2019/02/27
なんかで書いてた忍者主の遠呂智 没
==
いつか見た構図である。ただの孤児院の先生だとか、ただの会社人、二人とも戦えないと紹介された私達はまたやる事がないと言えばいいのか。いや、それぞれいろんな手伝いはしたりする。私は子供の世話とかご飯の支度とかもう一人はジャンヌさんの相手とかご飯の支度とか。あれ?ご飯の支度ばっかりだな。まぁ、周りは了承してるし、年齢が下な子に懐かれたからいいとしよう。しかしながら、申し訳なくなるな、と思うのは主導をきる彼女ではなくそれに巻き込まれた彼女のクラスメイトたちである。逃げ場を作ってあげないと、というのは周りーー将や軍師達ーーも理解しているのだろう。今も先生と言いながら甘えてくる彼らに息をはく。これは最初に選ぶ選択肢を間違えたな。
=
どうしてそうなったか、と尋ねられたら偶々というか。私の住む屋敷に子供が逃げてきたのが始まりであることには間違いがない。ひっそりと隠居するつもりだったんですけどね、と言えばお昼寝大好き軍師ことかの竹中半兵衛が「それわかる〜」と告げた。まぁ近くにいた王元姫に「ナマエは若いでしょ、何言ってるの」と突っ込まれたけど。
==
「あれ、ヤンデレ一歩手前だろ」
そう告げたのは普通の会社員と紹介された今代雑賀孫市こと鈴木楽市である。もう一人雑賀孫市がいるためうまくは言えないが、とりあえず私の世界の雑賀孫市だ。その視線を辿れば、たしかにヤンデレ一歩手前の男子高校生がいた。先生、先生、と慕う様はうちで預かってる子供に似てるが、それよりも激しい。
「甘やかしすぎたかな」
「アイツの根っこの方がそうだったんだろ」
「まぁねぇ。それにしても、そろそろ戦ってもいいんだけど、いかんせんあの子の発言から何かの術にかかってる気がするんだよなぁ」
「あ?やっぱりそうなのかよ」
私の発言に食いついた楽市に、頷く。違和感、と、体のだるさが常につきまとってる状態だ。聞けば楽市もそうらしい。
「仙人ならわかるかな」
「というより、あいつが解いたらいい話だと思うんだけどな」
そう告げた楽市にそれもそうだと息を吐いた。
それが、ついこの間の話である。誰が陣地の急襲があると思うか。しかもこちらが疲弊している場面での急襲ときた。とりあえず、子供を安全な場所に連れて行き、次にボロボロな彼らを連れて行く。そうして彼女を引き止めたのは楽市だ。
「お前、さっさと術をとけ」
「なんのことよ!」
「ふざけんな、お前がここにたどり着いた時に俺たちにかけた術だよ!どうにかしてやるから、術を解けっつってんだ!」
楽市の言葉に理解していないのだろう。彼女はただただ混乱するだけだ。私は息を吐いて楽市の手を掴む。
「楽市、彼女は理解してない。当たり前だ、彼女は表側の人間だから僕たちみたいな存在がいるなんて夢にも思ってないんだ」
「じゃあどうすんだ」
「どうするも何も、術にかかったこの状態でどうにかするしかない。君たちはここにいなさい。安全だから。外が落ち着けば呼びに来るよ」
そうポンっと彼彼女らの頭を撫でて外に出る。楽市も同じように外に出た。
「あーあ、こんなことなら次の孫市、指名してきたらよかったぜ」
「君は死ぬつもりでいるんだね。大丈夫さ」
さて、私はどうなることやら。やはり術にかかった状態で立ち向かうのは無理があったらしい。ただの町娘風情が、と告げた妖に、この状態ならそうだよな、と苦笑いした。まぁ、彼らを罠にはめたのはただの町娘もといただの一般人である私と楽市である。緩やかに命を落とす感覚、だが、時間は稼げただろう。まわり始めた炎に、妖達は動揺する。まぁ、それよりも、将達がこちらに駆けつけたことで余計にだろうが。ナマエ!とかけてきたのは馬岱殿である。
抱えられるのはちょっとな、と思ったが火の手が早いので大人しく抱えられた。脱出した先、同じくボロボロな楽市をみるにコイツも時間を遡ってきた彼らに助けられたのだとみる。
「ナマエも無事か」
「お前が言ってたのはこういうことかぁ。ってことは一回俺たちは死んだな?」
「理解してるみたいね」
王元姫はそう言ってため息をついた。とりあえず帰ろう、と言う馬岱殿に立てますというけれどそのままである。解せぬ。
==
とりあえずなんとか降ろしてもらい、陣地にかえる。こちらを見た彼らは目を大きく見開いて、先生、と呼んだ。その言葉にニコリと笑って手を振る。バタバタとかけてきた彼らに、震えている彼らに、大丈夫ですよ、と笑う。
「先生は死にませんよ」
「でも、あのあと、先生は、」
「でも、私は今ここにいるでしょう?」
落ち着かせるように頭を撫でてやる。彼らは目を細めてそれを受け入れた。
==
「ナマエ先生は思ってるより厄介だよね」
そういった竹中半兵衛にお菓子を差し入れつつ、笑顔で首を傾げておく。出たよ、わからないふり、と文句を告げた彼に私はお茶を啜った。
「実は仙人だったりしないの?」
「残念ながら」
「その割には火計なれてなかった?」
その発言に竹中氏を見下ろす。こちらを見上げた彼は割かと真剣な目だ。
「誘導の仕方、火の付け方、全部が完璧だったからああなったんだよね」
「さて、なんのことでしょう?」
==
生き残っているのは将だけではない。子供達も生き残っているわけで、ナマエがその子たちの相手をすることもままにある。あの学生達を見ているのはその一貫なんだろう。でも、まぁ、コイツ忍の癖に同類が相変わらず嫌いなんだな、とは過去の忍であるくノ一はともかくーー同じような時代から来たリュウやあやねには近寄らない。
「まぁ、アイツは元々大人ーー年上嫌いだしな」
「年上が嫌い?」
「あぁ、その反面子供に甘い」
そう言いつつ飯を炊く。俺が出会った時、恐らく俺が同い年でなければ仲良くなっていないだろうし。アイツが信頼を寄せる年上は一人だけだ。まぁ、本人は否定するだろうが。
「あんまり大人にいい思い入れがないんだろ」
==
「ナマエは大人が嫌いなんか」
そう言いつつ隣に座ったのはかの豊臣秀吉である。そんなことは、と言いつつ手持ち無沙汰な手は、子供達のために竹とんぼを作る手は止まった。
「……誰からそれを?」
「ワシは回り回って……馬超じゃな」
「ってことは、もう殆どの人が知ってるんですか」
そう軽いため息をついて頬杖をつく。困ったなぁ、とは言ってみても別にそれで向こうから来るわけではないからいいだろう。
「あまり、年上の方にいい思い出がないんです。貴方達がそんなのじゃないのはわかってるんですが」
「……そうか、辛い目にあったんじゃな」
そうポン、と撫でられた頭にピクリと肩をはねさせるのは仕方がないと思う。
「でも、ワシらは敵じゃない。何かあったら頼るんじゃ。ええな」
笑ったその人に、ああこの人だから人はついていくのだろうと。
==
「大丈夫」
浅く息をする彼をそう言って宥める。嫌だ、死にたくない、そんな言葉を吐いて服を握る彼に、君は死なない、と頭を撫でてやる。術を使って彼を眠らせる。
「ねねさま、この子を頼めますか」
そう少しの笑みを浮かべておく。楽市がピクリと肩をはねさせたのはこの際気にしないことにする。
「ナマエ、落ち着け、ドゥードゥー」
「僕は落ち着いているよ」
「一人称混ざってる時点で落ち着いてねぇよ。どうにかなんのか」
「どうにかするさ」
「あほ、それは答えじゃねぇ。術は」
「……冷静に言えば、彼女の力が何らかの形で失ったから彼らの力がおちたんじゃないかな」
はぁ、とため息をついて柱に持たれて楽市にむきなおる。楽市は彼らーーといっても近しい時代から来た子達をみた。
「お前ら、何かにあったのか」
「わかんない、けど、あの子が深い傷をおって、こんなはずじゃ、って」
「あの子?」
「そこで寝てる、もう一人の方だ。先生達が術がどうのって詰め寄った奴だよ」
そういった彼に息を吐いてその子に近づく。ゆるりと目を開いた彼女はこちらをみた。その目線に合わせるように屈む。恐れたような彼女の頭を撫でてやった。
「大丈夫、敵じゃありませんよ。怖かったですね、もう大丈夫です、ここは安全な場所ですから」
「っ、」
「……こんなはずじゃなかった。ええ、そうでしょう。平和な私達の世界では貴方達のような年で命の駆け引きが行われない。最初は遊びのような感覚だったのでしょう?勝てば、みんなに褒められーー認められる」
彼らは誰も反論しない。
「貴方達が戦うこと自体、無理があるんです。貴方達はどこにでも居る子供だったのに。あの孤児達と何ら変わらない」
「先生、何が言いたいの」
「簡単なことです。命の駆け引きなんて、大人に任せてしまいなさい」
出来るだけ優しい声色で呟く。彼女は私を見上げた。
「貴方は少し願うだけでいい。私と楽市を元の世界の姿にしてほしいと」
「でも、」
「大丈夫、先生は柔な大人ではありません。実は、楽市も私も簡単に死ぬような大人ではないんですよ」
からかうように、笑う。そして、だから、ね?と彼女の頭を撫でた。
「そんな怖いこと、先生達に任せてしまいなさい」
その言葉に、彼女はポロポロと涙をこぼして私を見上げる。泣きじゃくるような声で、先生達が、と小さく言葉を彼女によくできました、と優しく笑って頭を撫でた。
「ナマエ、まとわりついてた怠い感じはなくなった」
楽市の申告にそうと目を伏せて彼女の頭を撫でる。もう一度、彼女の頭を撫でてから楽市の方に向き直り、影から銃を取り出して投げ渡す。
「君の武器だけれど、それで我慢してくれ。滅多に使わないからね、整備は殆どしてない」
「サンキュ、ハンドガンだけでどうするか迷ってたんだよな」
そう整備を始めた彼に、学生達と将達がこちらを見上げた。
「半兵衛様、四人退場の代わりに僕らが入るよ。こちらに来てから変な術にかかっていたようでね。それが解けたようだ。もう足手纏いにはならないさ」
影から刀を取り出すついでに男に変化しておく。変な声を出した周りを気にせず腕を組んだ。
「僕の名前は……そうだな、影丸とでも呼んでくれたらいい。一応は忍だ」
「ははぁ、これは参った。まさかナマエ先生は忍だったとは」
「賈*さん、ややこしいがナマエと影丸は同一だが別だ。性別自体も違う。アンタらは別人だって思った方が早い。なにより影丸自体が混同をーー」
「あぁいいよ、楽市。それこそ彼らは理解できない。僕は元の世界では少し狙われる身でね、だから基本的には彼女ーーナマエ『先生』として生きてる」
「里を抜けたの?」
「僕の世界には里はないよ」
あやねの言葉に淡々とそう答える。司馬昭殿が楽市を見た。
「楽市も忍なのか?」
「いや、俺は一般市民を装ったただの傭兵家業だ。まぁ、足は引っ張らないと思う」
銃を担いだ彼はそう言って息を吐いた。
==
「影丸」
そう呼びかけるが影丸は反応しない。光景を無表情に眺めていたらしい。まぁなんと綺麗な切り口、撥ねられた首、鮮やかな鮮血に周りは顔をしかめたが、コイツがいる戦場は案外こんなことになるのは俺だから知ることだろう。まぁ、そのくせ本人には傷もなければ返り血もない対比がおかしいのだが。あと、ナマエ先生のイメージとかけ離れているから余計だろう。
「おーい、影丸、帰るぞ」
もう一度言葉を投げかければ、今いくよと影丸は何時ものような声色でそう告げた。
==
「好きではないんですけどね」
そう苦笑いすれば豊臣秀吉は戦が好きな奴はおらんじゃろ、と告げた。祝杯と言うのか。あまり酒が得意じゃないから参加せず、子供を寝かして考えごとをしていれば甲斐姫たちに連れてこられーー今に至る。先生、先生と酔いつぶれたらしい学生達の頭を撫でておいた。
「ナマエは何処の流派なんだ?」
「そういや、お前正式には何処にいることなってんだ?」
リュウと楽市に尋ねられた言葉に困ったように笑っておく。
「あー、個人としては特に所属してる流派もないよ」
「昔もか?」
「どうなんだろうね。お師匠はそれぞれ流派があったけど」
「師の流派を継がなかったの?」
「それを言うとややこしいと言うか……」
そうわざと目をそらす。まぁ、周りは首を傾げたけど。竹中半兵衛が笑顔で、じゃあ、ぶっちゃけてみよー!と告げた。この軍師外見が青少年だからって、と思ったがちびっ子がグズグズと私を追ってきていたらしい。
「卑怯ですよ、竹中さん」
「えー偶然そこで見つけたんだよー?」
仕方あるまいと手を広げれば愚図っていたちびっ子がせんせ、と私のところに走ってきた。トントンしてれば泣き止んで寝たけど。
「そうしてるとホント、戦のアンタが嘘見たいね」
「ははは、」
「忍にするの?」
「まさか、そんなものにならせはしませんよ。まぁ、このままの世界が続くならゆくゆくは仕官させるのが一番いいんじゃないですか。本人が望むならですけど」
私の発言に毛利元就が首をかしげる。
「ナマエって忍だけど忍が嫌いなのかい?」
「いえ……ちょっと色々あったので、私達の世界に忍は要らないだろうと言う結論に至っただけです」
私の言葉に酒を煽っていた楽市が「それだよそれ!」と指差した。
「お前、極論過ぎないか?つーか、お前がそうなった原因は忍者じゃねぇだろ」
「あのトチ狂った爺さんも元は忍なんだよなぁ。まぁ、元はというと私が調子乗らなかったらそうならなかったのかもだけど」
そうぼやけば、楽市が酒を吹いたけど。汚い。あやねがこちらをみる。
「流派ごとで酷い対立でもあったの?」
「いや、仲良くお手手つないだ結果というか」
「なにそれ」
その問いになんと答えるか迷う。目を伏せれば、グルンと景色が回った気がした。
「トチ狂った爺さんの命令で、頭領格の人達が流派を超えて一人の弟子を育てた。それだけで結末なんざわかるだろう?」
そう言いつつ私は酒を飲む。むくり、と学生のうちの一人が起き上がり、なにそれ影丸さん超ハイブリッドじゃん、と告げた。寝たふりしてるなとは思っていたけど。リュウが困ったように口を開く。
「お前『が』か?」
「いいえ?僕らはトチ狂った爺さん達を排除しただけです」
そう笑った私に賈*さんがピクリと反応した。
「ナマエ先生の中には影丸以外もいるのか」
「は、なんだそれ、初耳なんだけど」
こちらを向いた楽市に頬杖をついてあくどい笑みを浮かべる。あぁ、バレてしまったか、と。
「……基本お前が会うのは影丸かナマエ先生だからな。良くも悪くも真面目で優等生が影丸とナマエ先生だろうよ。あの二人は波風立てまいよ。あと、お前は俺が影丸や他が影丸のふりをしていても気づかんだろうしな」
「ん……ん?アンタ、え?影丸じゃないのか?」
そう告げた楽市に、「彼」は笑った。
==
私の中には数人、人格がいるらしい。らしいというのは元の世界、篠雨という生臭坊主の言葉である。基本的に私は忍である「僕」こと影丸とナマエ先生と呼ばれる「私」を使い分けている。が、偶に私に負担がかかりすぎると他が出てくるらしい。先程から何故か自分で自分を見つめているような感覚だったのはそういうことのようだ。何処か眠くなるような、安心するような心地がする。目を伏せてしまえば、暖かな眠りにおちた。
--没!!!
Comment(0)
次の日 top 前の日