2018/11/04
兼任司書妖アパ没
・2と同じような世界観
・相変わらず喋れない司書
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その場所は、偶然見つけたと言える。妖怪アパートのようなレトロな外装をもつ屋敷だ。なんだここ、こんな場所があったっけ、と見上げた俺は何を思ったか扉に手をかけ中に入ったのだ。そこが図書館だと教えてもらい、俺はワクワクして本に手を伸ばしたのである。日が暮れるまでそこにいて、同じく日が暮れるまでそこにいた女の子ーーどうやらそこにいた人曰く喋れないらしいーーと帰る。いつもの見知った道に出れば女の子はひらりと手を振った。それを見て雑踏に足を踏み出す。
「もう迷い込んではいけませんよ」
そんな声に振り返る。そこにいたはずの女の子はおらず、ただ桜の花びらがひらりとまったのである。
「ってことがここに中学生ぐらいのときにあった不思議なことなんですけど」
笑いながらそう言えばそこにいた人は目を瞬く。龍さんがそれは、と小さく告げた。
「ーーその図書館、そのあとに行ったかい?」
「いや、それがどういったのかわからなくて」
「それでいいんだよ、その図書館はこの世じゃないだろうから」
そういった龍さんに、え?と告げた。
「最後に女の子がいったんだろう?迷い込んではいけないよって。おそらく君は何処かに迷い込んでしまったんだ」
「神隠しってやつだね」
詩人の言葉にアキネちゃんと龍さんが頷く。ピシリと固まった俺に、でも悪いものではないんだろう、と龍さんが告げた。
「悪いものなら君をこちらに返してないさ」
「しかし、異界の図書館かぁ。そりゃあアタシも行ってみたいね」
詩人の言葉に俺ももう一度行きたいな、と考えてみる。あそこはまさに宝の山だった。
「古本屋なら何か知ってるんじゃねぇか」
「確かに。古本屋さんですもんね」
そんな話をしていたら、本当に古本屋が来るのだから笑える話である。
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「そりゃあ、ユウシ、お前は神さまの図書館に入れたんだ。よっぽど運がいいぜ」
俺の話を聞いた古本屋が笑いながらそう告げる。アキネちゃんが首を傾げた。
「古本屋さん、何か知ってるんですか」
「俺たちの業界では有名な話だよ。この世界に存在する存在した全ての本がその図書館にあるとか、壊れた本をなおしてくれるとか」
古本屋はそう言って酒を飲む。
「壊れた本を?」
「読みすぎてボロボロになってしまった本に桜の花やイチョウを挟んで本棚にしまう。すると次の日その本はきえ、一週間ぐらいしたら綺麗になって戻ってくるってな。それをなおしてるのが、神さまの図書館だって話だ」
「へぇー、詳しいね」
「まぁ、俺も実は迷い込んだことがあってな。ものすごい本の数でそりゃあもう興奮したもんだ。青い目の子供がいたろ?」
「え?あ、はい、」
「あの子があの図書館の館長なんだ。そして全ての本の主人でもある。俺たちはブックマスターはあの子を本の番人って言うけども、一部じゃ文学の守人とか、文字の神さまって言ってるんだ。人間でもない、妖怪でも幽霊でもない。東洋じゃ神さま、西洋じゃ天使の一人だ」
何かを思い出すように彼は告げる。本の番人、文学の守人。神さま、天使、きっと神聖なものなのね、とはアキネちゃんのセリフである。
「フールは何か知らないのか?」
「それはもう、存じておりますよ!本というものは全て彼の方に出会うのでございます。ただ、我らも滅多に会えない御仁でございまして。我らのようなものが彼女に会えるのは生まれ落ちた瞬間か、無くなる寸前なのでございます。いやはや、ご主人様も古本屋様も運がいい」
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