2018/12/31

2018没ネタ羅列

・もしかしたらアップしてるのがあるかもしれない
・ジャンル雑多

==兼任if


「迷子?しかも家がわからない?」
そう困ったような声をあげた館長に私たちも頷く。閉館時間の間際、エントランスでちょこんと座っていた子供。喋れないのでなんとかボディーランゲージで意思の疎通を図ったのだが、館長に報告したことがわかったのだ。今もちょこんとわたし達の後ろから心配そうにこちらを見上げている。参ったなぁ、と頭をかいた館長に按司が「一応は警察に届け出た」という。そうしてなんだなんだとやってきた文豪により彼女は図書館に居座ることになったのである。

それから一ヶ月たった。警察からも音沙汰はないし、親が迎えに来る様子もない。たまにちょんと座って誰かを待つ姿は可哀想になる。最近はもしかして親に捨てられた説、親がいない説が囁かれているが事実は不明である。お手伝いしてくれる良い子なんだし、この人子供苦手だろうという人には近づかないため文豪達も安心してる節がある。最近は寒くなかったからか彼女は誰かの湯たんぽをしていることが増えたけども。
さて、本日は大掃除だ。遠慮なく窓を開けていくナマエちゃんに一部文豪が文句を言いたそうにしていたが、その後ろを露伴さんが付いていたので言わないらしい。偶に按司の指示で安吾さんなんかをハタキでぱたぱたと襲撃してるけど。
「掃除が好きなのか?」
井伏さんの言葉に彼女は首を左右に振った。好きなわけではないらしい。菊池さんに配布されたタブレットをつかって、お掃除したら迎えが来るかもと入力した彼女に私たちは顔を見合わせた。
「何がどうしてそうなるんだ?」
佐藤先生の問いかけには、おそうじすると、えらいひとがくるから、と返答がきた。彼女の家はえらいひとがくる前にそうじしていたんだろうか、とみんなで首をかしげる。なんとなしにこちらを眺めていた按司が、一瞬固まって頭を抱えた。
「おま……そりゃあ親がみつからねぇはずだよ……」
「按司?」
「ちょっと出かけてくる」

==

掃除が終わって、荷風先生の扇子と図書館の鈴ーー正しくはベルーーを手に入れた、と言わんばかりのナマエちゃんが牧水さんの酒瓶を忍者のごとく借りてきて、露伴先生の羽織を被った。なんだなんだ?と職員と文豪で思っていれば、按司が慌てたように駆け込んできた。
「おい、ば、そのばのそくせきはやめろ、やめろください!!いや、なんでみたいな顔はダメだから、用具は揃えるから、向こうとこっちは勝手が違うんだよ!!」
そう酒瓶やらなんやらを取り上げた按司に、ナマエちゃんは取り返そうとぴょんぴょんする。しかしながら按司が何処かに消えたため、諦めたようである。むすっとしている表情はそれはそれで可愛らしいけども。
「あらら、俺の酒までとられてらぁ。何するつもりだったんだ?」
ハリセンボンのように膨れたナマエちゃんの頬を牧水さんがうりうりと触る。羨ましい。

==

宴会のような席で、按司が何かを持ってきた。木の台、お酒、そして何かが入った木の箱だ。また荷物を増やして、とぼやいた三好くんをおいて、ナマエちゃんがすかさず木箱を覗き込んだ。笛、太鼓、すずの集まったなにか、古そうなそれらと榊、小さな鳥居。お酒は新しいものらしい。飲もうと手を伸ばした無頼派の手をはたき落とした按司に、ナマエちゃんがトテテと部屋から出た。
「なんやの、これ」
「良いから黙っとけ、良いもん観れるぞ」
しばらくしてナマエちゃんが何かをもってきた。図書館に植えてある椿、水仙、山茶花などのはなだろうか。楽器の前にその花を置くと、ナマエちゃんは窓をあげた。按司も扉を開ける。寒い!と誰かが嘆いたけども按司が唇の前に人差し指を立てた。最後に木箱から真っ白な着物を取り出すとそれを被り、ナマエちゃんは鈴と扇子を持って佇む。何か口を動かしたけれど、それは何かわからない。しゃん、と鈴が鳴る。目を閉じていたナマエちゃんが、すっと手を前に出した。しゃん、と鈴が鳴る。舞を踊っているのだと理解した。ふとした瞬間に、笛の音が聞こえた。え、とそちらを見れば、椿があった場所には赤い着物をきた男性がいた。しゃん、と鳴るたびに増える音にそちらを見る。花をおいた場所にはいつのまにか人がいる。老若男女、様々な人が。その様子に唖然とする。
「あぁ、なにかとおもえばかたなのこかえ」
ふいにそんな声が聞こえて隣を見る。見たことがない人が、上品に扇で口元を隠して笑った。ぱたぱたとやってきたナマエちゃんに、音が止まる。そこに佇む人達はみな布で顔が見えない。
「ひとよにまよいこんだか、かわいそうに」
「……!」
「なに、ふとどきものはどこにもいるものよ。ひとつめもしんぱいしておったが……ふむ、おぬしのことか。どれ、つかいをだしてやろ」
そう何か手を差し伸べたその人に、鳥が寄ってきて窓から外に出た。
「……」
「よい、よい、数十年ぶりに良い空気をすえた。そのれいよ。まいねん、そうじはされるがうわべだけでな。このいっしゅんで、ひとのこも、ふみをかたるものもふえた、じつによいことだ」
私たちは答えを求めて按司をみる。一体何が起こっているんだ。
「彼の方は人じゃない。かといって文豪みたいなものでもない。普通はみえない、でも確かにいるものだ。この国の遥か昔からな」
按司の言葉にたっちゃんさんが按司を見た。
「神様、ということですか?」
「極端に言えばな」
「ひとのこよ」
こちら側をみてその人は告げる。
「かたなのこがかえるまで、あそんでやってはくれぬか。なぁに、すぐにこのこのむかえがくるじゃろ」
「あそび?」
「うたあわせもよいが、ぬしらのじだいではすたれたか。ん?ああ、そうか、かたなのこのこえはとどかぬか。では歌がるたなぞ」
「歌がるた?」
「俺たちでいう百人一首かな?」
そう首を傾げた棋院に、あ、それは苦手なやつだ、と固まる。
「ただのむかしのかしゅうであれば、かたなのこがかつかもしれぬな。まぁ、かるたよ」
ナマエちゃんがちょこちょことやりたそうにしているので仕方ないか、と顔を見合わせる。酔っ払いが頑張れと手を振った。
「先生たちも手伝ってくださいよ」
「ナマエをか?」
「いや、それは、うーん?」
「よいよい、みなであそべばよいのだ」
そうその人が手のひらにふっと息を吹きかけた。その瞬間、白くキラキラしたものが飛んでいきーーそれはたくさんの文字になって降り注ぐ。
「え」
「あのな、神様がふっかけるかるたが普通のかるたなわけないだろ」
目の前にあるのは下の句だろうか。部屋いっぱいに広がった下の句に、ナマエちゃんはぴょんぴょんとはねる。唖然としていた館長が口を開く。
「この中から下の句を探すのか?」
「そういうことよ」
「ねぇ、この数、百以上ないかい?」
「いってだろ、ただの百人一首じゃナマエが勝っちまうって」
「ひとのこよ、ふみのものよ、どれ、おぬしらがかてばいいものをやろう」
クスクス笑った彼は、さてはじめよ、と口を開く。おくやまに、と綺麗な声で詠まれた言葉にナマエちゃんが消えたと思ったら下の句を触った。紅葉を散らしたその言葉は鹿に姿を変えて霞のように消える。
「え、」
「これはやばいな」
続けて詠まれた歌もナマエちゃんがとる。なるほどこれはかてない。
「山ふかし、水あさぎなるあけぼのの」
「俺の歌じゃねぇか」
「とった」
そうはにかんだ朔太郎くんが可愛い。なるほど、近代のやつもか、と思ったら次に読まれたのは現代の短歌である。私がとったけど。たまに小説の冒頭も読まれ、タイトルを探したりする。ついには文豪や館長なんかも総動員しはじめた。というか、出てくる言葉が酷く無造作なのだ。ありとあらゆる本がでてくるので、館長や私たちでさえも把握できないのである。流石にナマエちゃん一人じゃ可哀想なので何人かナマエちゃんについたけども。たまに常人じゃ取れない場所にあって、ナマエちゃんがぴょんぴょんはねて取りに行ったり、子供のように騙してみたり。そうして残った一つにハラハラしていれば、ナマエちゃんが扉を見た。
「むかえがきたかえ?」
慌てたように開いた扉の先にいたのはスーツのような服を着たーー男性である。
「ナマエ!」
そう叫んだ彼にナマエちゃんは彼に抱きついた。ぽかぽかと彼を殴るナマエちゃんは不満を述べているのだろうか。バタバタと駆け込んできたのも知らない青年や少年、男性である。
「おお、きたか、ひとつめのけんぞくよ」

==メゾパイ


・夢主と仲がいいパイロットの知人が転生マノックだったらなもしも

なぜかパーティーにお呼ばれして、きちんとしたドレスコードを着るように言われた。スーツで行こうとしたら見透かしたリックに止められてドレスを着さされて今に至る。イギリスの空軍のなにかなのか、ガタイが大きいひとが多い。ザワザワとしている周りはあまり心地がいいわけではないので、壁の花を決めようとしたらすっと何か飲み物を差し出された。そちらを見ればマノックさんにそっくりな人である。眉間のシワ、クマまでそっくりだ。驚いていれば彼は口を開く。
「レモネードだ、酒じゃない」
「マノックさん?」
当たり前であるが英語である。こてん、と首を傾げれば、彼は驚いたように目を見開きーー頭を抱えた。その様子に私も?を浮かべる。
「え、あ、なんで?あれ、アパートに、」
「……すこし話がしたい、席を外せるか」
そう告げた彼に頷いて彼に続く。喧騒から離れた場所、テラスに出た。
「警戒心はないのか」
「え、え?」
「いや、まぁ、いい」
「マノックさんはどうしてここに?」
「招待されたからに決まってるだろ」
「イギリスに渡れないはずでは?」
私の問いに彼は目を見開いて、そうか、と小さく息を吐いた。
「まだ俺がアパートにいるのか」
「え?え?」

==ややこしいからぼつ!

ロタールさんと歩いていれば女の子にショック受けられた。なんだ?と思ったけども、彼女の様子にあぁと理解するが遅し。走っていった彼女、不思議そうにするロタールさん、弁解する時間が欲しかった。

マノックさんと歩いている時にあの子にあったので、違う違うと訂正しておく。本当に?と疑うような視線をむけた彼女に、マノックさんの手に手を絡めた。
「こういうことですので」
こちらにむいた視線にニコリと笑う。まぁ、すぐにそらされたけども、手はそのままポケットに突っ込まれたから良しとしよう。
「いくぞ」
「ロタールさんが落ち込んでいたので話してあげてくださいね」
それだけ告げてマノックさんと歩き出す。まぁ、あんまり良くない人名を出したから機嫌が悪くなったみたいだけど。
「マノックさんの手、おおきくてあったかいですね」
「そうか」


==王国心



「私が?本当に?」
そう目を見開いて、マスターをみる。あぁ、と頷いた彼に舞い上がる気持ちを抑えてありがたくいただきます、マスターと頭を下げた。

ひどく懐かしい記憶に、ああ、と目を閉じる。7つの光、13の闇、そして最後に揃わなければいけない5つのピース。五人のマスターに選ばれた、五人の弟子。その見分け方というのは実に簡単で彼彼女らはマスターから服を与えられる。そして、マスターの服についていた水晶のネックレスが贈られるのだ。ポケットに入った水晶のネックレスに目を伏せる。彼らは何処かにいるんだろうか。三人はどこかに可能性がある。でも、あとの一人は?あの時追いやったのは私だ。
「ナマエ、どうかしたの?」
「なんでもないよ」
そう苦笑いする。不機嫌そうな顔で覗き込んだ友人と不思議そうに覗き込んだソラは「本当に?」と尋ねた。
「ナマエったら、さっきからずっと黙ってばっか。ナマエもキーブレードに選ばれた人なんだし、もっと危機感持たないと」
友人に言葉に周りが驚いたように声を上げて私をみた。
「それは本当?」
「はい、王様、ナマエもキーブレード使えるんですよ!ほら、ナマエもキーブレード だして!」
そう肘で私を突っついた友人に手を差し伸べる。光の流線とともに現れたのはやはりマスターのキーブレード だ。
「でも私は七に含まれません」
「それはこれからであろう」
「いいえ、イェンシッド様。そうではなく、私が属すのは恐らく、5つのピースの方でしょう」
キーブレードが使えることがバレてしまったいま、もう黙っておく必要はないだろう。そう思って口を開く。
「私には記憶があります。昔は朧げな記憶ではありましたが、最近はっきりと思い出したものです」
「記憶?」
「あなた方が言う、昔々のお伽話。光を奪い合う勢力による戦争。私は確かにそこにいました。私はその一つの勢力に属し、そして戦っていたんです」
「なんと、」
「あの戦いは誰もが不本意の中で起こった。沢山のことが重なって、全てが悪い方向へ向かいーー光を奪い合ったと言う話になったのでしょう」
「止めなかったのか?」
「止めれなかった。いや、見ないふりをしていただけかもしれない。ただ望んだのは穏やかな日々だったのに。気づいた時には引けなくなった。私に唯一できたのは、何かに駆られていくマスターの側にいることとと勝者を出してはいけないという彼の教えを守ることだけだった」
キーブレードを、離す。光となって消えたそれからイェンシッド様の方を見た。
「あの時の勢力は5つありました。そこには一人ずつマスターがいました。そして、その勢力から一人また人が選ばれるのです。恐れ多くも私はその一人に含まれます。私がピースになるのか、マスター達がピースなのかはなんとも言えませんが」
「じゃあ、ナマエは時間を超えてきたってこと?」
首を傾げたソラに私もまた首を左右に振る。
「わからない。ただ、私は戦場で倒れ込んでーー最後にマスターを見て意識は途切れてる。この記憶が本当なのか偽物なのかも私にはわからない」
私の言葉に友人が少し考える。
「ん……ん?そういや、ナマエをわたし達が見つけた時、森の奥で寝てたよね」
「そうそう、寝てた!ぐっすりとまぁ、ぬいぐるみだいて!」
「もしかして、心が眠ってたんじゃないかな。ナマエのマスターが何かして、ナマエを眠らせたんじゃない?」
「それかナマエがノーバディか、だが、向こうが目をつけねぇあたりノーバディじゃねぇな」
リアの言葉にそれもそうだと頷く。
「5つのピースについて何かわかることはあるかい?」
「これと同じものをマスターにしろ、選ばれた一人にしろ、持ってると思う」
そう水晶をみせる。
「ただ、選ばれた五人のうちの一人は生きてるかどうかも怪しい」
「なんでそう思うんだ?」
「四人のうち三人は私と戦った。三人のうち二人は戦場から逃がした。あとの一人は戦った」
最後の、彼の、最後の言葉を思い出す。また、会えたのならーー。
「でもさ、ナマエが他の場所にいたなら、その人だって他の世界にいるんじゃないかな?で、仲直りすればいいじゃん!」
そういったソラを見る。彼の言葉に周りはそうだな、と頷く。
「大丈夫、きっとどこかにいるよ」
王様の言葉に、そうだね、と頷く。きっと何処かに彼らはいるのだろう。

==ぶんある


・魔法が使える主(幸福のストーリーテラーと呼ばれる)は司書の友人
・図書館にいついてる
創作流用主
・魔法使い/魔女にも種類がいて、主人公はストーリーテラーと呼ばれる魔法使い。
・ストーリーテラー……その名の通り、物語を紡ぐことでその世界に行ったり人を連れて行ったり、物語に登場する魔法をつかったりできる魔法使い。主人公は基本子供向けの話(ハッピーエンドの話)の世界しか繋がないので幸福のストーリーテラーと呼ばれてる。

==

「あのな、そいつ魔法使いだぞ」
そう大真面目に私を指をさした友人に首を傾げておく。魔法使い?と周りが首を傾げた。そんな非科学的な……とぼやいた館長に錬金術もとんだ非科学的なものだと思うのだが、と口を開いておいた。
「なに、錬金術師はごまんといるのに魔法使いはいないの」
「いてたまるか」
「は、いや、ナマエちゃんマジで魔法使いなん?」
「マジかよ!金くれ金!」
そう両手を差し出した太宰さんにため息をつく。あいにくそういう魔法は不得意である。宮沢賢治くんと新美南吉くんが嫌にキラキラとした視線をむけてくるので、仕方ないと杖を振るように指を振った。
「ビビディ」
キラキラと光った手元に、話半分だった周りが動きを止めた。
「バビディ、ブー」
そう歌うように告げて太宰さんの方に手を向ければ、光の粒が太宰さんをつつみ、王子様のような服を着た太宰さんが現れた。
「お、おおお!?!?」
そうマントを摘んでヒラヒラとさせた太宰さんは服を確認してるらしい。
「お、おおお!?でも金じゃない!!やりなおし!」
「ナマエはそういう魔法は不得意だぞ。第1その服もどっかの王宮御用達だろうから高く売れるぞ」
「まじか!」
「12時の鐘で消えるけどね」
そう肩をすくめておく。周りが首を傾げたけれど、談話室の鐘が12時を告げて太宰さんの服は元に戻る。
「え!なんで!」
「そういう魔法だから」
肩をすくめる。シンデレラの魔法か、とぼやいた友人はさすが私の友人であるだけあって詳しい。何かトリックがあるに違いないと私をじろじろと見る坂口さんには悪いけど特にトリックはないのである。ただの魔法だ。
「ねぇねぇ、他には何ができるの?!」
「場所を移動したりとか。海とか他の街とか」
「なんやちょっと平凡やな」
「アホ、こいつの場合、違うぞ」

==兼任司書



目の前にいるのは父親である。正しくは父親、の、分霊になるのだろうか。遼、と名前を呼びかけて、あぁ、あるじといったほうがいいのか、と優しく目を細めた彼に息を止めた。その様子に陸奥守以外の刀剣が顔を見合わせる。陸奥守は投げやりに「主の父親の分霊ぜよ」と告げてーー本丸中に叫び声が響いた。

「遼」
そう顔をのぞかせたのは知らない男性である。美丈夫というか、そういう系統の。遼ちゃんは彼をみて固まった。彼は持っているものを遼ちゃんに渡す。
「わすれものだよ。だいじなものだろう?」
「う、ん、ありがとう」
「佐藤くんはいないのかい?」
周りを見渡した彼と私たちは目が合う。いつも遼が世話になってるね、と微笑んで見せた彼は控えめにいってカッコイイ。新しい刀剣男士だろうか、と思っていれば佐藤先生がやってきた。
「悪い、遅れたーーって、アンタは……」
「やぁ、佐藤くん。遼がせわになってるね」
「いや、こっちが世話になってるくらいで……なんでアンタがここに……」
「ああ、顕著されたんだ」
その言葉に佐藤先生はちらりと遼ちゃんをみた。良かったな、と言った彼に遼ちゃんは刻々と頷いて、少し口角を緩めた。
「なんや、佐藤せんせ、知り合いか?」
織田作さんのツッコミに佐藤先生は、ん?とこちらを見る。
「遼の父親だよ」
その言葉にまわりは一拍おいて叫んだのだけど。

=没

棋院くんが小学生の初恋をかっさらっていくのと同じように、按司くん(と無頼派)は中高生に人気である。偶に按司くんが手伝いにカウンターに立つ日なんか、怠そうにしたり本を読んでいるにも関わらず、その姿を遠目で見てきゃあきゃあと小さな声で言っているのが聞こえるのだ。まぁ、外見はちょいワルお兄さんの癖に、応対はキチンとするし、勉強を教えている姿もみかけることがある。なんだかんだ言っても面倒見がいいからね、とは棋院くんの言葉だ。本人は少しばかり鬱陶しそうであるが。「小学生はお手紙とかお花とかませた子供でも渡してくるもんはもんだからいいけど、年が上がるに連れて本気度と盲目度があがるだろ」とは彼の話だ。
カシャリ、となったのは誰かのスマートフォンだろう。所謂隠し撮りだろうか、と思って注意しようとすれば見かけた織田作さんが女子高生からスマートフォンを借りて按司くんに近づいた。側で何か原稿をしていたらしい坂口さんと図書館内を眺めていた太宰さんもまたそれに近づく。なんだなんだと思っていればインカメに設定したらしい四人が写真を撮った。その様子に女の子数人が小さく悲鳴をあげた。そのままスマートフォンを返しに戻った織田作さんは女の子達と一言二言喋ってそのままカウンター近くを陣取った。しばらく家宝にするだとかなんとかいう言葉が聞こえたけども、すごいな按司くんの人気。

ちなみに、カウンター仕事は他の三人も立つことがある。一番利用者と仲がいいのはとっつきやすい棋院くんで、頼られやすいのは立川さんだ。そして一番近寄りがたいのは淡々と作業をしている海野さんである。青い目も相まって外国の人と間違えられるらしい。まぁ、その隣に並ぶのも他に比べて真面目な人が多いからそうなるのだろう。佐藤先生とか、菊池先生とか。しかしながら立川さん曰く隠れファンが多いらしい。
「偶に男の子と間違えられてるときあるよ、遼ちゃん。夢壊すのもあれだから黙ってるけど」
「まぁ、ある程度年を重ねた奴で海野と棋院が好きな奴は大人しいやつが多いからな。ああいう風に写真取ったりはないだろうよ」
「まぁ、遼ちゃんの場合、薄い本の餌食になってるというか」
ぼそりと呟いた立川さんに、僕は噎せた。
「ほら、遼ちゃん、中性的な顔じゃない?憂いを帯びた美少年顔。さすが半神半人。隣に佐藤先生とか菊池先生がいて、それとなくフォローしたり話したりするし、遼ちゃん笑ったりするじゃん?そうするとね、一部の女の子は燃え上がっちゃうわけだよ」
「なんでお前そんなに知ってるんだよ」
「そう言う子達と仲良くなったから」
「もしや俺のカウンター勤務を垂れ流してんのは」
「それは棋院。棋院は平等に優しいから悪気なく教えてる」
「あんのお人好しめが……」
そう恨めしく告げた按司くんは、ため息を一つついて俺はパスとはっきり告げた。
「何が良くて一週間ガキの世話しなきゃいけねぇんだ」
そこで初めて会話は振り出しに戻る。そう、そもそもこの会話の最初は中学生の職業体験受け入れについての話が発端だった。年に一度、一週間、近所の中学生が体験と称し二、三人やってくるのだ。たった一週間。されど一週間。さて、誰が面倒を見るか。そんな会話から脱線してあんな会話をしたのだ。現に訪ねてきた学校の先生曰く今年の希望は例年にないほどだったらしいし。今年は普通の子がくるだろう。
「まぁ、多分、普通の職員が面倒見てくれるんじゃないかな?」


ーーと、思っていた時期が僕にもありました。目の前にある履歴書ににたそれは如何にもヤンチャそうな男の子と、大人しそうな女の子である。またか、と僕を含めた昔からいる職員は苦笑いした。図書館にやってくるのは所謂問題児というか、そういう子が多いのである。毎年ヤンチャな子は館長、それが以外は職員が見ていたけれど、今年は僕と五人の司書に振り分けされるらしい。なんてこった。
「あー、じゃあ、一週間、あの扉から帰れないですね……」
海野さんがそう言って嘆いた。館長がそうだなぁと頷く。
「そういえば昔は海野さん、律儀に玄関から帰ってたもんね」
「えぇ、まぁ、神社までの距離なんですけどね。寮に用意してもらってる部屋から帰らせてもらうかなぁ」

==ぎんたま

「辰馬さん、辰馬さん」
そうピョコピョコと辰馬さんの後ろをついて歩く。不思議な世界だ。江戸時代だけど江戸時代ではないそこは宇宙にたやすく行けて、なおかつ、宇宙人が沢山はびこっている。そのおかげか否か江戸時代の生活様式から私がいた世界の生活様式、いやそれ以上に間をかなり抜かして変化しているし、人々もそれに順応しているのだ。目の前にいる辰馬さんもその一人だ。坂本辰馬という、坂本龍馬の一文字違いの名を持つ彼は快援隊というこれまた似た名前の会社の社長で星間貿易を生業に生きている人だ。どういう因果か彼の積荷に紛れ込んだボロボロの私を彼が拾い、回り回って最年少の従業員として私は働いているわけだ。色々な星を巡り、色々な天人(宇宙人の意味らしい)と出会った私であるが、未だに面白いので凝視してしまう。まぁ、だいたい、辰馬さんは私に合わせて立ち止まったりしてくれる、のだけど。おりょうちゃーん!という声と下駄が走り出す音に辰馬さんがいた方に目を向ける。しかし、そこにいたはずの辰馬さんはおらず、困ったことに人がごった返していた。
「これは迷子フラグでは」
そう言って持たされているお小遣いを確認する。うん、この金額があれば何日かは食いつなげるだろう。とりあえず甘味が食べたい気分なので、確かここらへんの路地を抜けた場所にこの前食べにいった甘味処があったな、と歩き出した。

「お兄さん大丈夫?」
たまたま入った路地裏の先にいた髪をたてた男性に声をかける。腕を怪我しているようだけど。ハッとしたようにこちらを見た彼は殺気を飛ばしたけれど、私の姿を見てそれはやめた。まぁ、見かけはただの子供だもんね、と思いながら首をかしげる。
「怪我してるの?」
「いや、これくらいは怪我のうちに入らん……」
「あんまり放っておくと悪化するよ」
そう言って鞄から手当てセットを取り出す。何処かの星、医療技術がかなり進んでいる星で手に入れた代物である。手をかして、と言えば彼は目を瞬いた。おずおずと差し出された手にあるのは切り傷だろう。クリームをつけて包帯を巻いておく。はい、終わり、と手を叩いて笑う。
「これ、別の星の奴だからすごい性能いいんだ。夕方には傷跡も無くなってると思うよ」
「……そうか。ありがとう」
ぐしゃりと撫でられた頭に嬉しくなって、こそばゆくて、照れたように笑う。
「何か礼をしたいところでござるが、拙者は今忙しくてな」
「自己満足だから、気にしないでいいですよ」
それだけ言って手当てセットを鞄にしまう。じゃあ、といってその先に足を踏み出した。右手方向からは微かに血の匂いがする、気がする。
「右には行かぬ方がいい」
「お団子屋さんって右?」
「あぁ、それなら左奥だ」
「そっか、ありがとうございます!」
そう笑って左に向かう。目的のお団子屋さんに入った頃、何処かで攘夷浪士たちの争いがあったという話が耳に入った。なるほど。とりあえずお団子を食べていれば、銀髪の男性と目があった。一本取ってお兄さんに向けてみる。
「お兄さんも食べる?」


==

お兄さんとお団子モグモグしてたら、お兄さんが万屋であることが判明し、私が迷子だと打ち明けた。
「迷子?」
「一緒に江戸に来てた人が、多分人名を叫んでどっか行っちゃったから、お団子屋さんにきた」
「いいのかそれ?どんな奴だ?」
「坂本辰ーー」
「ナマエーー!!こがなところにおったやが!」
そう駆けてきたのは辰馬さんである。その後ろには黒い服をきた人たちが見えた。私の目の前で止まるとぐしゃぐしゃと頭を撫でる。
「心配したぜよ、急におらんくなったき」
「辰馬さんが急に消えたんでしょー!」
そうポカポカと辰馬さんを軽く殴る。いでで、いで、と反応してくれる彼は優しい。むー、としていると、彼は黒服の男たちに、見つかったぜよ、と言った。そのまま黒服達はどこかに言ったけど。
「私はここでお兄さんとお団子たべてただけですー」
「お兄さん?……おぉ!金時!!久しぶりじゃなあ!!」
「金時じゃなくて銀時だっての。なんだ、辰馬の知り合いか?」
「部下ぜよ」
「部下ぁ?」
どうやら銀髪さんは辰馬さんの知り合いだったらしい。刻々と頷けば、お前まさかロリコンだったのか、と哀れんだ視線を彼に向けた。実際は彼らよりは年下だけど今の姿よりは年上である。黙っとこう。
「おん、荷物にまぎれちょったから引き入れた」
「誘拐じゃねぇか」
「今じゃ快援隊では一番年下、世間知らずの末っ子じゃき、こうやってワシが連れ歩いとるぜよ」
その言葉に、銀時さんの服をつまみ、耳に口を寄せる。
「陸奥さんにね、監視頼まれてる」
「そんなことだろうと思ったよ」
「ナマエ?何話とお?」
「辰馬さんが置いてったって密告してました」
ムッとしながらそう言えば、あれは不可抗力じゃき許して、と言われた。まぁ、多分たまに話を聞くおりょうさんだったのかもしれない。
「でも、無事にナマエが団子屋つけてよかったぜよ。なんでも、別の路地裏で攘夷浪士と天人の斬り合いが発生したか……」
「……心配した?」
「おぉ、した。もう一人で迷子はいかんぜよ」
「お前が置いてったんだろ」
銀時さんのツッコミに辰馬さんはアッハッハ、と特徴的な笑い声をあげた。

==

黒服の集団は真選組というお巡りさんの軍団らしい。その中に紛れ込んでいる同じぐらいの身長の彼は見たことがある。偶には一人でフラフラさせてもいいんじゃねぇか、と言って辰馬さんと飲みに出かけた銀時さんを見送っていれば出会った。お前は、と小さく呟いた彼は至る所にガーゼを貼っている。重傷人である。
「もしかして、楽市くん?」
「やっぱりナマエかテメェ」
ジリジリと竹刀片手に睨む彼に銃火器じゃないんだなぁと思う。だからこんなにボロボロになんだろう。
「楽市、珍しいな。知り合いか?」
「知り合いっつーか、腐れ縁……ですよ」
タバコを蒸した男性にそう言った彼に男性はこちらを見た。
「おいそこの娘っ子、お前はどこからきやがった」
そう尋ねた男性に首をかしげる。それはどういう問いかけなんだろうか、と真意を掴み損ねる。
「質問の意図はよくわからないけど、気がついたら船の積荷にいたのを拾われて今はその会社で働いてます」
「船?」
「宇宙船?ああ、そうだ、ちょっと待って」
ごそごそと鞄の中から名刺ケースを取り出す。はい!と名刺を男性に渡した。
「株式会社快援隊商事……社長補佐?」
「あれ?そんな肩書き書かれてたの?」
そう首を傾げて名刺をみる。確かに書かれている。こっちの方が便利じゃき、もっちょれとは名刺を渡す時の陸奥さんの言葉だ。あぁ、なるほど、小姓という意味かぁと納得したのは偶に辰馬さんがそういうからである。
「で、大会社の社長補佐が何一人でフラフラしてんだ」
「社長さんは昔馴染みと子供は入れないお店に向かわれたので、一人でフラフラしといてって」
「……キャバクラか?」
「そんなものあるの?」
男性の言葉に子供らしく首を傾げてみる。あるんじゃねぇか?と同じように首を傾げた楽市も子供のふりをしているらしい。溜め息をついてごまかした男性はこちらを見下ろす。
「お前らはどうなってんだ。二人とも変な体験しやがって。ワープしたってのか?」
「ありそう」
「ありそうだな」
「はぁ?」
いや、貴方がワープしたのかもって言ったんじゃないか。
「とりあえず、屯所連れてくぞ楽市」
「あーい、おら、歩け」
「暴力はんたーい!」
そう子供っぽく言えば楽市に白い目で見られたけども、知らないふりだ。まぁ、私の知識と一文字違いの組織の彼らはまた面白かったし、酔い潰れた辰馬さんにぬいぐるみにされるのは別の話かもしれない。

==

とりあえず宇宙各地を行ったりきたりしていたら、地球にやってきた。なんでも地球の危機らしい。なんてこった。陸奥さんに引っ掴まれて快援隊の船から地上にダイブする。沈んだ辰馬さんとは裏腹に陸奥さんは普通に着地すると私を降ろしてくれた。有難い。とりあえず話に加わった陸奥さんを見て、辰馬さんを起こす。
「ナマエは優しい子ぜよ、ワシの味方はナマエだけじゃ」
おいおいと大袈裟に泣く彼の頭をポンポンする。立場逆な気がするけど。話に加わりに向かった彼を見送り、私はそちらを伺いみる。銀時さん、は、知っているが他の人は知らなーーいや、一人見知った人がいた。といっても私より年下の筈なのだけど、どう見ても歳上になっている。
「え、あれ、もしかして、ナマエさん……?いやでも、なんで?」
そうパニックになっている彼女に、ゆかりちゃーん、と抱きつきに行く。そしてにっこり笑いながらちょっと目線で脅す。固まった彼女に、周りが彼女を見た。
「なんじゃ、ナマエはゆかりの知り合いかえ?」
「うん、昔近所に住んでたの!ねー?」
「い、イエス」
ブンブンと首を縦に振った彼女に周りが首を傾げたが私はニコニコ笑う。脅し?気のせいです。
「ということは、ナマエは地球人かえ?」
「たぶん?ゆかりちゃん知ってる?」
「地球人です、まごう事なく地球人です。ナマエさん、ナマエさん、月仁くんと陽炎くんにあいましたか?」
「会ってないよ?あの二人もどこかにいるのかぁ、そうかぁ。楽市くんにはあった」
「う、え?」
目を点にした彼女に、月仁と陽炎はどこにいるの?と尋ねれば、ちょっと待て、と銀時さんがつっこんだ。
「なんでコイツがあの双子知ってんだ。というか、コイツ、辰馬に拾われたんだよな?なんで鬼兵隊と幕府に知り合いいるんだよ」
その問いには首をかしげる。幕府はともかく鬼兵隊ってなんだ?と首をかしげる。
「いや、多分、そうなる前の知り合いだから、ナマエさんはそうなること知らないと思う」
「うん、知らない。気づいたら辰馬さんに拾われたから」
ニコニコ笑いながら告げる。記憶喪失か?と告げたのは初めましての人だ。話がずれているので元に戻すことにする。
「でも、どうしておねえさんは困っているの?」
そう言って首をかしげる。着ぐるみのような服を着た彼女は頷いて話はじめた。

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地球のピンチはお留守番である。ナマエは船の中で待つんじゃ、と言った彼にゆかりちゃんが私を何度見して引きずられていった。頑張れとエールを込めてみおくる。さて、これは楽市と共有するべきことだろう。月仁と陽炎は私が元の場所で面倒を見ていた子供であり、ゆかりちゃんは楽市が面倒を見ていた子供だ。幕府にいるとは、鬼兵隊とは?と思いはするが、おそらくはうまくやっているのだろう。放っておいても構わない気がするし、あの子達はなんやかんやと世話を焼くような年でもあるまい。さてはて、こちらにきたのは確か楽市やゆかりちゃん、あの二人と一緒にいるときだ。ゆかりちゃんが大人であるけどを考えると、おそらくは二人も大人なのだろう。わぁ、逆転現象。そう思っていれば陸奥さんからの通信が来て定位置についた。とりあえず今度地球に行った時に話しておこう。

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「楽市くーん、あーそびーましょー」
そう真選組屯所の前で声を出してみる。ひょこりと顔を出した男性は私を見て首をかしげる。影が薄そうだな。忍者向いてそう。
「楽市くんのお友達かな?」
「うん、楽市くんいますか?」
「楽市くんならーー」
「やーだーねー」
そう言いながら門の奥にいたのは楽市である。ベー、と舌をだした楽市は順応している。
「楽市くん久しぶりー!お土産かってきたよー!他の星のおかしとねー、他の星のぬいぐるみとねー」
「マジでいらねぇチョイスしてんじゃねぇよ」
「他の星のモデルガン!」
「それはいる」
「遊んでくれなきゃわたさなーい」
「やまざきさーん、土方さんにちょっと遊んでくるって伝えといて」
そうまっすぐこっちに来た楽市に、手を掛けさせるなよ、と思う。とりあえず、お団子食べに行こ!と無邪気に言えば、おー、と頷かれた。

「しっかしお前子供に順応しすぎだろ」
そう言いつつ団子を食べながら器用にモデルガンをいじる楽市に、楽市もねと言えばお前ほどじゃねぇよ、と言われる。それほどでも、と言いつつ団子をつまむ。
「ゆかりちゃんに会ったよ」
「は?俺たちがこれくらいの歳ならアイツ生まれてないか赤ん坊だろ」
「ところがどっこい大人だった」
そういえば口をあんぐり開いた彼の口から落ちかけた団子の串をつかむ。話している話が話している話なので周りに些細な幻術をかけておく。
「月仁と陽炎も大人っぽいんだよね。鬼兵隊と幕府にいるって聞いた。ちなみにゆかりちゃんは桂さんって人といるよ」
「は?三分の二が御用改め案件じゃねぇか」
「え、そうなの?」
「そうだよ、そうなんだよ、なに犯罪者してんだアイツ」
頭を完璧に抱えた彼に、でも元気そうだったよ、といっておく。フォローじゃねぇ、と言われ、それもそうだと頷いた。
「そもそも、原因って何か覚えてる?」
「いいや。ゆかり庇ったら傷だらけで屯所だった」
「同じだ。私も二人庇ったら傷だらけで辰馬さんの積荷だった。帰り方探すのもそこがはっきりしてないと分かりづらいか……」
「お前の場合、宇宙いるから余計だろ」
「楽しいよ、宇宙!」
そうニコニコと言えば溜め息をつかれる。
「ぶっちゃけ言って月仁か陽炎が私探してそうだし原因探ってる気がするから私はのんびりしてていいかなって。大人みたいだし」
「まぁ、そうだな。俺ものんびりすっか」
おそらくこれ以上はその話はしないだろう。トン、と椅子を叩けば術がとけた。

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楽市が屯所に帰ったのを見送って江戸をふらふらしていたら、呼び止められた。振り返ってみると何時ぞやのお兄さんである。怪我してたお兄さん!と二パリと笑えば、彼は「ああやはり」と私を見下ろした。
「この前の傷薬、効果はばっちりだったでしょ?」
そうニコニコと問いかければ、ああ、たしかにばっちりだったでござる、とちょっと笑みを浮かべられた。
「主は……江戸に住んでいるのでござるか?」
「ううん、宇宙と江戸を行ったり来たりしてるから、たまにしか江戸にいないよ」
「あぁ、なるほど、どおりで」
お兄さんの言葉に首をかしげる。お兄さんはポケットから何か包みを取り出して私の手に乗せた。
「この前のお礼でござる。前の傷はちと厄介だった故、とても助かった」
その言葉にああ、利き腕っぽかったもんなぁ、と思う。ぽん、と頭を撫でた彼は「もう拙者とは会わぬ方がいい」と告げて歩きだす。ばいばい!またね!と手を振れば、彼はひらりと手を振った。
あの人攘夷浪士か。

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兎にも角にも私の近辺は今日も平和である。支給された携帯電話と楽市とメールしたり、ゆかりちゃんとメールしたりしてたら辰馬さんがちょっとヤキモチ焼くのが可愛かったりする。まぁ、船員には立場が逆転してるともっぱら言われるけども基本的な関わりは変わらないのでいいだろう。
ーーその平和な期間が長かった代償というか。愉快なことに巻き込まれたなぁ、と思う。攘夷浪士と真選組、幕府っぽい組織、万屋と色々と並んでいるのはアウトなのでは?と思いながら非戦闘員子供組の楽市と蚊帳の外を決め込まれている。わいのわいの騒ぐ周りに、楽市に尋ねる。真選組の小さな隊服を着ているあたり、正式に入ったんだろうか。
「これ正直どう思う?」
「帰還フラグじゃねぇの」
チラチラと引き攣った顔でこちらをみるゆかりちゃんを完璧に無視して楽市は面倒臭そうに告げる。同じくチラチラとこちらをみる男性二人は月仁と陽炎だろう。しかしながら私は笑顔で手を振っておく。
「授業参観してるみたい」
「確かにな」
そんな話をしていたら話がこちらに移ったらしい。これは知らないふりをするべきか否か、と考えて、近所に住んでた人と紹介したと思い出した。
「近所に住んでるお兄さんお姉さんって話になってるから」
「理解」
ぞろぞろとやってきた集団に、お久しぶりデス、楽市……くん、ナマエ……ちゃんと口端を引きつらせてゆかりちゃんが告げる。楽市がいい笑顔で答える。
「おー、久しぶりだなぁ、ゆかり姉、まさかゆかり姉が攘夷浪士になってるだなんて俺は知らなかったなぁ。御用改めでござるー」
「ひえっ」
そう桂さんの後ろに隠れた彼女に「俺にそんな権限はないんだけどな」と肩をすくめた。私はあいも変わらずニコニコと笑いながら二人をみる。
「月仁にぃも、陽炎にぃも久しぶり!この前のお兄さんも!」
「月仁、知り合いだったでござるか?」
「あぁ、俺の婚約者だ」
そう真顔で告げた月仁に、エッという視線がむいた。陽炎がすぐ「アレは小さい頃の約束だから無効だって言ってるだろう」と突っ込んだけど。
「なんじゃ、ナマエは譲らんぜよ。ナマエは快援隊、ワシの補佐じゃき。なぁ、ナマエー?」
「うん!」
満面の笑みで答える。さて、釘を刺さなきゃ二人はこっちに来るだろう。
「かっこよくなったお兄さん達は、お友達とこれからも頑張ってね!」
「ぐっ」
そう二人同時に動きを止める。楽市も楽市で笑顔をつくる。
「ゆかり姉は俺が逮捕してやるから覚えてろよ!」
「ひぇっ」
固まったゆかりちゃんに楽市は近藤さんに褒められていた。
「なんなんですか、御三方なんでそんなにあの二人に低姿勢なんですか。弱みでも握られてるんですか」
その言葉に楽市と二人首を傾げておく。三人があらぬ方向を見て苦笑いした。

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置いてけぼりも危ないからと連れていかれることになった。辰馬さんに護身用の電気ショック銃をもらい、楽市は真剣である。逆の方がいいんだよなぁ、と思ってたら見事に私達以外捕まったんだけどどういうことだってばよ。いや、お互いがお互いの足を完璧に引っ張っててはっきり言って笑った。めちゃくちゃ面白かった。
「どう思う?」
「ぶっちゃけあいつにお前が気に入られたらいいというか、お前が気を引いてるあいだに俺が狙撃するのがはやい。銃も落とし穴に落ちる前、すかさずゆかりの銃を奪ったことだし」
「じゃあ捕まってくる、ロリコンっぽいし」
監視カメラの死角をぬって、彼に軽く術をかける。それと同時に分身をつくり、そちらを楽市の姿にかえておいた。30分できれるから、と言えば楽勝だろ、と言われる。さいですか。さて、ワザと捕まるにしても、いかに自然に捕まるかが要だろう。
「あ、」
そう躓いてこける。追手がやって来る、逃げて、楽市!と言えば振り切るように楽市に化けた私の分身は逃げた。押さえつけられて髪を掴まれて顔を見られる。痛い。
「ほぅ、これはまた上玉な……アレらに比べて大人しそうだ。ちと幼いが、あの方も満足するだろう」
「はなして!」
「暴れるな、つれていくぞ」

ドン!と突き飛ばされてまた転んだふりをする。ぶっちゃけ歌も踊りもできるしなぁ、と思っていたら背後から視線を感じた。辰馬さん達である。辰馬さん!と立ち上がって駆け出しかけたら頭を掴まれて押さえ込まれた。じろじろと舐め回すような不躾な視線だなぁと思いながらチラリと後ろを見た。舌なめずりする音だ。
「これはこれは……また」
「はなして!やだ!」
子供のようにジタバタしてみる。さわり、と触れた手つきは気持ち悪い。マジでロリコンか。涙を目に浮かべて、やめてよ、と言えば殴られたので大人しくまた転げた。檻の向こう結構殺気立ってるけど大丈夫か。頬に手を当てて座りこむ。
「抵抗すればアイツらを殺すぞ?」
「みんなに、ひどいことしないで」
はらはらと涙を流す。言うこと聞くから、酷いことしないで、と言えばまた相手は下衆い笑みを浮かべて私に触れる。そっと目を伏せればガツン!と大きな音が響いた。そちらを見ればめちゃくちゃ殺気立ってる外野である。とりあえず、月仁と陽炎がやばそうなのでそっと目を細める。それを介したらしい二人は眉間にシワを寄せながらも下がった。さて、そろそろだろうか、と楽市の気配を探るために目を伏せる。檻の正面奥だろう。つま先で床を叩く微かな音を聞くに配置についたらしい。そっと目を開けば間近に男の顔である。いかん!ナマエの純潔が!と叫んだ辰馬さんの声が聞こえる。すかさず手を差し込み、笑んでおいた。
「ごめんなさい、私はそんな安い女ではないんです」
相手の頸椎あたりに蹴りを入れる。クリティカルヒットである。唾液を飛ばして横にずれた彼の手の力が弱まったのを機に拘束から逃れる。しかしながら体重が軽いためそこまでダメージが蓄積されなかったのだろう。コイツ!と手を伸ばした彼にーー電撃弾が着弾したらしい。ビリビリと感電した彼は気を失って倒れた。
「ゆかりちゃんって実弾使ってないの?」
「まだ許可もらってないし……というか!ナマエさん、無事ですか!」
「無事です。気持ち悪かったけど、」
そう言えば明らかに安心したような彼らは根っからの悪人ではなさそうである。男の懐から鍵を漁って檻に向かう。まぁ、でも、鍵の形合わなさそうなんだよなぁ。檻の前でガチャガチャしていれば辰馬さんがやって来る。
「鍵の形が違うなぁ」
「ほんに、違うのう。こりゃあめった……」
「楽市、鍵拾ってません?」
「拾ってねぇよ」
そうひょこりと奥から顔をのぞかせた楽市は動く気がなさそうだ。ピッキングするかな、と思っていれば上からまた声がする。白い制服、はじめましてだ。
「これは電子的なものも含まれるタイプですね」
「ああ、なら楽市か。楽市ー」
そう言って鍵が見えるように離れれば楽市は銃を構える。おい、待て、楽市はやまるな!との声を無視して楽市は引き金を引いたらしい。バチッという大きな音が鳴って鍵が煙をあげる。追加で一撃が放たれ、鍵は音を立てて壊れた。
「ナマエ、ちょいと端に避けぇ」
陸奥さんの言葉に端に良ければ思いっきり陸奥さんが鉄格子を蹴ったらしい。檻の扉が吹っ飛んで、みんなが檻から出た。陸奥さんと辰馬さんと合流する。
「ナマエ、無事そうで安心したぜよ」
「帰還したらすぐ風呂じゃ。汚ったない手でベタベタベタベタと」
そうペタペタ触る辰馬さんに陸奥さんが蹴りを入れる。
「しかし、あの楽市とかいう小僧、いい腕ぜよ」
「楽市くんはね、刀を振り回したいお年頃なだけでね、あっちの方が得意なんだよ」
「変なこと教えてんじゃねぇ!べっつにいいだろ!俺だって刀を振り回したいんだよ!」
「やりたいこととできることは違うって知ってる?得意なこととやりたいことが必ずしも合致するとは限らないんだよ?」
「それ昔テメェに聞いたわ!!!」
「……主は意外と熾烈なこと言うんでござるな」
そう言った万斉さんに首をかしげる。でも、事実でしょう?といえば、そうだな、と高杉さんに頷かれた。

==

「ナマエちゃんと楽市くんって結構しっかりしてるんですね!」
そう言った新八くんに私はなんと言えばいいのだろうか。実は私たちより年上で、二人ともそれぞれ先生と慕われる立場の人です、と言ったときは頭おかしい扱いされる気がする。というか、銀時達は私たちにも先生がいることをわかっているはずだけど、それが子供だと知ったらどんな反応をするか。
「そうだね、あの二人は今はああいう風だけど、とてもしっかりしてるよ」
苦笑い混じりで答えた陽炎くんは目をそっと後ろに向けた。同じく前をまた子ちゃんを半ば抱えた状態でゆるく走っていたらしい月仁がチラリと見た。二人が何か言う前に、辰馬に抱えられたナマエさんが口を開く。
「辰馬さーん、陸奥さーん、追手きた!」
「あっはっはっ、相変わらずナマエレーダーは優秀ぜよ!」
「あとそろそろ足元気をつけた方がいいと思う」
そう言った瞬間、先を走っていた神楽ちゃんと沖田くんの首根っこを陽炎くんが掴んだ。その下は落とし穴である。
「うちのレーダーは壊れましたかね」
そう言った武市さんに月仁くんは肩をすくめて、また子ちゃんを下ろした。陽炎くん神楽ちゃんと沖田くんを穴より手前に下ろす。
「壊れてないが、向こうの方が数段上だ。陽炎よりは俺の方が上だが」
「一言多いし、変わらないだろ」
バチバチと火花を散らした彼らに後ろからは居たぞ!だなんてありきたりな言葉を告げた敵に、「こうなりゃ正面突破」と言った周り。相変わらず抱えられているナマエさんと師匠(楽市さんのことだ)は非参加だろう。こっそりと吐いたため息にナマエさんが心配そうに私を見た。師匠は私のことなんてガン無視だけど。

==

ナマエさんが飽きてきたのか、早く帰りたくなってきたのか、万斉さんの絡繰三味線に興味を持ったのか、さてどれだろう。むしろ、怒ってるのかもしれないし、気分を害されているんだろうか。いや、ピシリと二人が固まっているのを見ると、ナマエさんは怒っているらしい。あと、ついでに言えば師匠もピリピリとしている。静観してるフリをしてるが。辰馬に相変わらず抱えられているナマエさんはただただ敵の親玉を見て器用に辰馬さんの肩に頬杖をついた。
「そもそも、私たちは知らない話ですよね。貴女がどんな姿になろうと」
「あれ?なんで急にナマエちゃん敬語キャラ?そんなに同郷って言われるのが嫌だったの?」
そう言った新八くんに、「ナマエさんの素はあっちだよ」と肩を叩く。
向こうの親玉さんは、私達みたいに気づいたらこちらに来ていたらしかった。まぁ、こちらに来たいが為に人を殺しーー偶々居合わせた私たちにも襲いかかろうとして、私達は子供となった二人に庇われたのである。そうして私達は攘夷戦争真っ只中に、あの二人はつい最近、落ちて来たのだ。周りが納得してるのは天人がそう言う技術を持っていてもおかしくないからだろう。彼女が望んだのは私たちのような渡り方で、あんな異形の形ではなく、そして宇宙海賊ーー春雨とは別の組織らしいけどーーにいることでもなかった。
「だいたい、お前がやったことが姿に反映されてんじゃねぇの。カミサマとやらも粋な計らいをするもんだ」
「それで、カミサマとやらはどこにいるんですか?そろそろ良い子はお家に帰らないと、ね?」
辰馬さんの腕から降りたナマエさんが、師匠に同意を求める。
「お前の何処がいい子だよ」
「仕事が溜まってないといいですね」
ぽん、と憐れむように肩を叩いたナマエさんに師匠は目をそらした。あー、と口を濁した彼は一応日本の傭兵会社の社長である。
「溜まってる……ぜってえ溜まってる……帰りてぇ。いやむしろこのまま子供として真選組として生きてたら俺は仕事から逃れる気がする。俺はもう剣で生きる」
「無理でしょうね」
きっぱりと言ったナマエさんに、師匠が肩を落とした。ナマエさんは淡々と彼女をみる。
「変わりたいと願うなら、違う方法もあったでしょう?沢山の選択肢をけずってまで、貴女はその道を選んでしまった。ただ、それだけだ。家に帰してくれませんか」
「アンタ達もこの世界に潜る時にそんな姿になったんでしょ!」
「ええ、そうです」
「あぁ、そうだな」
そうはっきり告げた二人に、周りが二人を見下ろした。勝ち誇ったような笑みを浮かべた彼女は、何かをつぶやく。けれどもはっきり聞こえるわけではない。
「ナマエの姿も違っちゅうか?」
「子供の姿で中身がこんなだと普通は気味悪がられますからね。ただ、私にはこう言った子供時代は短かったので、とても楽しかったですよ」
穏やかに笑ったナマエさんに、辰馬は目を瞬いた。師匠も息を吐く。
「どいつもこいつも善良すぎんだよ、子供なら簡単に懐に入れやがる。いや、そんだけ懐が広いのかもしれねぇけどな」
一瞬赤とも白とも取れる光がさす。目を見開けないくらいの。治ったそれにゆっくり目を開けば、そこにいたのは、元の姿の二人だ。子供の姿なんかではなく、大人の、姿の。
「で、元の姿に戻ったわけですが、ご感想は?」
「で、元の姿に戻ったわけだが、感想は?」
そうにこりと笑ってみせたナマエさんと師匠に、親玉ではなく周りが一拍おいて叫んだ。二人もまさかそちらから叫ばれるとは思ってなかったのか、肩を揺らす。
「ナマエ、なんじゃあ大人じゃったか。こりゃあ驚いたぜよ。しかし、別嬪さんじゃなぁ」
そう頬に手を添えた辰馬に、ナマエさんはありがとうございますと微笑んでゆっくりと手を離させようとした瞬間、月仁くんと陽炎くんが刀を辰馬に突きつけた。
「先生から手を離せよ天パ」
「先生から手を離してくれないかな?モジャ男」
「アッハッハー、ダレカタスケテー」
「こら、お友達にそういうのは向けない。あと彼は私がお世話になった方です。やめなさい」
「いや、でも、先生、コイツは先生に手を出しかねないんです」
「そうです、先生、コイツは害悪です。そもそも先生がコイツと一緒にいるのが気に食いません」
そうむくれた二人の頭をぽんぽん撫でたナマエさんに二人がおとなしくなる。ナマエさんが手を離せばシュンとした二人はほんと変わらないというか。

==逆とか(向こうがトリップしてきてる)

「あぁ、よかった、目が覚めたんですね」
そう洗濯物を抱えながら声をかければ、男性四人組はこちらを見下ろした。

目の前にいる男性四人組は昨日の夜道端で倒れていた四人組である。放ってはおけないかとなんとか連れて帰ってきた四人組だ。チグハグな格好に、武器の類なんかをつけた彼らは違和感しかしない存在である。そして、向こうもおそらくはそうだ。縁側に座っている二人、私の目の前にいる二人。おそらく彼らも彼らで違和感を感じているのだろう。
「とりあえず、私は苗字ナマエと申します。ここに住んでるものです。昨日、貴方達が路上で倒れているのを見つけてここにお連れしました」
そう名乗ればサングラスをつけた男性が笑いながら頭をかく。
「すまんのぉ、ワシらは別々のトコで天人に襲われて……気がついたら今ぜよ」
「苗字殿と言ったな、ここから江戸への道を尋ねたいのだが」
はて、とそこで言葉を止める。江戸、とは。むしろ、天人とは。
「江戸、ですか」
「おん」
「……失礼ですが、今は何年でしたっけ?」
そう尋ねれば長い髪の男性がすらりと答えるが、知らない年である。西暦を答えてくれたサングラスの男性によってようやく幕末あたりであることは理解できたが。頭を一人抱えていれば、四人組の視線がこちらを向いた。いいや、でも過去ではないかもしれない。可能性としたら、パラレルワールドだってこともあり得るのだから。しかたない、ともう一度口を開く。
「あと、もう一点尋ねたいのですが、あまんと、とは一体何なのでしょうか」
その言葉に四人組が動きを止めた。
「おいおい嘘だろ?なに、オタク、江戸に来たことないわけ?こんな片田舎だからか?」
「いえ、ここが山の中ってだけで



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雑多 

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