2019/01/20

本日もまた晴天なり 二


「ええと、普段離れにいるもう一人の見習いです。短刀達にはお世話になっております」
そう頭を下げれば、なんか聞いてた話と違う、とみんなにいわれた。そんなに違うのだろうか。とりあえず、短刀ともう一人の見習いがそわそわしているので「先に食べましょうか」と促せば、短刀が元気よくいただきます!と声をあげた。
「見習いちゃん、俺たちもたべていいの?」
「もちろん、お口に合うかわかりませんが。あと、スープ……西洋というか、南蛮の汁物は暑いので気をつけてください」
「ねぇ、これなんで赤いの?血?」
「違います、これはトマトという野菜の色です」
「とまと」
懐かしい感覚だなぁ、と思いながら食べる。周りが真似して食べる。桜の花びらの量が増えたのを見ると嫌ではなかったらしい。騒ぎに驚いたこんのすけに油揚げをあげれば、鳴狐のお供がやってきたのでもう一枚あげる。はぐはぐ食べる二匹は可愛らしかった。

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こんのすけに、仕事一覧の話をしたらちゃんと持ってきてくれた。あとはそれに対する報酬も、である。資源を確認していれば量が極端に少ない、のに、刀剣の数はそこそこおおい。審神者さんは鍛刀をかなりしていたんだろう。色んな刀が一緒にいるので、先生の気分である。とりあえずホワイトボード的なのをこんのすけが持ってきたのでそれに書く。
「出陣、遠征、内番、でたまに演練。演練はとりあえず置いておきます。勝手に出ちゃうとだめでしょうし。出陣はもう君は指揮してるんですよね?」
「なんとか。でも説明ほしい」
「君にわかりやすく極端にいうと、出陣がカチコミ、遠征がパトロール、内番が家のこと」
「なるほど」
「刀の人達に説明するならば、出陣は遡行軍の討伐、遠征は遡行軍はいないか、または歴史の改変が起きていないかなどを確認するための詮索と資源の回収、内番は掃除や馬の手入れ、厨仕事と畑仕事や手合わせですかね」
「戦で使う馬の手入れはともかく、厨仕事と畑仕事や掃除?」
「掃除をすれば空気が綺麗になります。邪気が払えるといいますか。厨仕事は私が研修のあいだは引き受けますが、その後は誰かがやらないといけません。審神者さまも食事を摂られるので、できた方がいいでしょう。畑仕事は」
「畑仕事は?」
「食費が浮きます」
「あー、そうだよな、この人数だもんな」
「……畑仕事を頑張れば、色んな料理が食べれるようになりますよ。今日食べた料理だって、短刀が小さな畑を作ってそこで育てたんですよ」
そういいつつ、第一、第二、第三、第四、内番、(厨番)、非番とホワイトボードにかいた。
「ここからは部隊の振り分けの話。六人編成を組んでローテーションが楽だと思いますが」
「たしかに。ってことは、編成は固定?」
「どちらでも。一月で交代でもいいと思いますよ。人も増えるでしょうしね。月の最終日は全員非番とか決まりをつけていれば」
「おお、それいいな」
「遠征は1日3回がノルマみたいですね。今はまだ近場しかいけないみたいですが。三隊同時にでれるみたいです」
「じゃあ、1つが出陣、残り3つが遠征、余力があればその3つに出陣してもらえばいいなぁ。遠征とかなら短刀も一緒にいきやすいだろうし。隊についてはみんなで決めるか」
「それがいいですね」
「内番は……」
「馬・畑・手合わせで六人ですかね」
「手合わせは各自してもらうか、また何か考えるとして、とりあえず馬の世話と畑仕事でいいか?」
「私は構いません。今本丸を任されているのはあなたですから」
「じゃあ、馬・畑で上手いこと別れてもらうか」
「……どうしても嫌な人がいれば厨仕事というか、料理教えときますね」
こうでもしないと歌仙さんと蜂須賀さんが怒るからなぁと思っていれば、案の定二人が息を吐いていた。こればかりは変わらないらしい。
「よっしゃ、じゃあ、隊決めようぜ!」
そう言った見習いに刀剣達が湧いた。ノリがいい刀剣たちである。

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厨仕事というか、おやつを作っていれば光忠さんがやってきた。予測はしていたけれど。
「主人は作らせてくれなかったけど、実は興味があったんだよね。教えてもらっても?」
「構いません。今から作るのはおやつです」
「おやつ」
「人間は基本、朝昼晩と三食食べるんですが、昼と晩の間に少し休憩したいときに少しだけ甘いものを食べます。それがおやつです。みなさん話し合いが白熱していたので、差し入れみたいなものですかね」
そういいつつ、離れから持ってきた寒天を固まらせたもの、あんこ、フルーツ、黒みつを並べる。とりあえず見習いくんが勝ったという人数分の器も出した。
「今日のおやつはあんみつです」
「餡蜜」

==完璧に餌付けである

「ナマエさんは初期刀誰にしたの?」
「陸奥守吉行」
「即答かよ。俺まだ選べてないんだよなぁ」
そう言った見習いくんはコタツに顎を乗せた。私の話を聞いていた陸奥守がハイテンションになって、加州と山姥切がめげた。近くにいた見習いくんが首をかしげる。
「どうしてか聞いても?」
尋ねられたその言葉に昔を思い出した。
「ただ五振り並んだ状態で手に取ったのが陸奥守だったというか。その時は知識もうっすらだったので、こればっかりは縁としかいえませんね」
「え、もしかしてナマエさんもう刀所持?」
その言葉に、あー、と思っていれば私の膝の上にいるこんのすけが口を開いた。
「ナマエ様はやんごとなき一族の方なので先に」
「こんちゃん……」
フォローしてくれたこんちゃんが可愛くて、ウリウリと頬を撫でる。可愛い。しかしながら、うちのこんのすけのような「主さま!またそんな幼子のようなことを!」というツッコミはなかった。逆に照れられた。可愛い。
「そういえばそんなこと言ってたなぁ、役人も」
「あれ?でも刀持ってなくない?」
拗ねた加州がこちらを見ながら告げる。
「研修生が刀持ってたらなんだ此奴ってなるでしょ?」
「あぁ、たしかに」
「そういや、ここの初期刀は誰なんだ?」
見習いくんが単刀直入に尋ねる。山姥切が口を開いた。
「俺だったようだが、折れたらしい」
「えっ」
見習いくんと二人で固まれば陸奥守が笑いながら「まぁ、刀は折れるもんじゃき、」と手を振った。
「打刀から下はよく折れるからね」
「は?通りで重傷とかでもお前らまだいける!とかいうわけ?ナマエさんなんてショックで固まってるじゃん。ワナワナしてるじゃん」
審神者さんが太刀大太刀薙刀優先だからその他の練度が低いと思ってたけど、もしかして違うのか。ということは、あの刀の破片は。
「とりあえず、折れてはダメだし、折ってもダメ。出来るだけ中傷以下で撤退してほしいな……最悪重傷」
「だが、戦だぞ」
「撤退して作戦立てて元気に出直した方がいいでしょう。刀装とか、部隊編成とか審神者側にも問題があるわけだし。何より、みなさんが折れると私が悲しい」
「俺も悲しいわ。顕現したての他の刀みてると、記憶ないってことだろ。こんだけ仲良くなったのに」
二人してそうしょんぼりすれば、本日非番の打刀が顔を見合わせた。

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審神者さんが相変わらず帰ってきそうにない。役人にそれとなく言えば、審神者さんが帰ってくるまで見習い期間が延長された。とりあえず、事情をまともに説明できてなかったので夢の中でむっちゃんを呼び出せば全員出た。そしてむっちゃんが怒っている。
「あーるーじー?どこにおるやがー?」
その言葉に、私はどう説明すれば良いか頭を抱えた。


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