]
==
「たーいちょっ」
そう言いつつ後ろにだきつく。うおっと倒れこみそうになった彼はため息をついた。
「苗字ー、お前は女なんだから花組さんみたいにおしとやかにできないのか?」
「お淑やかなどドブに捨てた。ね、宍戸さん」
「そうですね、入ってきた当初から捨ててましたね、女子力」
そんな言葉を背後で吐いた宍戸さんに、はぁ!?と言いながら加山さんから離れる。
「失礼な!入ってきて一週間はあった!色々諦めたから捨てたけど!」
そう宣言すれば、加山さんがこちらを見て首を傾げた。
「色々?」
「色々。独り身の方が楽だと気づいてしまった」
グッドサインをしてそう告げる。目をパチパチと瞬いた二人が可愛い、ので忍ばせていたカメラで撮っておく。それにハッとした二人が追いかけてくるのをかわすために外に飛び降りた。
私、苗字ナマエは帝国華撃団月組の隊員である。友人解いたと思ったら幼児化トリップし紆余曲折を経て月組にいる。平隊員でいるつもりがナンバースリー辺りまでになってるのは気のせいだと思いたい。っと話がそれた。
まぁ、そんなこんなトリップしてきた私の所持品には何故か電源が切れないスマートフォンがある。連絡取れないけど。紅蘭さんにバレたら面倒な事になる気がするが、今のところ月組と米田さん、藤枝さんが知っているそれだ。月組フォルダも溜まりつつあるなぁ、と思いながら寝台に寝転ぶ。さてさて、しばらく忙しくなるな、とゆっくりとめをふせた。
==
音子ちゃんみながら女の子可愛い、っていったら宍戸さんに貴女も女の子でしょ、と言われたので二度見した。なんですか、と渋い顔されたけど。
「いや、なんていうか、うん、宍戸さんからそんなセリフが飛んでくるとは思わなくて」
それが昨日である。
「女の子可愛い」
花組さんを見ながらそういえば、隊長が私を見た、ので言葉を続ける。
「きゃっきゃっしてる女の子みると、可愛いなぁって思いません?」
私に欠如した何かを持ってる。
頬杖をついてそういえば、隊長はポン、と私の頭を撫でた。
==
誰もいない舞台はひろい。片付けがおわり、ただそこで観客席をみる。私には絶対無理な話だな、舞台女優とか。ただ、覚えてしまった歌を口ずさんで舞台からオーケストラピットを見下ろす。楽団もおらず、ただピアノだけが置き去りになってる。トン、と舞台から降りて、さらにオーケストラピットに降りる。鍵盤を叩けば音がなった。それが楽しかったので鍵盤をさらに叩き、曲にしていく。一通り満足したので手を離せばパチパチと拍手の音がした。そこにいたのは隊長や宍戸さんではなくまさかのモギリ隊長である。打ち上げに行ったんじゃなかったのかこの人。
「凄いね、君、楽団の人?」
そうオーケストラピットを除き込んだ彼に何と返答しようか困る。とりあえず頷いておけ、と頷いておいた。
「あぁ、やっぱり。ごめんね、戸締りをする時間なんだ」
頬をかいた彼に「あ、すいません」と言葉を返す。帰りますね、といえば彼は送るよ、夜も遅いし、とつげた。優しい人である。しかしながらそれを断れば彼は危ないだろう?とさも当然のように告げた。……これは引き下がってくれないパターン。
==
大神さんは太陽のような人である、と思う。太陽を誰か一人のものにするだなんてことはおこがましいことで、だからみんなの大神さんになるのだろうなぁ、と数回会話してわかった。
雅ちゃんは春のような人である。暖かな陽射しのような人で、彼女もまた一人のものにすることなんかはできない、と宍戸さんの埋め合わせに向かってわかった。
隊長は月のような人、だろうか。私達を照らし、太陽のもとに集う人を見守る。そんな人である。だから、無くしてはいけないのだ。彼もまた光であるのだから。
久々にザックリやられたなぁ、と思う。辿り着いた隊舎、扉を開ける気にもならずにズルズルと座り込む。誰か開けてくれ、と念じても開かないことを知っているのでタバコに火をつけてふかしておく。咲いた花の名を忘れても、花の美しさは人は忘れないとはシュリケンジャー先輩の言葉であるし、この職になった私はそれを信条にしてやってきたわけであるが、いざ私が死ぬとなると誰が私を忘れないでいてくれるだろうかと考えていたりする。タバコの煙が天に昇る。報告書、と思っていればタバコの煙が揺れた。
「ナマエ、遅い帰りっーー大丈夫か!?」
その言葉に隊長をみる。視界が霞んでらぁ。大丈夫、と返そうとして、安堵した体は彼の元に倒れこむ。焦る彼の言葉に私は意識を失った。
==
命を捨てた戦い方、とは誰が告げた言葉だろうか。前の隊長か。彼は酷く私のその戦い方を気に入っていたと思い出す。私達は影である。とりわけ、女である私は都合のいい影なのだ。死のうが、生きようがそこには出世も家の都合も関係していない。男尊女卑がまかり通るこの世界では、ただの捨て駒なのである。だから、どんな事もしたのは、言うまでもなく。
目をゆっくり覚ます。どうやら生きているらしい。珍しく手当てされた体に、宍戸さん、と思ったがそういうば最後にあったのは隊長だったと思い出す。シャツを羽織ってそのままズルズルと歩きーーまぁその間にきちんと服を着たのだけどーー報告書を書かないとな、と扉をあける。そこにいた隊長・副隊長コンビは私に気づくと目を見開いてすぐそばに寄ってきた。
「起きたんだな!?大丈夫か!?」
「生きてるので大丈夫です」
苦笑いしながらそう返せば、宍戸さんがため息をつく。不機嫌を隠すようにこちらを見た彼は口を開いた。
「いい加減、前の隊長の癖、抜けませんかね」
「あはは、そう仕込まれたから仕方がない。なんせ、染み付いちゃって。何にも関係ないからね、私は。いてもいなくても。いや、いても多少は役にたつけど、いなくても差し支えがない、だっけ」
「それ、本気で言ってるのか」
そう言った隊長の目は真剣だ。酷く怒っている。うん、と答えればどうなるか、だなんて前の隊長でわかってーーいや、この人は前の隊長と同じではない、けど、怒っている。とりあえず、素直にはい、と答え、いつ右手が飛んできてもいいように構える。私が素直に答えたのが珍しいからか、宍戸さんは動きを止めて何も言わない。しかしながら、待っても飛んでこない右手に苦笑いしておいた。思い沈黙にいつものように笑って彼に腕を広げた。
「多分、刷り込みなんだとは思います。だから、隊長上塗りしてください。よしよししながらならなお嬉しい。ぎゅっとしてくれたらとてもとても嬉しい」
さぁ!と言えば隊長はため息をついて、私を抱き寄せた。ポン、と頭を撫でた彼に自分で言っておきながら思考は停止する。
「絶対死ぬな、生きて帰ってこい」
「……情報を持ち帰れ的な?」
「違う、俺はお前に生きて欲しい。幸せになって欲しい」
優しく頭を撫でられる。思考はまたもや止まる。うわぁ、これは、冗談でもそんなことを言うべきではなかったな、と思ってしまったのは仕方がない。
「隊長」
「……なんだ?」
「キャパシティオーバーで死にそう」
「きゃぱ……?」
「宍戸さん助けて、死にそう」
「知りません、が、隊長離してあげては?」
「お、なんだ宍戸〜?ヤキモチか?」
そんなふざけたような声を出しながら隊長は私の方をポンと叩いた。
==
休みの日に何してるかって?部屋でゴロゴロである。部屋から出たくない、とベッドの上で丸まっていたらノックされた。ナマエ?と呼んだのは隊長だろうか。
「ただいまナマエはお休み中です」
そうかったるそうに言えば容赦なく扉が開いた。宍戸さんである。同期に似ている彼は容赦がない。ツカツカと歩いてくると、私の襟元を掴んだ彼は容赦なくひきずる。いやだいいやだい、と扉を掴もうとしたら隊長が私の手を掴んだ。
「いやだい、いやだい、私は部屋でゴロゴロするんだい!」
「どうせ一日中寝てるんでしょ」
「そうだよ悪いか」
「悪かないが、悪いなぁ、ナマエ。米田司令がおよびなんだ」
「ううっ、整えてくるので十分待ってください……」
しょんぼりしながら言えば、宍戸さんが手を離した。
==
とりあえず宍戸さんと加山さんと帝劇に向かう。その途中でちょっとそこのお兄さん三人組とか言われた。隊長が何か言い返そうとして、私は慣れてるんでと手を振っておく。
「奏組でも男って思われてますしね」
「それでいくと多分大神さんにも男って思われてそう」
「は?ナマエ、大神とあったのか?」
「帝劇の片付けしてたら声かけられました。月組とはバレてません。いい人ですね、あの人」
そういえば加山さんが「おおがみに唆されてる……!」と衝撃を受けていた。そして現れた大神さんに「うちの子は渡さん!」と私を目隠ししながら告げた。となりで宍戸さんはやれやれしてたけど。
Comment(0)
次の日 top 前の日