2018/10/20
↓同じ主
・同じ主
・同い年アレク来訪はしてない
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そのハンターを見かけたのはいつだっただろう。同盟国からの物資を将軍に渡すために現れたハンターはまだ子供だった。別に驚くようなことではない。生活のためにハンターになる人間は少なからずいるからだ。しかし、彼女は他とは違うのだろうとも感じた。どんな人間にでも助けの手を伸ばすのだ。ハンターだからね!と笑いながら。
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「あー、腹がたつ腹がたつ腹がたつ」
そう言いながらアレクの背中に抱きつく。アレクが固まったけど無視だ。周りが驚いてるけど無視だ。久しぶりに腹がたつ依頼だった。あんまり溜め込むと魔法の制御が出来なくなるから無視である。
「どうかしたのか?」
「今回の依頼が腹たっただけ。なんだよ、死にたい死にたいって。ハンターは人殺しじゃないの。じゃあモンスターに襲われるような場所に連れてってくれって言われて連れてったら連れてったで、助けて死にたくないだしどっちだよ。無傷で依頼人返したのにうちの子に危険云々言われてそれこそ『はぁ??』だよ。私は満身創痍なわけ。割と真面目に意味がわからない依頼だった。完全に貧乏くじひいた 」
満足したのでアレクから離れる。ありがとう、と片手を上げればどういたしまして?と首を傾げられたけど。
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「おじさん、あんまり私を怒らせない方がいいよ」
そう口ではいうものの、私の足元の地面が凍っているのを見るとどう見ても怒ってるんですよね、私。ひやりと下がり始めた温度、吐く息が白くなる。近くにいたミズハが何、寒い、とか戸惑っているけど無視だ。素晴らしい、といった彼は口元に笑みを浮かべた。
「君が生き残りであれ、別の世界からの来訪者であれ、その力は素晴らしい。是非ともコンラード博士に献上しなければ。できれば生きた状態が好ましいが、死んでいても構わん。捕まえろ」
これは完璧な撤退戦である。
とりあえずコマンドシップにミズハを乗せて最後の足掻きと言わんばかりにクリスタルダストを放ってコマンドシップに飛び移ろうとしたら撃たれた。そのことで飛距離に影響が出てしまった。もう少しで届きそうだというのに落下していく体に目を見開けば誰かが飛び降りるようにして私の手を掴むとコマンドシップの縁を掴む。
「シェリル!」
「わかってる!」
銃撃音、そのままハルトやらカイルが私に手を伸ばし、私をコマンドシップにのせる。そのあとアレクが楽々とコマンドシップに飛び乗りーーそのままコマンドシップは陸地を離れた。その瞬間、安堵したのがいけなかったらしい。大丈夫か!?と声をかけてきた周りの温度が下がる。ピキリとまた凍りついた周り、しかしながら私のマジックポイントが足りないからか意識が落ちるのが先だと見た。ナマエ?!というアレクの声を最後に私は倒れ込んだ。
夢を見る。同い年のアレクの夢をみる。元いた場所の夢をみる。彼が必死になって私を探す夢をみる。何度も私の名を紡いだ彼に私の声は届かない。
パチリ、と目を開けばコマンドシップの一室だったらしい。そういえば撤退戦して逃げ込んで、と思い出したところでなんとも言えない恐怖を思い出してまたピキリと周りが音を立てた。大丈夫、助かったのだと何度言ってもそれが治ることはない。それどころか周りが凍りついていく。助けて、と口を突いて出た言葉。昔にもあったのだ。実験体にすると言われたことが。その記憶がフラッシュバックしたらしい。怖いのである。小さくまた助けてと声が出る。
「だれかたすけて、たすけて、アレク」
扉まで凍りついてしまったな、と思う。ポロポロと流れた涙さえも凍った。不意に扉に熱を感じる。中に入ってきたのはこの世界のエルクさんだろう。私の目線に合わせて屈んだ彼は口を開く。
「大丈夫だ、お前は助かった」
ーーやっと捕まえたぞ。
そう彼がエルクさんだとは頭の隅ではわかっているのである。しかしながら、フラッシュバックした記憶のせいで彼が彼に見えないのだ。だから、その手を跳ね飛ばして部屋の奥に奥に行くのだ。
「たすけて、こわいよ、こわい、こんなの、ちがう、」
「フラッシュバックか……」
助けて、アレク。
私が零したたった一言に、アレクが寄ってきて私に目線を合わせて屈んだ。大丈夫、と頭を撫でた彼に安堵してまた意識が落ちた。
パチリと目をさましたらアレク少尉のマントにくるまって寝てた。そういえば一部屋氷漬けにした気がする。やばい、と慌てて起き上がり部屋を出た。中央の部屋にいた仲間に「うわぁぁ、ごめんなさい!」と慌てて頭を下げる。
「一部屋!駄目にした!ごめんなさい!修繕費は払います!そしてアレク、マントありがとう!」
「いや……もう大丈夫なのか?」
「もう大丈夫。ありがとう。元気になった」
そうぴょこぴょこ跳ねてみる。私は元気である。ライカが首を傾げた。
「何だったんだ、あれ」
「魔法が暴走した。昔ちょっと母親と一緒に追われたことがあって、追われるの苦手だし、撤退戦とかやったことないに等しいから緊張と怪我とまぁ色々ごっちゃになった上で嫌な記憶思い出して制御不能に陥った。だいぶ感情が高ぶっても制御が効くようになったと思ったんだけどなぁ」
頭をかきながらそう告げておいた。
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