2019/03/04

作家忍者主の話色々

・夏目先生の話

「その立場、私の場所でしょ」
そう小さく告げてしまったのは仕方ない。何を見て、でもない。ただ、ポツリと呟いてしまったのだ。そして、それに後悔する。埋まることのない空虚が、どっと押し寄せてきたからだ。

「ナマエ、いるのか」
そう告げた高杉くんに、まぁね、だなんていって登場してみる。誰かさんがいなくなったから、あちらこちら探してたんだよ、といえば彼は黙ったけれど。
「酷い怪我が治ってる」
「……色々あってな。お前はこれからどうするんだ」
そう尋ねられても、首をかしげるだけだ。これからどうするか、だ、なんて。
「どうしようかなぁ晋助くんについて行こうかな」
「……お前はもう好きに生きろ。さっさと辰馬とくっついて、幸せになるこったな」
「そういうこと言っちゃう?」
ははは、と、辰馬くんのように笑う。あぁ、ちぐはぐだ。すごく、ちぐはぐだ。心と行動が、とても。
「私のそばを歩んだ人は、もういないんだよ」
それだけ告げれば十分かと、気をつけてね、と彼に手を振った。

==没!

==以下

顔が大変近い。くっつきそうなくらいに近い。酒に酔った彼が転んだ拍子の出来事である。う、わぁ、と思いながら、彼をのかすために辰馬くん、と呼んでみる。近い彼は、片手でそっと、私の頬を撫でた。その瞬間、顔が真っ赤になるのがわかる。瞳になにかを混じらせて、ほんに、と告げた彼は、友人によって蹴り飛ばされたのだけど。

=時間前後

ナマエは坂本辰馬がいると性格が変わる。性格が変わるというよりは、恋する乙女になる気がする。それをこの男はどう思っているのだろうか。飄々としてはいるが、様子がおかしいナマエをたまにチラリと目に移す。その感情は色付きレンズに遮られて見えないけれど。
「妬いてる?」
少しは揶揄ってやろうか、とまたナマエと辰馬のやり取りを見た彼に声をかける。彼はチラリとこちらを見下ろした。何も言わないが、纏う雰囲気に少しの嫌悪を滲ませて。そんなことを言っているタイミングではなかろうと告げた彼はまたナマエを見る。
「ナマエの表情はあんなにクルクルと変わるものなのかと思っただけでござる」
「あれは辰馬限定でね。私達にもあんなに変わらないわよ。もうすぐキャパオーバーする」
そう言って二人を見る。ナマエの顔が湯気が出るくらい真っ赤になって、涙目になるのが見える。ひゅうひゅうと揶揄う三人は、それに笑いながらしれっとナマエの肩に手を回す辰馬も何時ものノリであるけれど、隣りの男は見るからに嫌な顔をした。
「ナマエ」
そう嫌悪嫉妬を混じらせて彼はナマエを呼ぶ。ナマエはその声を聞こえたのか万斉をみて、助けて万斉と告げた。そこからは水を得た魚のように、彼はナマエをからかってくれてやるな、と辰馬から引き離す。
「ナマエ、色々と確認したいことがある。付いてきてくれるな」
その声には、拒否権などない。ナマエは刻々と頷いて彼に続いた。

==< a href=″https://alicex.jp/squelch/note/3/148/″>学パロの続き

「人のスマホで何してんだテメェ」
「引き取り要請だしただけだよ」
そう言って彼のスマートフォンを触る。何かネタになりそうなものがないかと触っていれば、懐かしい面々の写真を見つけて手を止めた。
「……みんないる」
「……あぁ、そうだな」
「辰馬くんまでいる。辰馬くんは大人なの?」
写真を見つめてそう告げる。まぁな、と告げた彼は本のページをめくった。
「何の因果かアイツと小太郎だけが先公だ。どういうわけかあの学校には俺たちみたいな異質者が集まりやすいらしい。が、お前だけがいなかった」
晋助くんがそう言ってこちらをみた。私は何も言わない。何も言えない。私だって、不安で仕方がなかったのである。異質は私と従兄弟だけではないのか、と、二人で。
「後輩で入って来ると思えば、三年になっても入ってこねぇ。ま、一番焦ったのは紛れもねぇ万斉と辰馬だろうが」
本をたたんで私の手からスマートフォンを取り上げた晋助くんはやれやれというように立ち上がる。
「久々の逢瀬ぐらい、月は隠れてやらぁ」
ピンポン、と呼び鈴がなる。晋助くんは廊下に出た。玄関に向かったのだろう。私はそのまま廊下の方を見る。少しの静寂、そして足音。懐かしいような、そんな足音だ。心臓がなる。影が近づいて来る。そうして現れた彼は、何一つ代わりやしない。私をみて動きを止めた彼に、その姿に、安堵も、懐かしさも、色んなものが込み上げて来るのがわかった。言葉を紡ごうとしても、それは上手く言葉にならない。ナマエ、と呼ばれた名前。ポロポロと流れた涙とともにやっと言葉がこぼれ落ちる。
「やっと、来てくれた」
笑え、笑うのだ。心配をかけないように。そう思っているのに、笑えない。上手く表情が作れないのだ。彼がこちらに近づいたらしい。そっと大事そうに私を抱き寄せた彼は少しくぐもった声で告げる。
「ああ、そうか、待っていたのは拙者だとばかり思っていたが……主はあの言葉を……ならば、随分と待たせてしまったものだ」
そう告げた彼は少し体を離して告げた。ズレたサングラスからは、まっすぐな、目が覗く。
「蛍は……ただいまかえった、ナマエ」
その目にはたしかに、穏やかな感情が宿っていたのだ。

鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす




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ぎんたま 

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