2019/01/20
本日もまた晴天なり 一
そもそも、間違ってる。私は別に研修生ではないし、そんな学校に在籍した覚えもない。話を聞けば、研修に行くはずだった一人が居なくなってしまい、それを埋めるために私にそうであると偽って欲しいらしい。なんだその困るやつ。別の場所に呼ばれたなぁと思ったらそれだ。はぁ、とため息をつけば政府の役人だろう彼は肩を跳ねさせて土下座した。そこまでか。
==
「片方はやんごとなき一族の出ですので」
そう言った役人に、審神者は「私もやんごとなき一族でしょ!」と怒った。そして私たちをみる。
「どんな一族か知らないけど、私の一族に右に出る一族はいないから」
これが小物臭と思いながら、何か慌てている役人を怒鳴りつけた審神者。役人の肩をポンと叩いておいた。それは隣の青年も同じである。
「じゃああんたはあっちね」
そう顎で指されたのは離れだろうか。雑草が酷い。というか、そもそも、本丸には綺麗な庭があるはずなのにそんなものはない。放置しているか、変なことーー所謂黒というかーーをしているかだろう。
「アンタはってことは、こっちの子だけですか?」
「えぇそうよ、私の刀剣を変な目で見られても困るもの」
変な目、とは。役人を見たらもはや死んだ目をしていた。
「とりあえず、わたしは向こうで過ごせばいいのですね。何をすれば?」
「アンタは何もしなくていい。さっさと消えて」
「では、お言葉に甘えて」
そう頭を下げて離れに向かう。青年が遠慮がちに俺も向こうがいいといいかけて審神者に睨まれていた。どんまい。
==
とりあえず離れにいけば、みるからに呪具があったので全て処分させてもらう。簡素にお焚き上げである。無くなった瘴気に息を吐いて、まずは掃除かと周りを見た。
掃除をして思ったことであるが、刀の破片が落ちていることがある。折れたのだろうか。とりあえず刀の破片を集めて再び加持祈祷しておく。これでだいぶ空気は変わったはずだ。
「何もしなくていいって言われてもな」
半年間なにをしろと。
==
短刀達の面倒をみることになった。こんのすけの話を聞くに顕著されている刀剣が四十二振りしかいないというし、夜戦がない。ということは、だ。池田屋詮索が入る前ということだろう。母親から伝え聞いた話では、当時は短刀脇差軽視が多く、その人達が痛い目を見たとかなんとか。私の膝の上で爆睡をしている今剣他近くで寝ている短刀をみる。みんな練度が低い。来たるべき日の為に練度を上げた方がいいのでは。
短刀達がこちらに来たので保護者がよく離れに来るようになった。というか、最初みんな慌てたように心配したように時に私を恨めしそうにみるんだけど、なんなのだろう。まぁ、最後には謝られるのだけど。
「しかし、お前は偉く澄んだ霊力を纏っているな。それでいて量も質も良い。通りで離れが綺麗になるわけよ」
「あー、それは呪具やら刀の破片やらを最初に加持祈祷したりしたからでは」
そう言いつつ首をかしげる。岩融も岩融で首を傾げた。近くにいた薬研が、こちらを見上げる。
「刀の破片?」
「はい、おそらくは短刀のものかと思われますが。貴方達も知らないとすれば審神者様も知らないでしょうが」
「いや……それならいいんだけどな……」
「ふむ、オレもそれとなくほかに聞いてみるとしよう」
「あっ!いわとーし!ずるいですよ!みならいさまとおはなしするなんて!」
「おぉ、今剣。薬研もいるぞ」
「やげんはいいんです!やげんはたんとうなかまですから!」
走ってきた今剣に抱きつかれる。とりあえず頭を撫でていれば、えへへと笑われたけど。
==
最近審神者さまの気配がないなと思ったら、審神者さまが帰ってきていないらしい。たまにあるとは厚の言葉である。
「研修生が来てるからずっといるんじゃないかってこんのすけは言ってたんだけどな」
「あぁー、期待を裏切ったわけだ」
そんな話をしていればバタバタと走る音がする。なんだろうかとそちらを見ていれば、止まることなく廊下を滑っていったのは白だ。また戻ってきてこちらに顔を出したけど。
「もう一人の研修生がここにいると聞いて!!ん!?なんで人がもう一人いるんだ?研修生は?」
「私です」
「嘘はいけないぞ、君のようなのが主の言う人間なわけがないからな!」
「あー、鶴丸さん、それ間違いなくこの人のこと」
「……本当に?」
「うん」
「……こりゃあ、本気で驚いた」
そう私によってきた鶴丸さんは私をぐるりと見渡す。
「私はどんな人間ってなってるんですか」
「霊力の量も質もダメ、一族は主より下、やる気のない不細工だときいたぞ」
「顔はまぁ、人の主観によるのでノーコメントで」
「見習いさんは料理もうまいぜ」
「本当か!というか、君たち食べてるのか!」
「そちらは食べていないのですか」
「まぁ俺たちは食べなくてもいいからな。もう一人の見習いがここ数日絶望してる」
「え、言ってくれれば作るのに」
そう言えば鶴丸さんは首を傾げた。
「俺のぶんもか?」
「構いませんよ、でもあまり期待しないでくださいね」
==
とりあえず鶴丸さんがもう一人の見習いさんに告げたらしい。スライディング土下座しながら俺のぶんもお願いします!!と告げた彼は少し面白かった。話を聞いた短刀が兄弟達の分も!と告げたので、もう一人の研修生に連れられて母屋の方に足を進める。
「母屋って掃除してます?」
「あー、そこまで手が回ってなくて」
「もしかして、審神者さんの仕事肩代わりしてたり?」
私の問いに図星だったのだろう彼は肩を落とした。ああ、通りで兄弟達が毎日来ないのだろう。
「内番はきめないの?」
「うちばん?」
「畑とか、馬の世話とか、厨当番とか、手合わせとか……遠征と出陣以外の刀でやるんだけど」
「遠征??」
沢山のハテナを浮かべる彼や鶴丸さん、に、出陣しかしてないのか、と頭を抱える。
「とりあえず、お昼ご飯今何してるか教えてもらっていい?」
「おお!詳しい感じか!めちゃくちゃありがたい!俺ほとんど説明受けてなくてさぁ、」
そういう問題なのだろうか。
==
とりあえず、いる人数分のチキンライスをつくり、目玉焼きを上にのせる。スープをつけて、簡素な昼食である。そして、気づく。
「あ、しまった、初めて食べる人が多いなら、和食の方が良かったか」
「見習いさまー、今日のお昼はなんですか!」
「チキンライスの目玉焼きのせです」
「僕それ好きです!」
「じゃあ秋田くんは兄弟や短刀を連れてきてお皿を運んでください」
「はーい!」
そうかけていった秋田を見送る。そのあと、短刀と保護者一行がやってきたのはすぐだ。こんのすけ用の油揚げを用意しておこう。
Comment(0)
次の日 top 前の日