2019/02/02
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「そう言えば、最近変な事件が多いですね」
なんとなくそう浮かんだかのように階段に足を踏み出しながら彼女が告げる。変な事件?と首を傾げた周りに、記者の一人ーー確かフリーランスの記者であるーーが、あぁ、と何か思い当たったように口を開く。
「作家の怪我が相次いでる事件?」
その言葉に彼女は満足したように頷いて、舞台へ繋がる階段の途中で彼女はくるりとこちらを向いた。
「そうです、恋愛小説の作家が髪を切られてしまったりとか、学生の話を書く人が突き飛ばされてしまったり、車を題材にする人が事故にあったり。よくよく考えてみると、恋愛小説作家さんの新巻には髪を切られてしまう描写があるし、学生の話だって友達とじゃれあって階段から落ちてしまう描写がありますよね」「ついでに車のやつだって、事故からレーサーに復帰する描写がある」
「ちなみに『飯塚龍一(お父さん)』の新刊には、上からシャンデリアが落ちてくる描写があるんですよね」
ニコニコと笑う彼女に、飯塚龍一が、というよりは他も上を見上げた。しかし、そこにはシャンデリアはない。なんだおどかすな、と愚痴愚痴とつぶやいた周りに、飯塚龍一が口を開いた。
「記念写真は別の場所でしようか」
「そうしよう!暗くなった瞬間に、照明器具が落ちてきたら怖いもんね!」
全くもって、彼女には悪意がないように見えて悪意がある。それに気づいているのは飯塚龍一が偽物だと理解している人物だろう。彼女は続けて口を開く。
「さてと、この中で飯塚龍一(お父さん)を殺したいのはだーれだ」
そう尋ねるように告げた彼女に、周りは一瞬にして騒いだ。
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久々に他人の描いた計画を見たな、と思う。トリックを暴いただけではこの場の誰が犯人かはわからない。何故ならこれはもう発売されている小説のトリックを使っているからである。読んでいれば理解できるそれ。いや、読んでいないと嘘をついている可能性もあるそれだ。さて、この場にいる人物が犯人とは限らない。ジュウニさんが口を開いて、小説から引用されたか、と飯塚龍一の声でつぶやいた。
「作家の怪我が相次いでいたが……いや、どれもイタズラでは済まされないだろうが、これはまた悪どいものが出たな」
彼はそういって私のそばにやってくる。そこのボーイ、照明を切り替えてくれ。そう頼んだジュウニさんに、照明係ではなく端にいたボーイが目を瞬いた。よく見ればケンさんである。あれ、ケンさん何してんの?と首をかしげれば、彼は苦笑いしたけれど。とりあえず照明を切り替えたらしい彼。一瞬の暗闇、プツン、という音。そして、落下音、壊れる音。ついた写真撮影用の照明はちょうど私達が並ぶ予定だった場所に落ちていた。ジュウニさんが冷静に、「これはおもったよりもひとたまりもないな」と告げた。
「俺よりも身長が小さいアキはともかく、俺は最悪死んでる」
記者さんが寄ってきて、パシャりと落下している照明器具とコードを写真を撮った。もう一人、司会者の人も寄ってくる。見たことがある動作に、私はあーっ!と叫んだ。
「七海光太郎!」
「お前はホント鼻聞くな……」
そう綺麗なお姉さんの顔で七海光太郎が口を開く。記者さんが目を瞬いた。
「この前のDDCの探偵さんかな?事前にDDCがいたってことは、DDCはこのことを睨んでたのか」
「まぁな。ただ、授賞式は今日ここだけじゃないし、作家なんてごまんといるからある程度の目星しか立ててないが、まさかあたりとはな」
やれやれと息を吐いた七海光太郎に、こちらこそやれやれとしたくなる。小声で、で、アイツは誰だ、と尋ねられたそれに、内緒、と指を立てた。
「さぁて、と、トリックはわかったんですが、今回犯人わからないです。だから細かいことはよろしく、七海光太郎!」
「はぁ?」
「だって、事件の全容がわからないんですもん」
そう頬を膨らませる。わからないものはどう考えても無理だ。
「あぁ、そうか。いつもみたいに飯塚龍一のトリックノートで起こっているわけじゃないからか」
ぽん!と手を叩いた彼に頷く。ジュウニさんが、飯塚龍一のふりをして口を開く。
「普段が長編なら、今回は番外編の短編のようなものだろう」
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サクッと解決しました。いやだってあんなことを言われてしまえば解決するしかない。犯人は貴方ですね!なんて記憶の中にいる探偵の真似をしてみる。動揺した彼の認めが悪い発言を七海光太郎が撃ち落としていく。七海光太郎容赦ない。しかしながら認めたら認めたで、凶器向けてきたのはよくない。まぁ、私は記者さんに庇われてジュウニさんが犯人を掴み、七海光太郎が確保したというか、のしたけど。なんだこれ、強い布陣である。ほっと息を吐いた記者さんは私から少し距離を離す。七海光太郎が口を開く。
「やっぱり冥王星か……」
「冥王星?」
そう記者さんと二人首をかしげる。ジュウニさんは少し考えて、あぁ、あの犯罪プロデュース組織、と納得した。高遠さんの集団バージョンだろうか。でも、それにしてはどうもお粗末というか。組織となるだけあって質の上下があるのだろうか。
==特務司書の話書くので一時中断
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